ASMLとアプライド・マテリアルズを比較!半導体製造装置での独占力の違いを紹介

「半導体株を買いたいけれど、装置の会社が多すぎて選べない」と悩んでいませんか。実は、世界を動かす装置メーカーの中でも、オランダのASMLと米国のアプライド・マテリアルズ(AMAT)は別格の存在です。この記事では、この2社がどんな「魔法の道具」を作って利益を出しているのか、その違いを隣の友人に教えるように分かりやすく解説します。

目次

ASMLとアプライド・マテリアルズはどちらが独占的なのか?

半導体を作るには数百もの工程が必要ですが、その中で「その会社がいなければ絶対に作れない」と言わせるほどの力を持つのがこの2社です。ASMLは特定の工程で100%のシェアを持ち、アプライドは工場全体のあらゆる場所で活躍しています。どちらも独占的な力を持っていますが、その「守備範囲の広さ」と「一点突破の深さ」が、投資をする上での大きな違いになります。

EUV露光装置を100%独占するASMLの凄さ

ASMLは、半導体に極めて細かい回路を焼き付ける「EUV露光装置」を世界で唯一作れる会社です。この装置がなければ、iPhoneやAIに使われる最先端のチップを作ることは物理的に不可能です。

競合他社がどれだけ頑張っても追いつけないほどの技術の壁を築いています。この特定の工程における100%の独占状態こそが、ASMLが「半導体界の門番」と呼ばれる最大の理由です。

ほぼ全ての製造工程に関わるアプライドの守備範囲

アプライド・マテリアルズは、露光以外のほぼ全ての工程で装置を提供している「半導体装置のデパート」です。膜を張る「成膜」や、不要な部分を削る「エッチング」など、主要な工程でトップシェアを誇ります。

ASMLが一点豪華な主役なら、アプライドは映画のセットを丸ごと用意する製作総指揮のような存在です。工場のどこを見渡しても彼らの装置が並んでいるという、圧倒的な「面」の独占力を持っています。

TSMCやインテルにとっての代えがたさの違い

世界最大の半導体メーカーであるTSMCやインテルにとって、この2社は「選べる相手」ではありません。ASMLがいなければ最先端の設計が実現できず、アプライドがいなければ工場自体が稼働しません。

どちらの装置が欠けても、私たちが手にするスマホやPCは世に出てこないのです。この逃げ場のない関係性が、2社の収益を支える盤石な土台となっています。

ASMLの独占力を支えるEUV露光装置という唯一無二の武器

ASMLの強さを語る上で欠かせないのが、世界で彼らしか作れない「EUV露光装置」です。これは、光を使ってシリコンの板に回路を描く機械ですが、その精密さは「月から地球にある10円玉を狙う」ようなレベルと言われます。1台数百億円という価格でも、世界中のメーカーが奪い合うように注文を出す、まさに「打ち出の小槌」のような装置です。

1台300億円以上する超精密機械の中身

ASMLが販売するEUV装置は、1台あたり約200億から350億円という、プライベートジェットが何機も買えるほどの値段です。あまりに巨大なため、輸送には大型輸送機が数台必要になります。

この装置の中には、ドイツのカールツァイス製の超高精度なミラーなど、世界中の最高峰の技術が詰まっています。他社が真似をしようとしても、この複雑な部品の網羅や組み立てを再現することは、今のところ不可能に近い状態です。

次世代の「高NA」装置でさらに広がるライバルとの差

2026年に向けて、ASMLはさらに進化した「高NA(High-NA)EUV装置」の導入を進めています。この新型装置は、1台500億円を超えるとされ、さらに細かい2ナノメートル以下の回路を刻むために必須です。

インテルなどの大手が、この新型をいち早く手に入れるために巨額の資金を投じています。最先端を走れば走るほどASMLへの依存度が高まるため、彼らの優位性は揺らぐどころか、さらに強まっています。

他に代わりの会社が存在しない「一強」状態の強み

普通、どんな製品でもライバルが存在しますが、EUV装置に関してはASMLの「一人勝ち」が続いています。以前はニコンやキヤノンも露光装置を作っていましたが、この最先端分野からは撤退せざるを得ませんでした。

競合がいないため、ASMLは自社で価格を決める強い力を持っています。「嫌なら他で買ってください」という選択肢を相手に与えないことが、圧倒的な利益率を生み出しています。

アプライド・マテリアルズの収益を支える幅広い製品群とシェア

アプライド・マテリアルズ(AMAT)は、米国カリフォルニア州サンタクララに本拠を置く、世界最大の装置メーカーです。彼らの凄さは、特定の装置だけでなく、工場に必要なあらゆる道具を高いレベルで揃えている点にあります。「半導体工場を作るなら、まずはアプライドに相談する」というのが、業界の暗黙の了解になっているほど、その影響力は広大です。

成膜やエッチングで世界トップを走る理由

アプライドは、シリコンの上に薄い膜を貼る「成膜」や、回路を削り出す「エッチング」という工程でトップを走っています。特に「Centura」シリーズなどの装置は、世界中の工場で標準機として愛用されています。

これらは半導体の性能を決める重要な工程であり、アプライドはそこで数十年の実績を積み上げてきました。長年のデータと信頼があるため、新しい工場を建てる際も「実績のあるアプライド製」が選ばれ続けるのです。

半導体工場を作るなら同社の装置が必ず必要になる仕組み

半導体の製造には数百のステップがありますが、アプライドはそのうちのかなりの部分をカバーしています。1社で多くの工程をまとめられるため、メーカー側にとっては管理が楽になるメリットがあります。

解説テキスト:

アプライド・マテリアルズは、特定の「尖った装置」だけでなく、工場全体のバランスを整える装置群を提供しています。彼らの装置は、シリコンウェハの表面を磨く工程(CMP)や、イオンを打ち込む工程など、多岐にわたります。これにより、顧客であるTSMCなどは、アプライド1社との交渉で工場の大部分を完成させることができます。

詳細情報テーブル:

項目アプライド・マテリアルズ (AMAT)特徴・他との違い
主な工程成膜、エッチング、CMP、検査製造のほぼ全工程をカバーする幅広さ
主力製品名Centura、Endura、Producer世界中の工場で採用される標準機
収益の柱装置販売 + サービス収益納品後の部品交換でも安定して稼げる
拠点米国 カリフォルニア州米国の技術力を象徴する巨大企業
顧客のメリットワンストップで装置を揃えられる工程ごとの相性トラブルを減らせる

誘導・比較:

ASMLが「究極の1台」を売る会社なら、アプライドは「最強のライン」を作る会社です。特定の技術の流行に左右されにくいため、半導体業界全体の成長をまるごと取り込みたい投資家に向いています。

特定の工程に依存しない経営の安定感

アプライドの強みは、一つの製品がダメになっても他でカバーできる「分散されたポートフォリオ」にあります。たとえ露光のやり方が変わっても、成膜やエッチングの需要がなくなることはありません。

半導体の構造が3Dのように立体的になるほど、アプライドの得意な工程はむしろ増えていきます。時代の変化を味方につけて、常に必要とされる場所を確保し続けるのが彼らの勝ちパターンです。

半導体製造装置の市場で2社の利益率に差が出る理由

投資家として気になるのは、どちらの会社が効率よく稼いでいるかですよね。ASMLとアプライドを比べると、利益の出し方にもハッキリとした個性が現れています。ASMLは「高くても売れる魔法」で稼ぎ、アプライドは「長く使い続けてもらう仕組み」で稼いでいます。 それぞれの数字の裏側にある、商売のカラクリを見てみましょう。

開発費を惜しまないASMLの高い付加価値

ASMLは、売上の約15%という莫大なお金を研究開発(R&D)につぎ込んでいます。これは、誰も真似できない技術を維持するための「通行料」のようなものです。

その結果、装置1台あたりの利益率は非常に高く、強気な価格設定が可能です。「世界で自分たちしか作れない」という状態を維持することで、高い付加価値を利益に変えています。

納品後の部品交換やメンテナンスで稼ぐアプライドの手法

アプライドの面白いところは、装置を売った後の「サービス収益」が非常に大きい点です。全売上の約25%が、納品済み装置のメンテナンスや部品交換から生まれています。

世界中の工場に数万台の装置を置いているため、不景気で新しい装置が売れない時期でも、この「修理代」が会社を支えます。一度設置してしまえば、その後もチャリンチャリンとお金が入ってくる、安定した稼ぎ口を持っています。

どちらのビジネスモデルが景気の波に強いか

景気が悪くなった時、ASMLのような高額な装置は真っ先に買い控えの対象になるリスクがあります。一方のアプライドは、サービス収益がクッションとなり、業績の落ち込みが比較的緩やかです。

  • ASML:好景気時の爆発力がすごい
  • アプライド:不景気でも底堅い強さがある

自分のポートフォリオに「攻め」を入れたいのか、「守り」を入れたいのかで、選ぶべき相手が変わってきます。

2社の将来性を比較して見えてくる成長のチャンス

2026年、半導体業界は「AI」という巨大な波に乗って、さらなる微細化(小さくすること)に挑んでいます。これまでのスマホブームとは次元の違う投資がデータセンターに行われており、2社にはそれぞれ違う形でお金が転がり込んできます。AIが進化すればするほど、2社の装置がなければ世界が回らないという今の形は、さらに強まっていくはずです。

AI向け半導体の進化がASMLに与える影響

エヌビディアのGPUのような最新のAIチップは、ASMLのEUV装置がなければ作れません。さらに、2ナノメートルといった次世代の極小チップを作るには、新型の「高NA装置」が不可欠です。

AIの処理スピードを上げるためには、より細かい回路を刻む必要があります。「もっと速く、もっと小さく」という世界中の願いが、そのままASMLの注文書に変わっていくのです。

新しいチップの構造「3D積層」で活躍するアプライド

チップを小さくするだけでなく、上に積み重ねる「3D積層」という技術も重要になっています。ここで活躍するのが、アプライドが得意とする成膜やエッチングの技術です。

高く積み上げれば積み上げるほど、より高度な加工が必要になり、アプライドの装置の出番が増えます。回路を「描く」ASMLに対し、構造を「形作る」アプライドへの期待も、AI時代には一段と高まっています。

2026年以降の設備投資計画から読み解く伸び代

TSMCやインテルは、2026年に向けて数兆円規模の工場建設計画を立てています。それらの工場に入る装置のリストには、必ずこの2社の名前がトップに載っています。

  • TSMC:2ナノ量産に向けた高NA装置の導入
  • インテル:米国国内での巨大工場建設
  • サムスン:AI向けメモリ(HBM)の増産

こうした巨額の投資計画がある限り、装置メーカーの仕事がなくなる心配はまずありません。 私たちは、その成長の波に乗るだけでいいのです。

どちらの銘柄をポートフォリオに組み込むべきか

ここまで2社の違いを見てきましたが、最後は「あなたならどう買うか」というお話です。投資の目的は人それぞれですので、正解は1つではありません。自分のリスクの取り方や、いつまで持ちたいかを考えることで、あなたにとっての「本命」が見えてきます。 失敗を避けるための具体的な買い方のコツをまとめました。

爆発的な値上がり益を狙うためのチェック項目

もしあなたが、「多少の値動きは我慢して、数年後に大きな利益を狙いたい」なら、ASMLが向いています。EUV装置という、替えが効かない最強の武器を持っているからです。

ただし、ASMLの株価は1株あたりの値段が比較的高く、値動きもダイナミックです。「世界で唯一の技術」に賭けるというワクワク感を楽しめる人には、最高の選択肢になるはずです。

安定した配当や還元を重視するならどっち?

アプライド・マテリアルズは、自社株買いや配当といった「株主への還元」にも非常に積極的です。安定したサービス収益があるため、株主にお金を返す余裕があるのです。

資産をゆっくりと、着実に増やしていきたい人には、アプライドの安定感はとても魅力的です。「派手さはないけれど、気づけば資産が増えている」という状態を目指すなら、アプライドを軸にするのが賢いやり方です。

初心者が1株から投資を始める際の手順

米国株(ASMLはオランダ企業ですが米国にも上場しています)は、1株から買えるのが大きなメリットです。いきなり何十万円も用意する必要はありません。

  1. SBI証券や楽天証券などのネット証券で「米国株口座」を開く
  2. 日本円を米ドルに替える
  3. 銘柄コード(ASML または AMAT)を入れて注文する

まずは1株持ってみることで、世界の半導体ニュースが自分事として感じられるようになります。 その小さな一歩が、将来の大きな資産形成に繋がっています。

投資する前に知っておきたいリスクと注意点

どんなに素晴らしい会社でも、投資には必ずリスクがつきものです。特に半導体業界は、技術の進化だけでなく、世界的な政治の動きに振り回されることもあります。「良い株だからと全財産をつぎ込む」のではなく、最悪のパターンを想定しておくことが、長く投資を続けるための秘訣です。 特に注意すべき3つのポイントをお伝えします。

米中間の輸出規制が業績に与える数字のインパクト

現在、米国やオランダは、最先端の装置を中国へ売ることを厳しく制限しています。これは2社にとって、大きな顧客を失うリスクになります。

実際に、ASMLの売上のうち20〜40%近くが中国向けだった時期もあり、規制の強化は業績に直結します。ニュースで「輸出規制」という言葉が出た時は、彼らの売上の何%に影響が出るのか、冷静にチェックする必要があります。

技術革新によって勢力図が塗り替えられる可能性

今はASMLのEUV装置が最強ですが、10年後もそうである保証はありません。例えば、キヤノンが開発を進めている「ナノインプリント」という新しいやり方が普及すれば、ASMLの地位が脅かされるかもしれません。

もっとも、ASMLも次世代機を開発しているため簡単には逆転されませんが、「技術の進化でルールが変わる」リスクは常に意識しておくべきです。

株価が高くなりすぎていないかPERで確認する方法

半導体株は人気が高いため、利益に対して株価が割高(ハイバリュエーション)になりがちです。PER(株価収益率)という数字が、過去の平均と比べてあまりに高くなっていないか確認しましょう。

  • ASML:独占力ゆえにPERが高めに出やすい
  • アプライド:ASMLよりは比較的落ち着いた評価になりやすい

期待が大きすぎると、決算が少しでも悪いと株価が急落することがあります。 買う時は、一度に全額を入れずに、時期を分けて買う工夫も大切です。

まとめ:独占力のASMLと安定のアプライドを賢く選ぶ

ASMLとアプライド・マテリアルズの比較、いかがでしたでしょうか。どちらもこれからのデジタル社会に欠かせない、素晴らしい企業であることは間違いありません。

  • ASMLは、最先端のEUV露光装置でシェア100%を誇る「究極の独占企業」。
  • アプライドは、製造工程のほぼ全てを網羅し、サービス収益でも稼ぐ「業界の巨人」。
  • 爆発的な成長と唯一無二の技術に賭けるならASML、安定感と幅広い還元を求めるならアプライド。
  • 2026年のAIチップ2ナノ量産化は、新型の「高NA装置」を売るASMLに大きな追い風。
  • 3D積層などの構造変化は、成膜やエッチングを得意とするアプライドにチャンスをもたらす。
  • 米中の輸出規制や、新しい技術の登場といったリスクには常に目を光らせておくべき。
  • 新NISAの「成長投資枠」を活用し、まずは1株から世界最強の装置メーカーのオーナーになってみる。

私たちがAIやスマホを使い続ける限り、この2社の装置が止まることはありません。目先の小さな値動きに一喜一憂せず、「半導体工場の心臓」を持っているという気持ちで、じっくりと投資を楽しんでみてください。

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この記事を書いた人

MONEY STUDIO編集部は、投資・金融分野の情報収集・分析を行う複数名の編集メンバーで構成されています。
一次情報・公式データ・実体験をもとに記事を制作しています。
特定の金融商品や投資手法を過度に推奨することはなく、メリットだけでなくデメリットやリスクも明示することを編集方針としています。

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