コストコの強さは会員の更新率にあり?株価と会員数成長の相関を紹介

コストコに行くと、あの大きなカートいっぱいに商品を詰め込む人たちの熱気に圧倒されますよね。「年会費を払ってまで買い物をする価値があるの?」と最初は不思議に思うかもしれません。でも、一度あの安さと品質を体験すると、多くの人が「来年もまた更新しよう」と決めるのがコストコの凄さです。

実は投資家の間でも、コストコは「負けにくい銘柄」として非常に人気があります。その秘密は、単に商品が売れているからではなく、会員が離れない仕組みにあります。この記事では、会員の更新率がどのように株価を押し上げているのか、その裏側にある儲けのカラクリを分かりやすくお伝えします。

目次

コストコの強さは会員の更新率90%超えに支えられている理由

コストコの店舗に行くと、入り口でカードを提示し、出口でレシートをチェックされます。この徹底した「会員制」こそが、他のスーパーには真似できない強さを生んでいます。買い物をするための「権利」に10人に9人がお金を払い続ける。この驚異的な数字が、企業の安定感を支える土台になっています。

普通のスーパーなら「今日はあっちの店が安いから」と客が逃げてしまいます。しかしコストコは、高い更新率によって、来年も再来年も確実にお金を使ってくれるお客さんをがっちり確保しています。この安心感があるからこそ、会社は強気な経営を続けられるのです。

アメリカとカナダで92.9%を誇る驚異の定着度

コストコの主力市場である北米では、会員の更新率が92.9%という、信じられないほど高い水準にあります。これは、一度会員になった人のほとんどが、一生コストコを使い続けることを意味しています。世界全体で見ても更新率は90.5%を維持しており、この数字は長年ほとんど揺らいでいません。

これほど高い更新率を保てるのは、会員であること自体に誇りを持たせるブランド力があるからです。10人に9人が辞めないという事実は、コストコが提供する価値が年会費を大きく上回っている証拠と言えます。

商品の売上ではなく年会費だけで利益を寄せる仕組み

コストコの損益計算書をのぞくと、面白いことが分かります。実は、商品を売って得られる利益は、店舗の運営費や人件費でほとんど消えてしまいます。会社が最終的に手にする純利益のほとんどは、会員が支払う「年会費」そのものです。

2023年度の会費収入は約46億ドルに達しており、これがそのまま利益の柱になっています。商品を安く売ってお客さんを喜ばせ、その代わりに会費でしっかり稼ぐ。 この割り切ったビジネスモデルが、浮き沈みの激しい小売業界でコストコを無敵にしています。

粗利益を削ってでも会員に「安さ」を還元する薄利多売のルール

コストコには「商品の利益(マークアップ)は最大14%から15%以内に抑える」という厳格なルールがあります。一般的なスーパーが25%から30%ほど利益を乗せるのと比べると、いかに薄利で売っているかが分かります。自社ブランドのカークランドシグネチャーに至っては、さらに利益を削って安さを追求しています。

この安さが会員を惹きつけ、高い更新率に繋がっています。「コストコに行けばどこよりも安い」という絶対的な信頼こそが、更新率を支える最強の武器です。

株価と会員数成長の相関から見えるコストコの投資妙味

投資家がコストコの株を買うとき、売上高と同じくらい熱心にチェックするのが「会員数の伸び」です。会員数が増えることは、将来の利益が約束されることと同じだからです。株価の動きを振り返ると、会員数が右肩上がりに増えるのに合わせて、株価も見事な右肩上がりを描いています。

小売業は景気が悪くなると売上が落ちやすいもの。しかしコストコは、不況でも会員が辞めない「ディフェンシブ」な性格を持っています。景気に左右されず、着実に会員を増やし続ける力が、株価を支える大きな原動力になっているのです。

有料世帯数が毎年右肩上がりに伸び続けている数値

コストコの有料会員世帯数は、過去10年以上にわたって一度も立ち止まることなく増え続けています。2023年度末時点で、有料会員数は約7,200万人に達しました。家族カードを含めたカードの総発行数は約1億2,800万枚を超え、その規模は巨大です。

この会員数の伸びは、そのまま会社の「稼ぐ力」の成長を表しています。会員が1人増えるごとに、ほぼ100%の利益である年会費が積み上がるため、株価もそれに呼応して上昇してきました。

会員が増えるほど将来の利益が予約される安定感

コストコのビジネスは、ネットフリックスのようなサブスクリプション(定額制)に非常に近いです。会員数さえ維持できていれば、来期の利益がいくらになるか、ある程度の予測がついてしまいます。この「先読みができる安定感」を、投資家は非常に高く評価します。

予測が難しい今の時代において、これほど堅実な銘柄は多くありません。一度入った会員が長く留まる仕組みがあるため、株価も急落しにくく、着実なリターンを期待できるのです。

S&P500指数を大きく上回ってきた10年間の株価上昇率

過去10年間のコストコの株価上昇率は、米国株全体の指標であるS&P500を大きく上回るパフォーマンスを見せてきました。会員数の成長という確かな裏付けがあるため、投資家が自信を持って買い続けられた結果です。

単なる「スーパーの株」だと思って見逃していた人は、その成長力に驚くはず。配当こそ利回りは低いですが、株価そのものの上昇力は、ハイテク株にも負けない勢いを持っています。

年会費だけで利益を積み上げるコストコの稼ぎ方

コストコで買い物をするには、まずカードを作る必要があります。この入り口でお金を取る仕組みが、他のスーパーとの決定的な違いです。お客さんは「せっかく会費を払ったんだから、元を取るためにたくさん買い物しよう」という心理になり、これが店舗の売上をさらに押し上げる好循環を作っています。

単なる入会金ではなく、継続的にお金が入ってくる仕組みが、いかに効率的か。ここでは、コストコの会員制度の中身を詳しく見ていきましょう。

エグゼクティブ会員の割合が全体の45%を超える重要性

コストコには、年会費の高い「エグゼクティブ会員」という区分があります。年会費は通常会員の倍近いですが、買い物額の2%がキャッシュバックされる特典があります。現在、会員全体の約45%がこのエグゼクティブ会員を選んでいます。

驚くべきは、全売上の約70%をこの層が占めているという点です。高い会費を払うほどコストコを愛用する「超優良客」が半分近くを占めていることが、収益を安定させています。

詳細情報テーブル:コストコの会員ランク比較

項目ゴールドスター(一般)エグゼクティブ(上位)
年会費(日本)4,840円9,900円
還元率なし最大2.0%還元
主な特典全世界の店舗利用特別割引、限定サービス
売上への貢献度一般的な買い物客全売上の約70%を占める主力

誘導・比較:

一般のスーパーに「上位会員」という概念はほとんどありませんが、コストコは会費を高く設定することで、より熱心なお客さんを抽出することに成功しています。高い会費を払ってでもエグゼクティブ会員になる人が増えるほど、コストコの利益率は高まっていくのです。

会員の更新率を維持するためにコストコが行っている工夫

コストコが90%を超える更新率を維持できているのは、単に商品が安いからだけではありません。「ここでしか得られない体験」をいくつも用意しているからです。買い物だけでなく、ガソリンやタイヤ、さらにはフードコートのホットドッグまで、すべてが会員を引き止めるための計算されたサービスになっています。

「コストコに行けば何か楽しいことがある」と思わせる工夫が、更新時期が来たときに「やっぱり継続しよう」と思わせる決め手。会員を飽きさせない、あの独特な戦略を詳しく見てみましょう。

ガソリンスタンドやタイヤセンターなどの会員限定サービス

コストコのガソリンスタンドは、周辺の相場よりも明らかに安く設定されています。このガソリンを入れるためだけに会員を続けている人もいるほどです。タイヤセンターでの交換サービスや、処方箋を受け付ける調剤薬局も、会員だけが受けられる特別なメリットです。

これらは、日々の生活に密着したサービスばかり。「ガソリン代で年会費の元が取れる」と感じさせることで、更新の心理的ハードルを劇的に下げています。

買い物額の2%が戻ってくるキャッシュバックの威力

エグゼクティブ会員への2%還元は、ヘビーユーザーにとって強力な更新の動機になります。年間で30万円ほど買い物をすれば、戻ってくるポイントで翌年の年会費がほぼ相殺される計算になるからです。

「実質タダで会員を続けられる」という感覚は、一度味わうと離れられません。このポイント制度があるおかげで、たくさんお金を使う人ほど、コストコから離れられなくなる仕組みになっています。

満足できなければ年会費をいつでも全額返金する保証制度

コストコの凄いところは、「満足できなければ、有効期限内ならいつでも年会費を全額返す」と公言している点です。さらに、購入した商品も一部を除いて返品・返金を受け付けています。この潔い保証があるからこそ、初めての人も安心して会員になれます。

この保証があることで、会員は「損をすることはない」と安心できます。結果として、この安心感が信頼に繋がり、返金を求める人よりも更新を選ぶ人が圧倒的に多くなるのです。

株価と会員数成長の相関を後押しする自社ブランドの力

コストコの店舗を歩いていると、至る所で「Kirkland Signature(カークランドシグネチャー)」というロゴを見かけます。これはコストコの自社ブランド(PB)で、今や世界中で絶大な信頼を得ています。このブランドの存在が、会員の満足度を高め、結果として株価を押し上げる一助となっています。

有名メーカー品よりも3割近く安いのに、品質はそれ以上。そんな「お値打ち感」を象徴するのがこのブランドです。投資家の目線で見ても、PB商品は利益率が高いため、収益を支える重要な柱となっています。

カークランドシグネチャーが顧客のロイヤリティを高める理由

カークランドの商品は、トイレットペーパーからナッツ、ワインまで多岐にわたります。どれも大容量で高品質。「カークランドなら間違いない」というブランドへの信頼が、そのままコストコという店への信頼に直結しています。

このブランドは、他のスーパーでは絶対に買えません。「あのトイレットペーパーが欲しいから更新する」と思わせるほどのファンを作ることが、更新率の維持に大きく貢献しています。

高品質な商品を他社のナショナルブランドより3割安く売る手法

コストコは、有名メーカー(ナショナルブランド)の商品を置く際、そのメーカーに対して「カークランドのロゴで、より安く提供できないか」と交渉します。メーカー側も、コストコの巨大な販売力を無視できないため、高品質な商品を安く提供することに応じます。

広告費や無駄な包装を省くことで、品質を落とさずに価格を下げる。この徹底した合理主義が、会員に「圧倒的なお得感」を提供し続けています。

PB商品の売上比率が全売上の30%を超えている収益構造

今やカークランドシグネチャーの売上は、全売上の約3割を占めるまでになりました。他社の商品を仕入れて売るよりも、自社ブランドの方が利益率が高いため、会社全体の利益を底上げしています。

  • 世界的なナショナルブランドと肩を並べる販売力
  • 広告費ゼロで高い認知度を誇る
  • 利益率が高く、会社の収益源として成長

PB商品の成功が、会費だけに頼らない収益の柱となり、投資家が将来の成長を確信する理由の一つになっています。

世界展開が加速するコストコの成長を左右するポイント

コストコの快進撃はアメリカ国内に留まりません。日本でも店舗が増えるたびに大きな話題になりますし、中国でも開店初日に大行列ができるほどの人気です。この「世界どこでも通用する仕組み」が、今後の株価の伸びしろを握っています。

文化や習慣が違っても、人間は「良いものを安く買いたい」という本能を持っています。コストコはその本能を突くのが非常に上手です。世界中で会員を増やし続けるためのポイントを整理しましょう。

中国や日本を含むアジア市場での会員獲得の進み具合

アジア市場、特に中国での成長は目を見張るものがあります。2019年に上海1号店がオープンした際、あまりの混雑に数時間で入店制限がかかったニュースは有名です。日本でも2026年以降、さらなる出店計画が進んでいます。

新しい国で店舗ができるたびに、数万人単位で新しい会員が増えていきます。飽和状態のアメリカを飛び出し、人口の多いアジアで会員を積み上げていることが、次なる株価上昇の火種になります。

インフレ環境でも解約者が増えないディフェンシブな強さ

物価が上がるインフレの時期、人々はより安いものを求めてコストコに集まります。他のスーパーが値上げをする中で、コストコは「会費で稼ぐ」モデルのおかげで、商品の値上げを最小限に抑えることができます。

景気が悪くなっても、食べることを辞める人はいない。むしろ生活が苦しいときほどコストコの安さが輝くため、不況期でも更新率が落ちない「最強の守り」を発揮します。

店舗での体験とオンライン通販を組み合わせた新しい買い物体験

最近はオンラインショッピングにも力を入れています。店舗での「宝探し」のようなワクワク感はそのままに、重い商品や大型家具などはネットで注文できる仕組みを整えています。

店舗に行けないときでもコストコを利用してもらう。デジタルの力を活用して会員との接点を増やすことで、退会する理由を一つひとつ潰しているのが今のコストコの姿です。

株価と会員数成長の相関から買い時を探る具体的な手順

「コストコ株に興味が出てきたけど、今は高くない?」と不安になるかもしれません。確かに、これだけ優秀な会社なので、株価は常に「少し高め」に評価されています。でも、特定のタイミングを狙えば、比較的納得感のある価格で投資できるチャンスはあります。

誰でもチェックできる公開情報を使って、投資のタイミングを測る手順をお伝えします。数字の動きに振り回されず、会社の「健康状態」を自分の目で確認しましょう。

四半期ごとの決算で発表される有料会員の純増数を確認する

コストコは3ヶ月に一度の決算で、新しく何人の会員が増えたかを発表します。この数字が予想を超えて伸びていれば、株価はさらに上昇するサインです。逆に、伸びが鈍くなっているときは注意が必要です。

「店舗数が増えているか」よりも「1店舗あたりの会員数が増えているか」を見るのがコツ。 既存の店が今でも支持されているなら、その成長は本物です。

数年に一度実施される「会費の値上げ」が株価に与える影響

コストコは数年に一度、年会費の値上げを行います。値上げが発表されると、一時的に株価が跳ね上がることが多いです。なぜなら、会費の増加分はそのまま利益の増加に直結するからです。

「値上げをしたら会員が辞めてしまうのでは?」という不安もありますが、過去のデータでは更新率はほとんど変わりませんでした。値上げをしても会員が離れないという自信があるときに、株価のステージが一段上がります。

PERが過去の平均数値と比べて割安か確認する方法

PER(株価収益率)は、今の株価が利益の何倍かを示す指標。コストコの場合、30倍から40倍といった高い水準が当たり前になっています。これを「高すぎる」と切り捨てるのではなく、過去の平均と比べてみましょう。

  • 過去5年の平均PERよりも低いときを狙う
  • 利益の成長率がPERの高さに見合っているか確認する
  • 同業他社(ウォルマートなど)との差が開きすぎていないか見る

会社の実力が変わっていないのに、市場全体の冷え込みでPERが下がっているときが、絶好の買い場となります。

投資家が注目するコストコの特別配当と株主還元の姿勢

最後に、コストコ株を持っているとたまに起きる「嬉しいサプライズ」についてお話しします。それは、数年に一度支払われる「特別配当」です。通常の配当とは別に、余った現金をドカンと株主に配る、コストコならではの太っ腹な制度です。

「溜め込んだ利益は株主のもの」という考えが徹底されているため、長期保有している投資家はこのボーナスを非常に楽しみにしています。この還元の姿勢も、株価を支える大きな要因の一つです。

2024年1月に実施された1株15ドルの太っ腹な特別配当

最近では2024年の1月に、1株あたり15ドルという巨額の特別配当が実施されました。当時の株価に対してもかなりのインパクトがあり、長期保有していた投資家は大喜びしました。

会社が儲かりすぎて現金が余ったときに、それを溜め込まずに株主に返す。 この誠実な姿勢があるからこそ、世界中の投資家がコストコ株をポートフォリオに入れたがるのです。

溜め込んだ現金を効率よく株主に吐き出すタイミング

特別配当は不定期ですが、ある程度予測がつきます。現預金が積み上がり、有利な投資先(新規出店など)を差し引いてもお金が余っているときに発表されるからです。

この発表があると、株価は一気にポジティブに反応します。「特別配当が出るまで待つ」という投資家も多く、これが株価の下落を防ぐ強い下支えになっています。

20年近く連続で増配を続けている安定した配当方針

特別配当だけでなく、通常の配当も20年近く毎年増やし続けています。会員数が着実に増え、会費収入が安定しているからこそできる芸当です。

  • 連続増配という実績による信頼
  • 業績に連動した無理のない還元
  • 将来の増配余地も十分に残っている

株価の値上がりを狙いつつ、毎年増えていく配当金を受け取れる。 まさに長期投資の理想を体現したような銘柄です。

まとめ:コストコの強さと株価の関係を知って賢く投資する

コストコの圧倒的な更新率は、単なる「スーパーの数字」ではなく、企業の生命線そのものです。10人に9人が辞めないという信頼の積み重ねが、安定した利益を生み出し、それが右肩上がりの株価に繋がっています。

  • 全世界の更新率90.5%、北米では92.9%と極めて高い顧客ロイヤリティ。
  • 商品の利益を削り、年会費を利益の柱にする独自のビジネスモデル。
  • 会員数の増加と株価の推移には強い相関があり、将来の成長が見えやすい。
  • 圧倒的な安さを提供する自社ブランド「カークランドシグネチャー」の成功。
  • 景気が悪くても会員が離れない「ディフェンシブな強み」による安定感。
  • 数年に一度の特別配当や20年近い連続増配など、株主還元に非常に積極的。
  • アジアを中心とした世界展開が、今後のさらなる会員数増加の鍵を握る。

コストコ株への投資は、あの大行列を作るファンの一人になるようなものです。会社の仕組みを正しく理解し、会員数の成長という確かな指標を追いかけることで、自信を持って長期的な資産運用を進めることができるはずです。

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この記事を書いた人

MONEY STUDIO編集部は、投資・金融分野の情報収集・分析を行う複数名の編集メンバーで構成されています。
一次情報・公式データ・実体験をもとに記事を制作しています。
特定の金融商品や投資手法を過度に推奨することはなく、メリットだけでなくデメリットやリスクも明示することを編集方針としています。

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