PSRでグロース株の割安度を判定!売上高倍率の目安と適正水準を解説

「これから伸びそうな米国株を見つけたけれど、まだ赤字でPERが計算できない」と困ったことはありませんか。利益が出ていない若い企業に投資するとき、従来のやり方ではその価値を測ることができません。そんなときに役立つのがPSR(売上高倍率)です。この記事では、グロース株の割安度を正しく見極めるための具体的な数字の目安や、適正水準の判断方法を友人に教えるように分かりやすくお伝えします。

目次

PSRでグロース株の割安度を判定するための基本

グロース株は、将来の利益を期待して買われるため、今の利益がマイナスでも株価が高くなることがよくあります。そんなとき、利益の代わりに「売上」に注目して、株価が妥当かどうかを測るのがPSRという指標です。この指標を使えば、成長の勢いがある会社を同じ基準で並べて比べることができます。

時価総額を年間の売上高で割って出す計算方法

PSRは、会社の時価総額を年間の売上高で割るだけで簡単に出せます。例えば、時価総額が1000億円で、年間の売上が100億円なら、PSRは10倍になります。この数字は「今の売上の何倍の値段でその会社が買われているか」を表しています。

難しい会計の知識がなくても、スマホの電卓一つで算出できるのが良いところです。米国株を扱うアプリでも、基本データの中に必ずといっていいほど記載されています。まずは自分が気になる会社の数字を出して、肌感覚を掴んでみましょう。

利益が出ていない赤字企業でも評価できるメリット

急成長している会社は、稼いだお金をさらに大きくするために、広告や研究開発にどんどん投資します。その結果、帳簿上は赤字になることが多いですが、それは決して「ダメな会社」という意味ではありません。売上が伸びているなら、それは市場を広げている証拠です。

PER(株価収益率)は利益がないと計算できませんが、PSRなら売上さえあれば判定できます。まだ芽が出始めたばかりの有望な企業を、逃さずチェックするために欠かせない武器になります。

PERと比較して業績のブレに影響されにくい強み

利益という数字は、税金の処理や一時的な費用の支払いで、年によって大きく変わることがあります。対して売上は、お客さんがその会社のサービスに払ったお金の合計なので、ごまかしが効きにくく安定しています。

つまり、会社の本来の勢いをより正確に映し出しているのが売上です。利益の増減に一喜一憂せず、どっしりと構えて投資先を選びたいなら、PSRという物差しを使いこなすのが賢い選択です。

グロース株選びで知っておきたい売上高倍率の目安

PSRを使うときに迷うのが「結局、何倍なら安いの?」という点ですよね。一般的に、米国株の平均的な数字は2.5倍から3.0倍程度ですが、成長著しいグロース株の世界ではもっと大きな数字が飛び交います。どれくらいの数字になったら「買い」なのか、あるいは「危険」なのか、3つの境界線を知っておきましょう。

一般的な企業の基準値とされる20倍のライン

米国株のグロース、特にソフトウェア関連では、PSR20倍という数字が一つの警戒ラインになります。これを超えてくると、投資家たちが「この会社は将来ものすごく儲かるに違いない」と過剰に期待している状態です。

もちろん、期待通りに成長すれば問題ありませんが、少しでも成長が鈍ると株価が急落するリスクもあります。20倍を超えている銘柄を見つけたら、まずは「この期待は本物か?」と一歩立ち止まって考えてみてください。

投資を前向きに考えてもいい10倍以下の水準

売上がしっかりと伸びているのに、PSRが10倍を切っているような銘柄は、お宝株である可能性が高いです。成長率が前年比で30%を超えているような会社が10倍以下で放置されているなら、それは市場がまだその凄さに気づいていないのかもしれません。

こうした割安な状態で仕込んでおけば、将来的に株価が何倍にもなる「マルチバガー」を狙えます。派手な人気株だけでなく、10倍以下の地味な優良株を探す癖をつけるのが、資産を増やすコツです。

市場全体が過熱しているときに出やすい50倍超えのサイン

たまに、PSRが50倍や100倍という、とんでもない数字になっている銘柄が現れます。これは完全に「バブル」のサインです。2021年のハイテクブームのときには、こうした銘柄が続出しましたが、その後の暴落で多くの投資家が涙をのみました。

どれだけ素晴らしいサービスを提供していても、50倍を超える値段で買うのは、あまりにリスクが大きすぎます。お祭り騒ぎに巻き込まれず、冷静に数字を見て「高すぎる」と判断できる冷静さを持ちましょう。

米国株のセクターごとに異なる適正水準を把握する

PSRは業種によって「当たり前」の数字が全く違います。スーパーマーケットとIT企業を同じ基準で比べるのは、リンゴとバナナを比べるようなものです。自分が投資しようとしている業界の「普通」を知ることで、割安度の判定ミスを防ぐことができます。

SaaSやクラウド関連企業で許容される高い倍率

ソフトウェアを月額課金で提供するSaaS企業は、一度契約を取れば長く利益を生み出し続けます。そのため、他の業種よりもPSRは高くなりやすいのが特徴です。ここでは、代表的な2つの企業を例に、その中身を見てみましょう。

スノーフレイク(SNOW)

スノーフレイクは、クラウド上で膨大なデータを管理・分析できるサービスを提供しています。従来のデータベースとは違い、使った分だけ料金を払う仕組みが世界中の大企業に支持されています。成長スピードが非常に早いため、過去にはPSRが100倍を超えることもありましたが、それだけ市場からの期待が大きかった銘柄です。

項目具体的な内容
業種クラウド・データ・プラットフォーム
主な顧客フォーチュン500の多くの企業
収益モデル従量課金制(使った分だけ支払う)
他との違い複数のクラウドをまたいでデータを扱える唯一無二の便利さ

アマゾンやマイクロソフトのクラウドサービスと比較しても、データ分析に特化した使い勝手の良さが評価されています。PSRが高くても、それを上回る成長が続く限り、投資家は買い続けます。

クラウドストライク(CRWD)

クラウドストライクは、サイバー攻撃から企業を守るセキュリティソフトのリーダーです。今の時代、ハッカーの攻撃を防ぐことは企業の死活問題であり、この会社のサービスは「なくてはならないもの」になっています。解約する人が非常に少ないため、将来の売上が読みやすく、高いPSRが許容される傾向にあります。

項目具体的な内容
業種サイバーセキュリティ
主な製品falcon(ファルコン)プラットフォーム
売上成長率前年比30%以上を維持
他との違いAIを使った検知能力が高く、他社が防げない攻撃も止める

従来のウイルス対策ソフトと比較して、クラウドで一括管理する効率の良さが強みです。セキュリティ業界全体がインフレに強いため、PSRが20倍近くあっても、それを「適正だ」と考える投資家が多く存在します。

売上高の成長スピードから割安度を判定するコツ

PSRという数字は、単体で見てもあまり意味がありません。必ずセットで見るべきなのが「売上の成長率」です。倍率が高くても、それ以上のスピードで売上が増えているなら、その株はむしろ割安だといえます。

売上成長率が30%を超えているかどうかの確認

グロース株として合格点を出せるのは、売上が1年で30%以上増えている会社です。PSRが15倍であっても、売上が50%増えているなら、1年後のPSRは10倍にまで下がります。このように「成長が将来の割高感を打ち消してくれる」のがグロース投資の醍醐味です。

逆に、成長率が10%程度なのにPSRが10倍もあるような株は、明らかに割高です。数字の表面だけを見るのではなく、その裏にある「勢い」を必ず数字で確かめるようにしましょう。

SaaS業界の健全性を測る40%ルールの活用

米国株の投資家がよく使う「40%ルール」という便利な目安があります。「売上成長率」と「利益率(またはキャッシュフローの余裕)」を足して40を超えるなら、その会社は非常に優秀だという判断です。

例えば、売上が50%伸びていて、利益がマイナス10%なら、合計は40になります。これなら、多少の赤字を出してでも成長を優先していることが正当化されます。PSRが高い銘柄を検討するときは、このルールに当てはめて、成長と利益のバランスをチェックしてみましょう。

成長が鈍化したときに倍率が急落するリスクへの備え

一番怖いのは、これまで順調だった成長が止まったときです。成長率が40%から20%に落ちただけで、PSRは20倍から5倍にまで一気に叩き売られることがあります。これを「マルチプルの剥落」と呼びます。

投資している会社の売上が、四半期ごとにちゃんと目標をクリアしているか、しっかり追いかける必要があります。成長が止まるサインを感じたら、たとえ赤字のままでも潔く撤退する勇気も必要です。

失敗しないために売上高倍率のワナを見抜く方法

PSRは便利な指標ですが、それだけを信じすぎると「見かけ倒しの株」を掴まされてしまいます。売上だけが大きく見えても、中身がボロボロな会社はたくさんあります。あなたの大切なお金を守るために、以下の3つのポイントで情報の裏側を確認しましょう。

売上だけが伸びていて営業キャッシュフローがマイナス

売上が増えていても、手元に現金が全く残っていない会社には注意してください。広告費を湯水のように使い、無理やり売上を作っている可能性があるからです。本物の優良企業は、売上が増えるにつれて、営業キャッシュフロー(本業で稼いだ現金)も徐々にプラスになっていきます。

売上高倍率が低く見えても、現金が減り続けているなら、それは「倒産のリスク」を抱えているのと同じです。売上の数字に騙されず、同時にお金の流れもしっかり追いかける癖をつけましょう。

特定の顧客に頼りすぎている収益構造の危うさ

「ある1社との契約が売上の半分以上を占めている」といった会社も、PSRの数字を鵜呑みにしてはいけません。その1社から契約を切られた瞬間に、売上高倍率は意味をなさなくなります。

誰でも知っているような大手企業との契約は心強いですが、お客さんが分散されているかどうかもチェック項目です。幅広い層に支持されている会社の方が、将来の売上の安定感は格段に上になります。

競合他社と比較したときの倍率の異常な高さ

同じ業界のライバルがPSR5倍で取引されているのに、その会社だけが20倍になっているなら、そこには何かしらの理由があります。それが「他社にはない圧倒的な技術」なら納得ですが、単なる「名前が有名だから」という理由なら、それは割高なワナです。

投資する前に、必ずライバル企業3社程度のPSRを並べてみてください。明らかに1社だけ突き抜けて高い場合は、その理由を自分で説明できるまで、安易に手を出さないのが無難です。

グロース株投資で適正水準を自分なりに算出する手順

「適正な価格」は、誰かが教えてくれるものではなく、自分で納得して導き出すものです。過去のデータと比較することで、今の株価がチャンスなのか、そうでないのかが見えてきます。以下の3ステップで、あなただけの「買い基準」を作ってみてください。

証券会社のツールで過去5年間の平均値を出す

まずは、その銘柄の過去のPSRの動きを調べましょう。マネックス証券やSBI証券のツールを使えば、過去の平均的な倍率をグラフで見ることができます。いつも10倍くらいで取引されている株が、今は5倍なら、それは歴史的な買い時かもしれません。

相場の状況によって数字は揺れますが、その銘柄にとっての「いつもの居心地の良い数字」を知ることは、投資の大きな判断材料になります。平均値から外れているときこそ、お宝が眠っているチャンスです。

同業他社の平均値と比較して現在の立ち位置を知る

自分一人で悩むよりも、周りと比べる方が答えは早く出ます。SaaSならSaaS、半導体なら半導体という同じ括りで、平均的なPSRを計算してみましょう。

  • 業界平均が8倍で、検討中の株が6倍なら、少し割安。
  • 業界平均が8倍で、検討中の株が15倍なら、相当な自信がない限りは見送り。

このように基準を持つだけで、感情に流された「高値掴み」を防ぐことができます。他人の評価(株価)を客観的に眺める習慣をつけましょう。

将来の売上予想から1年後の倍率を先読みする

投資は未来を買うものです。今の売上ではなく、1年後の予想売上でPSRを計算してみましょう。証券会社のサイトには、アナリストが予想した来期の売上が載っています。

今の株価が変わらなくても、来期の売上が1.5倍になるなら、PSRは今の3分の2に下がります。「1年後には割安になるから、今のうちに買っておこう」という先読みができるようになれば、あなたはもう初心者卒業です。

PSRでグロース株の割安度を判定して資産を増やす戦略

最後に、PSRを活かして実際に利益を出すための戦い方をお伝えします。数字を知っているだけではお金は増えません。それを「いつ、どのように使うか」というルールを持って、相場に挑みましょう。

指数が暴落したあとの「売られすぎ」を拾うタイミング

市場全体がパニックになっているときは、良い会社も悪い会社も一緒になって売られます。素晴らしい成長を続けているグロース株のPSRが、歴史的な低水準まで落ちてきたときこそ、絶好の買い場です。

みんなが怖がって逃げ出しているときに、一人でPSRの表を眺め、「この会社がこの倍率で買えるのはおかしい」と確信を持って買える人が、最後に大きな利益を手にします。

成長性が本物である企業を長く持ち続ける忍耐力

PSRが適正で、成長性も文句なしの会社を見つけたら、あとはじっくり腰を据えて待つだけです。短期的な株価の上下に惑わされてはいけません。売上の成長が続いている限り、いずれ株価はそれを追いかけて上がっていきます。

「良い会社を、まともな値段で買って、ずっと持っておく」。これが、バフェット氏も大切にしている投資の基本です。数字があなたの判断を支えてくれるからこそ、嵐の中でもホールドし続けられます。

倍率が適正水準に戻ったときに一部を利益確定するルール

株価が上がり、PSRが過去最高水準や、業界平均を大きく超えてきたら、一度冷静になりましょう。すべての株を売る必要はありませんが、利益の一部を確定させて、現金を確保しておくのは賢いやり方です。

「どこまで上がるか」を追うのではなく、「どこまでが適正か」を基準に動く。このルールがあるだけで、バブルが弾けたときに資産を失うリスクを激減させることができます。

この記事のまとめ:PSRを活用した賢い資産運用

PSRは、まだ利益が出ていないグロース株の正体を見破るための、魔法の眼鏡のような指標です。この眼鏡を使いこなすことで、あなたは流行に流されない、自分だけの投資判断ができるようになります。

  • PSR(売上高倍率)は、時価総額を売上で割るだけで誰でも計算できる。
  • グロース株ならPSR10倍以下が狙い目、20倍を超えると警戒が必要。
  • SaaS企業など、業種によって「当たり前」の倍率が違うことを知っておく。
  • スノーフレイクやクラウドストライクのように、高くても成長が本物なら投資対象になる。
  • 売上高成長率と利益率を足して40を超える「40%ルール」を併用する。
  • 売上だけ伸びて現金が減っている「ワナ」に引っかからないよう注意する。
  • 暴落時や成長加速のタイミングを見極め、中長期の視点で資産を育てていく。

米国株の世界には、数年で資産を何倍にもしてくれるような爆発力のある企業がゴロゴロしています。その中から本物を見つけ出し、納得感を持って投資するために、今日からぜひPSRをチェックしてみてください。

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この記事を書いた人

MONEY STUDIO編集部は、投資・金融分野の情報収集・分析を行う複数名の編集メンバーで構成されています。
一次情報・公式データ・実体験をもとに記事を制作しています。
特定の金融商品や投資手法を過度に推奨することはなく、メリットだけでなくデメリットやリスクも明示することを編集方針としています。

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