純金積立と金ETFはどっちが安い?手数料とスプレッドから見る損益分岐点

世界情勢が不安定になると、決まって注目されるのが「金(ゴールド)」です。株や債券と違って、金そのものに価値があるため、資産の守り神として持っておきたい人は多いはず。でも、いざ買おうとすると「毎月コツコツ積み立てる方法」と「証券口座で株のように買う方法」のどちらがお得か迷ってしまいますよね。実は、選び方を一歩間違えると、手数料だけで数万円の差が出てしまいます。今回は、どっちが本当にお得なのか、具体的な数字を出してはっきりさせます。

目次

純金積立と金ETFを比較してコストが安いのはどっち?

投資を始めるとき、まず気になるのが「結局いくらかかるの?」という点ですよね。結論からお伝えすると、純粋にお金を増やすことだけを考えるなら、金ETFの方が圧倒的に安く済みます。一方で、純金積立には「現物を手にする楽しみ」という代えがたい魅力があります。

管理コストを究極に下げるなら金ETF一択

金ETFは、証券口座を通じて株と同じように売り買いできる仕組みです。一番の強みは、持っている間にかかる費用(信託報酬)が驚くほど安いことです。米国株口座で買えるGLDMという銘柄なら、年間のコストはわずか0.10%程度しかかかりません。

100万円分の金を持っていても、1年間の手数料はたったの1000円ほどで済みます。 純金積立の場合、買った瞬間に1.65%ほどの手数料が引かれることが多いため、スタート地点ですでに大きな差がついています。コストにこだわる合理的な人なら、ETFを選ばない手はありません。

現物を手元に残したいなら純金積立が便利

「数字上のデータではなく、本物の金塊を触りたい」という願いを叶えてくれるのが純金積立です。毎月3000円といった少額から積み立てができ、ある程度貯まったら本物の金地金として引き出すことができます。自分の手元に価値あるものが置いてある安心感は、ネット上の数字にはないものです。

万が一、世界中のネットや銀行が止まるような事態になっても、現物の金があれば生きていけます。 この「もしも」の時の備えとして金を考えている人には、少しくらい手数料が高くても純金積立が選ばれています。引き出した金を家族に受け継ぐといった使い方ができるのも、積立ならではの良さですね。

投資金額によって変わる手数料のインパクト

投資する金額が大きくなればなるほど、手数料の「%」が重くのしかかってきます。例えば1000万円を投資する場合、1.65%の購入手数料がかかる純金積立では、買った瞬間に16万5000円が消えてしまいます。一方で、手数料無料の枠がある金ETFなら、この出費をゼロに抑えることも可能です。

少額なら気にならない差も、大きな金額や長い年月で見ると、車が1台買えるほどの差になることがあります。 自分がいくら投資して、何年持ち続けるつもりなのかを最初にイメージしておくことが大切です。まずは少額で積立を始めて、慣れてきたらまとまったお金をETFに回すという使い分けも賢い方法です。

金ETFにかかる具体的な手数料と信託報酬の中身

金ETFは、プロの運用会社が私たちの代わりに金を保管してくれる仕組みです。そのため、私たちは保管や管理の手間を「信託報酬」という形で支払います。最近はネット証券同士の競争が激しく、私たちが支払うコストはどんどん下がっています。

管理費用の安さで選ぶならGLDMや1540

金ETFの中でも、特にコストが安い銘柄を知っておきましょう。米国株口座で買える「GLDM」や、日本の取引所で買える「純金上場信託(銘柄コード:1540)」が代表的です。これらは、中身が本物の金に裏付けられているため、安心して持つことができます。

1540は国内の銀行に金を保管しているため、日本国内で完結させたい人にも選ばれています。 経費率は年率0.44%程度と、純金積立に比べれば十分に低い水準です。より安さを追求するなら米国のGLDM(0.10%)、国内の手軽さなら1540、という選び方がスムーズです。

ネット証券なら売買手数料が無料になる銘柄

SBI証券や楽天証券などの主要なネット証券では、特定の金ETFを「売買手数料無料」に指定しています。本来なら株を買うときと同じように手数料がかかりますが、指定された銘柄なら何度売り買いしてもタダです。

手数料が無料であれば、株価が動いた瞬間に細かく売り買いして利益を出すことも難しくありません。 投資信託のように1日1回しか価格が決まるのを待つ必要もなく、好きなタイミングで取引できるのが強みです。まずは自分の使っている証券会社で、どの銘柄が無料対象なのかをチェックしてみてください。

隠れた出費となる売値と買値の差(スプレッド)

ETFには「買いたい価格」と「売りたい価格」の差、いわゆるスプレッドが存在します。例えば、1万円で買える瞬間に売ろうとすると9990円になるようなイメージです。この差が広ければ広いほど、投資家にとっては実質的なコストになります。

金ETFはこの差が非常に狭く、0.03%から0.1%程度に収まることがほとんどです。 つまり、買った瞬間に損をする分がほとんどないということです。この効率の良さが、短期で利益を狙うトレーダーから長期の資産形成層まで、幅広く支持される理由になっています。

純金積立の運用コストと購入時の手数料を詳しくチェック

純金積立は、証券会社や貴金属店にお金を預けて、毎日少しずつ金を買ってもらう方法です。手間がかからない分、私たちが支払うコストはETFに比べると少し多めになります。具体的な内訳を見て、納得できる内容かどうか確認しましょう。

毎月の積立額に対して引かれる購入手数料

ネット証券で純金積立をすると、一般的に買付金額の1.65%(税込)が手数料として引かれます。1万円分を積み立てたとしても、実際に買えているのは9835円分の金ということです。この「引かれた分」を取り戻すには、金価格が1.65%以上値上がりするのを待つ必要があります。

スタートから少しマイナスの状態で始まるのが、純金積立の注意点です。 毎月の手間を運用会社に任せるための「代行費用」だと割り切れるかどうかがポイントになります。一度設定してしまえば自動で買い続けてくれるので、忙しい人にはこれ以上ないほど楽な仕組みではあります。

田中貴金属や三菱マテリアルの年会費と保管料

証券会社ではなく、昔ながらの貴金属店で積み立てをする場合もあります。田中貴金属工業などの老舗では、月々の積立額に応じて手数料が変わる仕組みが一般的です。会社によっては、1000円から2000円程度の年会費や、金を預かってもらうための保管料が必要なこともあります。

老舗ならではの安心感はありますが、コスト面だけで見るとネット証券よりも高くつくことが多いです。 ただし、お店に直接行って金を受け取れるといった独自のサービスがあるのが魅力です。コスト優先ならネット証券、対面での安心やサービスを重視するなら貴金属店、とはっきり分かれます。

ネット証券の純金積立でかかるスプレッドの負担

純金積立には、購入手数料のほかに「スプレッド」という目に見えにくいコストが隠れています。証券会社が提示する売値と買値の差のことで、1グラムあたり80円から100円程度に設定されているのが一般的です。

価格の約1%近い差があるため、買った瞬間にまた1%ほど損をしていることになります。 購入手数料の1.65%と合わせると、合計で2.5%以上の値上がりがないと利益が出ない計算です。ETFに比べると、利益が出るまでのハードルが少し高いことを覚えておきましょう。

手数料とスプレッドから見る金投資の損益分岐点

では、具体的にどれくらい差が出るのかをシミュレーションしてみましょう。10万円というまとまったお金を投資したとき、どちらの方が早くプラスに転じるのか。数字で見ると、選び方の重要性がよくわかります。

10万円投資した時に手元に残る金額の差

10万円分の金を買った直後の状態を比べてみます。金ETF(手数料無料・スプレッド0.1%と仮定)なら、手元には約9万9900円分の価値が残ります。一方、純金積立(手数料1.65%・スプレッド1%と仮定)では、約9万7350円分まで目減りしてしまいます。

買った瞬間に、すでに約2500円もの差がついていることになります。 この差を埋めるには、金価格が数パーセント上昇するのをじっと待たなければなりません。投資の効率を最優先したい人にとって、この「スタートダッシュの差」は無視できない大きな問題です。

10年間の長期保有で差が出るランニングコスト

さらに、長く持てば持つほど「持っているだけで引かれるコスト」の差も効いてきます。金ETFの中でも格安な銘柄(年率0.1%)と、一般的な金ETF(年率0.44%)を10年持った場合を考えてみましょう。

  • 0.1%の銘柄なら10年で合計約1.0%のコスト。
  • 0.44%の銘柄なら10年で合計約4.4%のコスト。
  • 100万円預けていれば、3万4000円も差が出る。

長期投資では、わずかなコストの差が複利のように膨らんで、最終的な利益を削り取ってしまいます。 「たかが0.数パーセント」と侮らず、できるだけ維持費が安い銘柄を選ぶことが、10年後の自分を助けることにつながります。

利益が出るまでに必要な金価格の上昇幅

純金積立で投資を始めた場合、手数料とスプレッド分を合わせると、金価格が3%近く上がってようやくトントン(損益分岐点)になります。一方で、手数料無料の金ETFなら、わずか0.1%程度の値上がりでプラスに転じます。

つまり、金ETFの方が「圧倒的に早く利益を確定できる」ということです。 少しの値上がりでこまめに利益を出したい人や、短期間での運用を考えている人には、ETF以外の選択肢はないと言っても過言ではありません。逆に言えば、積立を選ぶ人はこの3%のハンデを背負ってでも「現物」や「手軽さ」を選んでいるということになります。

金の現物を引き出す際の費用と手続きの手間

金投資の大きな楽しみの一つが、現物を手にすることです。しかし、実は「引き出す」ときにも意外とお金と手間がかかります。いざという時に困らないよう、それぞれの仕組みを確認しておきましょう。

純金積立なら自宅への配送や店頭受け取りが可能

純金積立をしている場合、貯まった金を10グラムや100グラムといった単位で引き出すことができます。ネット証券なら、マイページから手続きするだけで自宅に保険付きの郵便で届けてくれるサービスもあります。

ただし、引き出す際には「撤去手数料」や「配送手数料」として数千円から数万円かかるのが一般的です。 金そのものは自分のものですが、それを手元に運ぶための実費が必要になります。せっかくコツコツ貯めた金を無駄な手数料で減らさないよう、ある程度まとまった量になってから引き出すのが賢いやり方です。

金ETFで現物に交換するために必要な最低枚数

「金ETFでも現物に変えられる」と聞いたことがあるかもしれませんが、これには非常に高いハードルがあります。国内で人気の「純金上場信託(1540)」の場合、現物に変えるための最低単位は1キログラムからです。

現在の金価格で計算すると、1000万円を優に超える資産を持っていないと現物には変えられません。 普通の個人投資家にとっては、ETFを現物に変えるのは現実的ではないと言えます。現物が欲しいなら最初から純金積立にするか、ETFを売った現金でコインなどを買う方がずっとスムーズです。

手元に置く際にかかる盗難対策や保管用金庫の代金

運良く現物を手に入れたとしても、次の悩みは「どこに置くか」です。自宅に置いておくのは盗難の不安がありますし、火事で溶けてしまうリスクもゼロではありません。しっかりした金庫を買えば数万円、銀行の貸金庫を借りれば年間で数千円から数万円の維持費がかかります。

現物を守るためのコストを考えると、結局ETFの信託報酬を払っている方が安上がりなことも多いです。 「手元にある安心」と「盗まれる不安」は表裏一体です。自分の性格や住環境を考えて、本当に現物を持つべきかどうかを冷静に判断してみてください。

自分に合った金投資の方法を選ぶための判断基準

「結局、私はどっちを選べばいいの?」という疑問にお答えします。投資の目的は人それぞれです。あなたの性格や、将来その金をどう使いたいかに合わせて、ぴったりの方法を選べる基準をまとめました。

資産を守るための「お守り」として持つなら現物

世界経済が崩壊するような大惨事に備えたい、あるいは自分の子供や孫に形ある資産を残したい。そんな思いが強いなら、多少の手数料には目をつぶって「純金積立」で現物を目指しましょう。

自分の手で触れられる価値は、何ものにも代えられない安心感を与えてくれます。 投資効率を追い求めるだけが資産運用の正解ではありません。自分の心が一番落ち着く方法を選ぶことも、投資を長く続けるための立派な戦略の一つです。

値上がり益を効率よく狙いたいなら証券口座

金価格の上下をチャンスと捉えて、資産を効率よく増やしたいなら「金ETF」が最適です。NISA枠を使えば利益にかかる税金もゼロにできますし、何よりコストが安いため利益が出やすいです。

証券口座なら、株や投資信託と一緒に一括で管理できるのも大きなメリットです。 自分の資産全体の中で、金がどれくらいの割合を占めているかが一目でわかります。スマートに、そして合理的に資産を増やしたい現代的な投資家には、ETFが一番の武器になります。

1000円単位で手軽に始めたい初心者の向き不向き

「とりあえず少額から始めてみたい」という初心者の人にとって、純金積立は非常に始めやすい仕組みです。毎月1000円や3000円といった、家計に響かない範囲で無理なく続けられます。

一方で、コストに敏感な初心者なら、最初からETFを1株ずつ買う方が勉強にもなり、お得です。 今はスマホ1つで数百円や数千円からETFが買える証券会社も増えています。「手軽さ」を優先して積立にするか、「お得さ」を優先してETFにするか。自分の直感に合う方を選んでみてください。

売却時の所得区分と利益を最大化する売り方

金を売って利益が出たとき、最後に待っているのが「税金」です。実は、純金積立と金ETFでは、税金の計算方法が全く違います。出口で損をしないために、この違いをしっかり押さえておきましょう。

純金積立の利益にかかる譲渡所得の計算

純金積立で得た利益は、一般的に「譲渡所得(総合課税)」として扱われます。少し難しい仕組みですが、ポイントは「年間50万円までの利益なら税金がかからない」という特別控除がある点です。

利益が少ない個人投資家にとっては、この50万円の控除がある純金積立は意外と節税になります。 他の給与所得などと合算して計算するため、利益が大きくなりすぎると税率が上がってしまう点には注意が必要です。自分がどれくらいの利益を想定しているかで、有利かどうかが決まります。

金ETFの利益を分離課税でシンプルに処理する

一方、金ETFの利益は「申告分離課税」といって、株と同じように一律20.315%の税金がかかります。どれだけ利益が出ても税率は変わらないため、大きなお金を運用する人にとっては計算がしやすく、安心です。

特定口座を使えば、証券会社が税金の計算をすべて自動でやってくれるので、確定申告の手間も省けます。 また、株の損失と利益を相殺(損益通算)することもできるため、他の投資も並行している人には非常に使い勝手が良い仕組みです。事務作業を楽に済ませたいなら、ETFに軍配が上がります。

購入時期をずらして平均取得単価を下げるコツ

金投資で勝つための基本は、一度にドカンと買わずに、時期を分けて少しずつ買うことです。これを「ドルコスト平均法」と呼びます。価格が高いときには少なく、安いときには多く買うことになるため、長期で見ると購入価格が平均化されます。

純金積立はこの仕組みが自動で組み込まれていますが、ETFでも自分で行うことができます。 毎月決まった日に1株ずつ買う、といった自分なりのルールを決めて守るだけです。感情に左右されず、淡々と枚数を増やしていくことが、最終的に大きな利益を手にするための唯一の近道です。

まとめ:コストのETFか、安心の純金積立か

金投資の世界では、安さを優先するか、実感を優先するかで選ぶべき道がはっきりと分かれます。どちらを選んでも、金という「不変の価値」を資産に組み入れる素晴らしい一歩になります。最後に、自分に合った方を選ぶためのチェックリストをまとめました。

  • 金ETFがおすすめな人:
    • とにかく手数料を安く抑えて、利益を最大化したい。
    • NISAを使って非課税で運用したい。
    • 証券口座で株や投資信託と一緒にまとめて管理したい。
    • 好きなタイミングで、1秒でも早く売り買いしたい。
  • 純金積立がおすすめな人:
    • 将来、本物の金塊を手に取って眺めたい、引き出したい。
    • 毎月の手間をかけずに、自動でコツコツ貯めていきたい。
    • ネットや銀行が使えなくなるような、最悪の事態に備えたい。
    • 年間の利益が50万円以下の範囲で、節税しながら持ちたい。

投資に「絶対の正解」はありません。あなたが何を一番大切にしたいか、その気持ちに正直に選ぶのが一番です。お守りとしての金が、あなたの資産を力強く守ってくれることを願っています。

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この記事を書いた人

MONEY STUDIO編集部は、投資・金融分野の情報収集・分析を行う複数名の編集メンバーで構成されています。
一次情報・公式データ・実体験をもとに記事を制作しています。
特定の金融商品や投資手法を過度に推奨することはなく、メリットだけでなくデメリットやリスクも明示することを編集方針としています。

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