「ガソリン代や電気代が上がって、家計が苦しいな」と感じていませんか。
身近なものの値段が上がるのは困りますが、投資の世界ではそれをチャンスに変える方法があります。
その代表が、日本最大の石油・天然ガス開発会社であるINPEX(1605)への投資です。
この記事では、原油の値段が上がるとどうしてINPEXが儲かるのか、その仕組みを中学生でもわかるように解説します。
気になる配当金がいつまで続くのか、損をしないための注意点についても具体的にお話しします。
読み終わる頃には、この株が自分に合っているかどうか自信を持って判断できるようになるはずです。
原油高でINPEXの業績が伸びる仕組みと期待できる恩恵
ガソリンの元となる原油の値段が上がると、私たちの生活は苦しくなります。
しかし、その原油を掘り出しているINPEXにとっては、売り上げが勝手に増えていくボーナスステージになります。
日本株の中でも、原油価格の動きにこれほど素直に反応する銘柄は他にありません。
石油の値段が上がると利益が跳ね上がる単純な理由
INPEXの主な仕事は、地面や海底の下にある石油や天然ガスを探して掘り出すことです。
これを「アップストリーム事業」と呼び、資源そのものの価値が会社の利益に直結します。
1バレルあたりの値段が上がれば、掘り出すコストは変わらないのに、売る値段だけが高くなるからです。
例えば、ブレント原油という世界的な指標が1ドル上がるだけで、年間の利益が約90億円も増える計算になります。原油が高くなればなるほど、何もしなくても会社にお金が舞い込んでくる仕組みです。
この利益が、私たちが受け取る配当金の源泉になります。
世界中で資源の取り合いが起きるとなぜ有利?
世界でエネルギーが不足して資源の奪い合いになると、INPEXの存在感はさらに増します。
日本はエネルギーのほとんどを輸入に頼っているため、自前で資源を確保できる会社は非常に貴重です。
世界中のプロジェクトに参加しているINPEXは、いわば「エネルギーの卸売業者」として強い立場にあります。
特に天然ガスなどは、長期契約で売ることが多いため、一度決まれば安定した収入源になります。
世界が不安定になればなるほど、実物資産であるエネルギーを持つ会社の価値は高まります。
他の石油関連株と比べてINPEXが選ばれる強み
石油関連の株には、ENEOSのような「石油元売り」と呼ばれる会社もあります。
これらは石油を買ってきてガソリンにして売るのが仕事なので、原油が高すぎると逆に利益が減ることもあります。
しかし、INPEXは「ゼロから掘り出す」側なので、原油高の恩恵を100%受けられます。
日本株で「原油価格の上昇」を味方につけたいなら、INPEXが最も効率が良いと言えます。純粋にエネルギー価格の波に乗りたい投資家にとって、一番の近道になる銘柄です。
気になる配当維持の条件と株主還元のルール
投資家にとって最大の関心事は、やはり配当金がしっかりもらえるかどうかですよね。
INPEXは、日本株の中でも株主への還元にとても積極的な会社として知られています。
「儲かったらしっかり分ける」というルールが明確なので、安心して持っていられるのが特徴です。
減配しない方針を掲げる「累進配当」の中身
INPEXは「累進配当」という、投資家にとって夢のような方針を約束しています。
これは「配当を今の金額より減らさず、維持するか増やすかだけにする」という力強い宣言です。
業績が少し悪くなったくらいでは、配当金を下げないという安心感があります。
不景気が来ても、配当金が安定しているのは長期保有する上で大きなメリットです。
コツコツとお小遣いを増やしたい人にとって、この約束は非常に頼もしい味方になります。
利益の40%以上を株主に返す約束とは?
会社が出した利益のうち、どのくらいを株主に配るかを示す数字を「総還元性向」と呼びます。
INPEXはこれを「40%以上」にすると決めています。
つまり、原油高で利益が増えれば増えるほど、私たちの取り分も自動的に増えていく仕組みです。
配当金だけでなく、自分たちの株を買い戻す「自社株買い」も積極的に行っています。利益を会社の中に溜め込まず、株主に還元する姿勢が徹底されています。
1株あたり50円を下限にするという強い決意
さらに安心なのが、配当金額に「下限」を設けている点です。
2024年からの経営計画では、年間で1株につき最低でも50円は配当を出すと決めています。
株価がどう動こうと、この最低ラインが守られるのは大きな強みです。
原油価格が一時的に下がっても、この50円という壁があるおかげで、株価が底割れしにくくなります。
高配当株として非常に守りが固い銘柄だと言えるでしょう。
日本株の中でINPEXが「原油高銘柄」と言われる根拠
なぜINPEXがこれほどまでに原油高に強いと言い切れるのでしょうか。
それは、他の会社には真似できない巨大な資産と、日本政府との特別な関係があるからです。
その正体を詳しく見ていくと、この会社の安定感の理由がよく分かります。
オーストラリアの巨大プロジェクト「イクシス」の稼働
INPEXの収益を支えている一番の柱は、オーストラリアにある「イクシスLNGプロジェクト」です。
これは海底から天然ガスを掘り出し、冷やして液体にして日本などに運ぶ巨大な仕組みです。
これ一つで、日本の天然ガス輸入量の約1割をカバーできるほどの規模があります。
一度稼働してしまえば、数十年間にわたってガスを産み出し続けてくれます。この安定した巨大工場を持っていることが、INPEXの稼ぎの土台になっています。
日本政府が株主であることによる特別な安心感
INPEXは、普通の会社とは少し違った生い立ちを持っています。
筆頭株主は「経済産業大臣」であり、政府が約20%の株を持っています。
さらに、重要な決定を拒否できる「黄金株」という特別な株も政府が握っています。
これは、日本のエネルギー自給を守るために、国が守っている会社だということです。
倒産のリスクが極めて低く、国策として支えられている安心感は、他の民間企業にはない魅力です。
| 項目 | INPEX(1605)基本データ |
| 証券コード | 1605 |
| 主な事業 | 石油・天然ガスの探鉱、開発、生産 |
| 筆頭株主 | 経済産業大臣(約20%保有) |
| 配当方針 | 累進配当(下限50円)、総還元性向40%以上 |
| 株主優待 | 400株以上でQUOカード(継続保有条件あり) |
| 他との違い | 政府が拒絶権付種類株式(黄金株)を保有する唯一の上場企業 |
石油だけでなく天然ガスへのシフトも進んでいる
「石油は環境に悪いから、将来性が不安」と思う人もいるかもしれません。
しかし、INPEXは石油よりも環境負荷の少ない「天然ガス」に力を入れています。
天然ガスは、再生可能エネルギーへ移行するまでの大事な橋渡し役として、世界中で需要が高まっています。
古臭い石油会社ではなく、クリーンなエネルギーへと姿を変えようとしている最中です。
時代の流れを読み、生き残るための準備をしっかり進めている点も評価できます。
投資する前にチェックすべきINPEXの注意点
良いところばかりに見えるINPEXですが、投資である以上は当然リスクもあります。
特に、原油価格という自分たちではコントロールできないものに運命を握られている点は、理解しておかなければなりません。
「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、以下の3つのポイントを確認しましょう。
原油価格が暴落した時に株価はどう動く?
INPEXの株価は、原油価格の動きと双子のようにそっくりな動きをします。
原油が上がれば天国ですが、急落した時は株価も一気に谷底へ突き落とされます。
過去には、原油が暴落したタイミングで株価が半分近くまで下がったこともありました。
短期的な値動きは非常に激しいため、毎日株価を見て一喜一憂する人には向かないかもしれません。「原油価格の波に飲み込まれるリスク」があることを、常に覚悟しておく必要があります。
1ドルいくら?円安が利益を削ってしまう仕組み
意外と見落としがちなのが、為替の影響です。
INPEXの売り上げはドル建てが多いため、円安になると日本円に直した時の利益が増えます。
逆に、急激な円高が進むと、たとえ原油価格が変わらなくても利益が減ってしまいます。
1ドルにつき1円の円高が進むと、利益が約20億円も減る計算です。
原油だけでなく、ドルと円の力関係にも目を光らせておく必要があります。
脱炭素の流れで石油の需要がなくなるリスク
世界中で「脱炭素(カーボンニュートラル)」が叫ばれており、ガソリン車を減らす動きが進んでいます。
数十年後には石油の出番がなくなっているかもしれない、という不安は常に付きまといます。
これが、INPEXの株価が利益の割に低く評価されている大きな理由です。
会社は水素やアンモニアといった新しいエネルギーに投資していますが、それが成功するかはまだ分かりません。
将来のエネルギーの変化に、会社がついていけるかどうかを見極める必要があります。
INPEXの株価と原油価格の連動性をシミュレーション
実際に原油が動いた時、INPEXの数字はどう変わるのでしょうか。
感覚ではなく、具体的な数字でシミュレーションしてみることで、投資の判断基準がはっきりします。
利益の変化と、私たちが買うべきタイミングを考えてみましょう。
ブレント原油が10ドル動くと利益はどう変わる?
指標となるブレント原油の価格が10ドル上がると、INPEXの純利益は約900億円増えます。
これだけ利益が増えれば、配当金をさらに上乗せする余裕も生まれます。
逆に10ドル下がれば、それだけ利益が削られるということです。
ニュースで原油価格を見た時に、「あ、これでINPEXの利益がこれくらい動くな」と想像できるようになります。原油の値段1ドルが、会社の運命を左右する重みを持っています。
配当利回りが4%を超えた時の買いタイミング
株価が下がって、配当利回りが4%や5%を超えてくると、投資のチャンスと言えます。
下限50円というルールがあるため、利回りが高い状態で買えれば、その後は安定したお小遣い箱になります。
無理に高い時に買わず、原油価格が落ち着いて株価が売られている時を待つのがコツです。
高配当株は「安く買って、長く持つ」のが鉄則です。
利回りの数字を一つのバロメーターにして、買い時を探ってみましょう。
過去の暴落局面でどれくらい売られたか
過去に原油価格がマイナスになったり、30ドル台まで急落したりした時、INPEXの株価も大きく売られました。
しかし、そんな時でも政府が筆頭株主であるという安心感から、ゼロになることはありませんでした。
暴落した時に勇気を持って買えた人が、その後の回復で大きな利益を手にしています。
歴史は繰り返しますので、過去の安値を調べておくことは、暴落時にパニックにならないための良い薬になります。
「ここまで下がったら買い増そう」と、あらかじめ決めておくと冷静でいられます。
長期で保有するなら知っておきたい出口の考え方
INPEXの株を買った後、いつまで持っておくべきかはとても難しい問題です。
「高配当だから一生持つ」というのも一つの正解ですが、時代の変化に合わせて出口を考えることも大切です。
未来のINPEXがどうなっているか、その変化のサインを見逃さないようにしましょう。
石油から水素やアンモニアへ変わる将来像
INPEXは今、石油の会社から「総合エネルギー企業」へと生まれ変わろうとしています。
2050年までに二酸化炭素の排出をゼロにするという大きな目標を掲げています。
そのために、水素を作ったり、二酸化炭素を地中に埋めたりする新しい技術に、毎年数千億円も投資しています。
この新しい事業が利益を出し始めたら、石油への依存度が下がり、会社の評価はもっと高まるはずです。「新しいINPEX」になれるかどうかが、持ち続けるかどうかの判断基準になります。
高配当を目当てに持ち続ける時のマイルール
配当金が目的であれば、累進配当のルールが守られている限り、持ち続けて良いでしょう。
ただし、もし会社が「累進配当をやめる」と言い出したり、配当の下限を撤回したりしたら要注意です。
それは、株主を大切にする姿勢が変わったというサインかもしれません。
自分の中で「このルールが壊れたら売る」という線を引いておきましょう。
そうすることで、ズルズルと損を広げるのを防ぐことができます。
業績が悪化した時の売り時を見極めるサイン
原油価格が長期間にわたって低迷し、イクシスのような大きなプロジェクトでトラブルが起きた時は警戒が必要です。
巨額の赤字が出て、内部留保(会社に貯めているお金)が削られ始めると、いくら累進配当でも維持が難しくなります。
決算説明資料などで、「資産の減損」という言葉が出てきたら詳しく中身をチェックしてください。
会社の体力が削られていないか、定期的に健康診断をするような気持ちでチェックを続けましょう。
おかしな変化にいち早く気づくことが、大切な資産を守ることにつながります。
他のエネルギー関連銘柄と比較した時の特徴
エネルギーに関連する株は、INPEXだけではありません。
他の銘柄と比べることで、INPEXの立ち位置がよりはっきりと見えてきます。
自分の投資目的に合っているのはどれか、ライバルたちと比較してみましょう。
ENEOSなど製油所系との決定的な違い
ENEOSやコスモエネルギーなどの元売り会社は、石油を「加工して売る」のが仕事です。
原油価格が上がると、仕入れ値も上がるため、実は利益を出すのが難しくなる局面もあります。
逆にINPEXは「掘る」だけなので、原油高がストレートにプラスに働きます。
「原油高で得をしたい」ならINPEX、「ガソリンの販売競争で儲けたい」ならENEOSという使い分けです。儲けの仕組みが全く違うので、混同しないように注意しましょう。
伊藤忠商事などの商社株とどっちが原油に敏感?
三菱商事や三井物産、伊藤忠商事といった総合商社も、資源をたくさん扱っています。
しかし、商社は石油だけでなく、鉄鉱石や食料、コンビニ経営など、あらゆる事業をしています。
原油価格が上がっても、他の事業が悪いと全体のリターンは相殺されてしまいます。
ピンポイントで原油の恩恵を受けたいなら、INPEXのほうが圧倒的に敏感に動きます。
逆に、リスクを分散しながら資源も持ちたいなら商社株のほうが向いています。
資源国オーストラリアやアメリカの株と比べる
世界に目を向けると、エクソンモービル(アメリカ)やウッドサイド・エナジー(オーストラリア)といった超巨大企業があります。
これらはINPEXよりも規模が大きく、よりグローバルに活動しています。
ただ、これらを買うには外国株の口座が必要で、為替の影響もよりダイレクトに受けます。
日本株として円で買えて、日本政府の後ろ盾があるという点は、INPEXならではのメリットです。「身近な安心感」と「原油高への感度」を両立しているのが、INPEXのポジションです。
まとめ:INPEXでエネルギーの波を味方につける
INPEX(1605)への投資は、世界的なエネルギー価格の上昇を自分の資産の伸びに変える、非常に賢い方法です。
- 原油価格が1ドル上がると、純利益が約90億円も増える仕組み。
- 減配をしない「累進配当」を掲げ、配当の下限を1株50円に設定している。
- オーストラリアのイクシスLNGプロジェクトが、長期的な稼ぎの柱。
- 日本政府が筆頭株主であり、黄金株も保有しているため安定感が抜群。
- 原油価格の暴落や、急激な円高による利益減少のリスクには注意が必要。
- 石油から水素・天然ガスへの転換を進めており、将来の脱炭素にも対応中。
- 配当利回りが高い時に仕込み、長期でじっくり持つスタイルが向いている。
家計を圧迫するエネルギー高騰を、投資による利益で相殺できれば、精神的にも余裕が生まれます。
まずは100株からでも、日本のエネルギーを守るこの会社の「オーナー」になって、将来の備えを始めてみませんか。
