働かなくても定期的にお金が入ってくる「配当金生活」は、多くの人の憧れですよね。特にアメリカの企業は株主を大切にする文化が根付いており、配当利回りが3.5%を超える銘柄も珍しくありません。
この記事では、米国高配当投信がなぜ高い利回りを維持できるのか、その裏側にある厳しい銘柄選びのルールを紐解きます。具体的な人気銘柄の比較や、新NISAでの買い方もまとめました。読み終える頃には、自分にぴったりの投資先がはっきりと見えているはずです。
米国高配当投信で3.5%の利回りを維持できるかどうかの答え
「3.5%なんて、高すぎていつか下がるのでは?」と不安に思うかもしれません。結論から言うと、選ぶ銘柄を間違えなければ、この水準を長く維持できる可能性は十分にあります。アメリカ市場には、日本とは比較にならないほど強力な「稼ぐ力」を持った企業が揃っているからです。
過去10年の分配金が右肩上がりの理由
アメリカの代表的な高配当銘柄を集めた指標は、過去10年以上にわたって支払うお金を増やし続けてきました。一時的なブームではなく、企業が稼いだ利益をしっかり積み上げてきた結果です。
世界中で使われる製品を持つ企業が多いため、不況になっても利益がゼロになりにくいのが強みです。 実際にVYMという有名な銘柄などは、1株あたりにもらえるお金が10年前の約2倍にまで増えています。
利益を株主に還元し続けるアメリカ企業の文化
アメリカの経営者は、株主に配当を出すことを「最も重要な任務」と考えています。25年以上も連続で配当を増やし続けている「配当貴族」と呼ばれる企業が、60社以上も存在するのがその証拠です。
もし配当を減らしたりやめたりすれば、投資家から見放されて株価が暴落してしまいます。「意地でも配当を出し続ける」という強い意志が、3.5%という高い利回りを支える土台になっています。
世界経済の成長と連動する仕組み
アメリカ企業は国内だけでなく、世界中でビジネスを展開しています。インドや東南アジアなどの人口が増えている地域でモノが売れれば、その利益は配当として戻ってきます。
投資信託を通じてこれらの企業を丸ごと持つことは、世界経済の成長を自分のポケットに入れることと同じです。特定の会社だけでなく数百社に分散して投資するため、1社の業績が悪くなっても全体への影響を抑えられます。
3.5%の利回りを支える銘柄選定の仕組み
高い利回りを維持するためには、ただ配当が多い会社を適当に集めているわけではありません。中身がボロボロの会社が入ってこないよう、投資信託ごとに「入会審査」のような厳しいルールが設けられています。
借金が多すぎる企業を弾く財務フィルター
いくら配当が多くても、借金まみれで無理に払っている会社は長く持ちません。そのため、多くの投資信託では企業の「お財布事情」を厳しくチェックしています。
例えばHDVという銘柄は、モーニングスター社という専門機関の指標を使い、利益が安定していない企業を自動的に排除します。倒産のリスクが低い、健康な会社だけを厳選してリストに入れているのが特徴です。
過去の支払い実績を重視する厳しい基準
「今年だけたまたま配当をたくさん出した」という会社は、翌年に配当をゼロにするかもしれません。これを防ぐために、過去数年間の支払い実績を条件に加えているファンドが多いです。
数年にわたって安定して配当を出し続けている実績こそが、信頼の証になります。厳しい過去の試練を乗り越えてきた「ベテラン企業」だけを集めることで、分配金の安定感を高めています。
業種の偏りを防いでリスクを分散するルール
特定の業界、例えば銀行やエネルギー関連の株ばかりになってしまうと、その業界の景気が悪くなったときに共倒れしてしまいます。これを避けるため、一つの業界が占める割合に上限を設ける工夫がされています。
「どんな天候でも進み続けられる船」を作るために、様々な業種をバランスよく混ぜ合わせています。特定のニュースで資産全体が大きく目減りしないよう、仕組みとして守られているのです。
3.5%以上の利回りを狙える主な投資先
ここからは、実際に3.5%前後の利回りを狙う際によく選ばれる、具体的な名前を紹介します。それぞれ性格が違うので、自分の好みに合うものを見つけてみてください。
バランス重視のVYM
VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)は、アメリカの約400社に広く投資する、最も王道な選択肢です。利回りは3.0%前後と少し控えめですが、その分、資産そのものが増える力も持っています。
配当だけでなく、将来的な値上がりも欲張りたい人に向いています。400社という圧倒的な分散力があるため、今回紹介する中では最も守りが堅い銘柄といえます。
| 項目 | 詳細内容 | 他との違い |
| 利回り目安 | 約3.0% | 安定感は抜群 |
| 銘柄数 | 約400銘柄 | 圧倒的に広い分散 |
| 手数料 | 年0.06% | 業界トップクラスの安さ |
他の2つに比べると「刺激」は少ないですが、10年単位で持ち続けるならこれに勝る安心感はありません。
財務の健全性を追求するHDV
HDV(iシェアーズ・コア 米国高配当株ETF)は、利回り3.5%から4.0%程度を狙える銘柄です。ただ配当が多いだけでなく、エネルギーや通信といった、生活に欠かせないビジネスをしている企業が多く入っています。
財務が健全な75銘柄程度に絞って投資するため、不況のときに強さを発揮します。「とにかく潰れない、しっかりした会社からお金をもらいたい」という慎重派の方にぴったりな1本です。
| 項目 | 詳細内容 | 他との違い |
| 利回り目安 | 約3.5%〜4.0% | 安定と高利回りの両立 |
| 銘柄数 | 約75銘柄 | 財務の良い企業を厳選 |
| 手数料 | 年0.08% | 非常に低いコスト |
VYMよりも利回りが高く、後述するSPYDよりもリスクが抑えられているため、ちょうど中間的な立ち位置になります。
高利回りに特化したSPYD
SPYD(SPDRポートフォリオ S&P500高配当株式ETF)は、利回り4.0%から5.0%を超えることもある、高利回りの主役です。S&P500という有名な指数のなかで、配当利回りが高い上位80社を均等に買っています。
景気が良いときには爆発的な力を発揮しますが、値動きもそれなりに激しいのが特徴です。「今はとにかく手元の現金を増やしたい」という目的があるなら、最有力の候補になります。
| 項目 | 詳細内容 | 他との違い |
| 利回り目安 | 約4.0%〜5.0% | トップクラスの高さ |
| 銘柄数 | 約80銘柄 | 利回り上位を均等買い |
| 手数料 | 年0.07% | 格安で高利回りを狙える |
他の銘柄に比べて不動産や公共事業などの業種が多くなる傾向があります。利回りの高さと引き換えに、価格の変動を受け入れる覚悟が必要です。
米国高配当投信で分配金をもらうときにかかるコスト
投資には必ずコストがかかりますが、米国株の場合は日本の株よりも少し複雑です。後から「思っていたより手元に残らない」とがっかりしないよう、あらかじめ引かれるお金の正体を知っておきましょう。
運用会社へ支払う年率0.1%以下の手数料
アメリカの有名な高配当投信(ETF)は、手数料が驚くほど安いです。今回紹介したVYMなどは年0.06%程度で、100万円預けても年間で600円ほどしかかかりません。
日本の銀行で勧められるような手数料1.0%以上の商品とは、天と地ほどの差があります。手数料が安い分だけ、投資家である私たちの手元に残るお金が確実に増えることになります。
アメリカと日本で引かれる税金の仕組み
配当金をもらう際、まずはアメリカで10%の税金が引かれます。その後、日本でも約20%の税金が引かれるため、何もしないと合計で約30%も取られてしまいます。
例えば1万円の配当が出ても、手元に届くのは7,000円くらいになるイメージです。この二重に取られる税金は、米国株投資をする上で避けては通れないルールになっています。
確定申告で払いすぎた税金を取り戻す手順
二重に取られた税金は、「外国税額控除」という手続きを自分で行うことで、一部を取り戻せます。確定申告の時期に、1年間に払った税金の明細を提出するだけです。
「難しそう」と感じるかもしれませんが、今はスマホの確定申告アプリで簡単に済ませられます。数千円から数万円が戻ってくることもあるため、高配当投資をするなら絶対に覚えておきたい節税のテクニックです。
利回りが下がってしまう主な要因
「3.5%の利回りが永遠に続く」と過信するのは禁物です。市場の状況や株価の動きによって、計算上の利回りは常に変化しています。どんなときに利回りが下がってしまうのか、あらかじめ予習しておきましょう。
アメリカの金利と配当の意外な関係
アメリカの中央銀行が金利を上げると、高配当株の魅力が相対的に下がることがあります。リスクのある株を持たなくても、銀行に預けるだけで高い利子がもらえるようになるからです。
そうなると、投資家が株を売ってしまい、株価が下がることがあります。利回りそのものは上がっても、持っている資産の価値が減ってしまう時期があることは理解しておきましょう。
株価が上がりすぎて利回りが計算上減る現象
実は、企業の業績が良すぎて株価がどんどん上がると、利回りは下がってしまいます。利回りは「配当金 ÷ 株価」で計算されるため、分母である株価が大きくなると数字は小さくなるからです。
これは嬉しい悩みですが、新しく買おうとする人にとっては効率が悪くなります。利回りが3.0%を切るようなときは、企業が配当を減らしたのではなく、人気が出すぎて株価が高くなっている可能性があります。
企業の業績が悪化して配当がカットされるリスク
最も避けたいのが、企業の業績が悪くなって配当を減らす「減配(げんぱい)」です。不況になると、どんなに有名な大企業でも配当を維持できなくなることがあります。
投資信託はこのリスクを分散してくれますが、全体的な景気が冷え込めば、もらえるお金が減ることもあります。一つだけの銘柄に絞らず、複数の投資信託や資産に分けて持っておくことが、配当生活を長続きさせるコツです。
投資信託とETFはどちらが効率的?
米国高配当株に投資する方法には、日本円でそのまま買える「投資信託」と、米ドルで株のように売買する「ETF」の2種類があります。どちらが自分に合っているか、生活スタイルに合わせて選んでみてください。
手間をかけずに再投資できる投資信託
投資信託のメリットは、100円などの少額から、すべて自動で積み立てができる点です。もらった分配金をそのまま自動で投資に回してくれるタイプを選べば、効率よく資産を増やせます。
「いちいち自分で買い付けるのは面倒」という忙しい方に向いています。日本円のまま注文できるので、為替の手続きなどを一切気にせずに済むのが最大の魅力です。
リアルタイムの価格で売買できるETF
ETF(上場投資信託)は、証券取引所でリアルタイムに値段が動いているため、自分の好きなタイミングで売買できます。投資信託よりもさらに手数料が安い傾向にあります。
「今が底値だ!」と思った瞬間に買える楽しみがありますが、ある程度まとまったお金が必要です。自分でドルに両替して注文する手間を惜しまないなら、コスト面ではETFに軍配が上がります。
毎月の分配金を生活費に回すスタイル
高配当投資の醍醐味は、なんといっても定期的に現金が振り込まれることです。ETFなら年4回、決まった月にお金が証券口座に入ってきます。
この現金を旅行代に使ったり、ちょっといいランチを食べたりすることで、投資の成果を実感できます。「将来の大きな資産よりも、今使えるお小遣いが欲しい」という方は、ETFで直接分配金を受け取るのが一番楽しいですよ。
新NISAの成長投資枠で米国高配当投信を買う方法
2024年から始まった新NISAを使えば、日本国内の税金(約20%)をゼロにできます。米国株の配当を最大限に受け取るために、これを使わない手はありません。
楽天証券やSBI証券での具体的な注文手順
まずはネット証券の「成長投資枠」を選び、銘柄名(VYMなど)を検索します。あとは買いたい株数や金額を入力するだけです。
最近はどちらの証券会社も画面が使いやすくなっており、数分で注文が完了します。一度「積立設定」をしてしまえば、毎月決まった日に勝手に買ってくれるので、最初だけ頑張って設定を済ませましょう。
日本円から米ドルへ両替する際の手数料
ETFを買う場合、日本円を米ドルに変える必要があります。このときにかかるのが為替手数料ですが、ネット証券によってはこれを無料にしているところもあります。
例えばSBI証券などは、米ドルの購入手数料を無料化するなどのサービスを行っています。こうした小さな手数料を節約することで、最終的に手にできる配当金の額に差が出てきますよ。
非課税枠を最大限に活かす長期保有のコツ
NISAは「売らずに持ち続けること」で最大の効果を発揮します。売ってしまうと、せっかくの非課税枠を使い切ってしまうからです。
配当金はもらいつつ、本体の株はずっと持ち続けるのが理想の形です。「目先の小さな利益で売らず、10年後の大きな自分へのプレゼント」だと考えて、ゆっくり育てていくのが成功の秘訣です。
米国高配当投信で資産を増やすための注意点
最後に、高配当投資で失敗しないための大切な心構えをお伝えします。数字上の利回りだけに惑わされず、冷静な判断ができるようにしておきましょう。
特定の時期にまとめて買わない工夫
「今は円安だから」「株価が高いから」と悩んで、なかなか買えないことがあります。そんなときは、一度にドカンと買わずに、時期を分けて少しずつ買うのが正解です。
これなら、高いときに買いすぎるリスクを減らせます。「時間は味方」だと信じて、淡々と決まった金額を積み立てていくのが、最も負けにくい投資方法になります。
暴落したときに手放さないための心の準備
株の世界には、数年に一度は大きな暴落がやってきます。画面上の資産が半分近くになることもあるかもしれません。そんなときこそ、高配当株の強みが活きます。
株価が下がっても、企業が潰れなければ配当は出続けます。「安く買えるチャンスが来た」と笑えるくらいの余裕を持って、嵐が過ぎ去るのを待つ忍耐強さが必要です。
投資信託の中身を自分でチェックする頻度
一度買ったら放ったらかしでもいいですが、1年に1回くらいは「どんな会社が入っているか」を眺めてみるのがおすすめです。運用報告書を見れば、上位の銘柄がわかります。
自分がどんなビジネスを応援しているのかを知ることで、投資への愛着も湧いてきます。「知らないうちにお金が減っていた」という事態を防ぐためにも、自分の持ち物の状態を把握する習慣をつけましょう。
まとめ:米国高配当投信で安定した現金収入を作ろう
米国高配当投信は、厳しい基準をクリアしたエリート企業から、安定してお金をもらえる優れた仕組みです。利回り3.5%という数字は、決して不可能な目標ではありません。
- アメリカ企業の「株主還元」の強さが高い利回りを支えている
- VYM、HDV、SPYDなど、性格の違う銘柄から自分に合うものを選ぶ
- 外国税額控除などの手続きを忘れずに行い、コストを最小限にする
- 新NISAの成長投資枠を使い、日本国内の税金をゼロにする
- 株価の変動に一喜一憂せず、長期で持ち続けて配当を受け取り続ける
お金に働いてもらう仕組みを一度作ってしまえば、生活の不安は少しずつ減っていきます。まずは少額からでも、今日からアメリカの成長を自分の味方にしてみませんか?
