インデックス投資に損切りは必要?唯一売却を検討すべき状況を解説

「せっかく始めた新NISAなのに、画面を見たらマイナスになってる……」と、スマホを閉じたくなったことはありませんか。自分が一生懸命働いて貯めたお金が減っていくのを見るのは、誰だって怖いものです。「これ以上減る前に売ったほうがいいのかな?」と損切りが頭をよぎるのも無理はありません。

でも、安心してください。インデックス投資において、株価が下がったからという理由で売る必要は全くありません。むしろ、そこで売ってしまうことこそが、将来手にするはずだった大きな利益を手放すことになってしまいます。この記事では、なぜ損切りをしてはいけないのか、そして「どうしても売らなければならない時」とはいつなのかを、隣の友人に教えるように分かりやすくお伝えします。

目次

インデックス投資に損切りが必要ない根本的な理由

投資を始めると、毎日変わる数字に一喜一憂してしまいますよね。でも、インデックス投資は数ヶ月や1年で結果を出すものではありません。世界全体の経済は、デコボコ道を通ることはあっても、長い目で見れば右肩上がりに成長を続けています。この「成長の波」に乗っている限り、一時的な下落で慌てて降りる必要はないのです。

長期で持ち続ければプラスになる歴史的データ

過去のデータを紐解くと、投資の成功には「時間」が味方をしてくれることが分かっています。例えば、米国の代表的な株価指数であるS&P 500の場合、1926年から2023年までの長い歴史の中で、15年以上保有し続けた人は誰一人として損をしていません。

どのタイミングで始めても、15年経てば資産は必ずプラスになっていたという事実があります。「今がマイナスだから」と1年や2年で売ってしまうのは、この確実性の高い勝利を自ら捨てているのと同じです。

  • 15年以上の保有でマイナスになったケースは過去にゼロ
  • 短期的には30%以上下落する年も珍しくない
  • 長く持つほど、リターンの振れ幅は落ち着いていく

安い時期に買い増せるチャンスを逃すリスク

多くの人が「価格が下がった時」をピンチだと感じますが、積立投資を続けている人にとっては最大のチャンスです。毎月決まった額を購入している場合、価格が下がると、その分たくさんの「株の数(口数)」を買うことができます。これをドル・コスト平均法と呼びます。

この安い時期にたくさん仕込んでおくことで、次に価格が上がった時に資産が爆発的に増える仕組みです。損切りをして市場から逃げ出してしまうと、この「バーゲンセール」で買い増すチャンスを自ら放棄することになります。

複利の力を最大限に活かすための「待つ」戦略

インデックス投資の最大の武器は「複利」です。運用で得た利益をさらに運用に回すことで、雪だるま式に資産が増えていきます。この雪だるまを大きくするためには、転がし続ける時間を途切れさせてはいけません。

途中で売却してリセットしてしまうと、せっかく大きくなりかけた雪だるまが壊れてしまいます。「何もしないこと」が、実は資産を最も効率よく増やすための最強のテクニックなのです。

インデックス投資で損切りをすると損をする仕組み

「一旦売って、もっと安くなったら買い直せばいい」と考える人もいます。しかし、これがプロでも難しい至難の業なのです。売却した瞬間に、目に見えない多くのコストを支払うことになります。その結果、手元に残るお金は、ただ持ち続けていた時よりも確実に少なくなってしまう仕組みを理解しておきましょう。

利益に対してかかる 20.315% の税金とコスト

投資で利益が出た場合、その利益に対して20.315%という大きな税金がかかります。もし100万円の利益が出ていれば、約20万円が税金として引かれてしまいます。特定口座などの課税口座で運用している場合、この税金の支払いは避けられません。

一度売却して、また買い直すという行為を繰り返すと、そのたびに資産の一部が税金として消えていきます。そのまま持っていれば20万円分もさらに運用に回せていたはずなのに、売却することで運用効率がガクンと落ちてしまうのです。

上昇相場に乗り遅れる「機会損失」の大きさ

株価の動きには「稲妻が輝く瞬間」と呼ばれる、爆発的に上昇する数日間があります。歴史を振り返ると、市場の全期間のうち、この上昇率が高いわずか数日間を逃すだけで、最終的な運用成績は半分以下になってしまうというデータがあるほどです。

「もっと下がるかも」と売ってしまい、次に上がるタイミングを待っている間に、この稲妻を逃してしまう人が後を絶ちません。いつ上がるかを完璧に予想することは不可能だからこそ、常に市場に居続けることが、利益を逃さないための唯一の答えです。

損益通算ができない新NISA制度との相性の悪さ

新NISAを使っているなら、損切りはさらにもったいない行為になります。NISA口座内で出た損失は、他の利益と相殺する「損益通算」ができません。つまり、普通の口座なら税金を安くできる「損出し」というテクニックすら使えないのです。

さらに、一度売却して減ってしまった資産は、NISAの非課税枠を無駄に消費したことになります。新NISAは「ずっと持っておく」ことを前提に設計された制度なので、安易に売ることは制度のメリットを自分から捨てていることになります。

下落したインデックス投資の売却を検討する前に知るべきこと

今の下げが「世界の終わり」のように感じてしまうかもしれませんが、歴史は繰り返されます。これまでにも世界は何度も深刻な不況を経験してきましたが、そのたびに力強く復活してきました。今の状況を少し広い視点で見るための事実を確認してみましょう。

暴落しても数年で回復してきた過去の事例

2008年に起きたリーマンショックでは、世界中の株価が約半分にまで落ち込みました。当時は誰もが「もうダメだ」と思いましたが、配当込みの指数で見ると、わずか5年ほどで元の水準まで回復しています。

その後の力強い上昇を考えれば、あの時売らなかった人たちが勝者となりました。「今は下がっているけれど、5年も経てば笑い話になっているはずだ」と過去の歴史を信じることが、投資を続けるコツです。

  • リーマンショック(2008年):約5年で回復
  • コロナショック(2020年):わずか数ヶ月で回復
  • ITバブル崩壊(2000年):約7年で回復

世界の人口と経済が成長し続けているという事実

投資信託の中身は、世界中の企業の集合体です。世界全体の人口は増え続けており、それに伴って消費も増え、経済の規模も大きくなっています。国際通貨基金(IMF)の予測でも、世界全体のGDPは長期的には成長し続けるとされています。

あなたが持っているインデックスファンドは、この地球全体の成長に投資しているようなものです。「人類がより豊かな生活を求めること」をやめない限り、世界経済の価値は長期的に上がっていくと考えるのが自然です。

優良な投資信託なら中身が自動で入れ替わる点

例えば「eMAXIS Slim オール・カントリー(通称:オルカン)」などの優れたインデックスファンドは、中身の企業を定期的に入れ替えてくれます。勢いのなくなった企業は除外され、新しく成長してきた企業が自動的に組み込まれる仕組みです。

つまり、あなたが個別の企業を調べる必要はなく、ファンドが勝手に「常に勝てるチーム」に作り替えてくれています。時代が変わっても、その時代の主役となる企業に投資し続けられるのが、インデックス投資の素晴らしいところです。

項目eMAXIS Slim オール・カントリー
信託報酬(手数料)年率 0.05775% 以内
投資対象全世界の株式(約 3000 銘柄)
特徴業界最低水準の手数料を目指し続ける

唯一インデックス投資の売却を検討してもいい特別な状況

ここまで「売るな」と言ってきましたが、例外はあります。投資はあくまで「より良く生きるための手段」であって、人生の目的ではないからです。お金が必要な時に使えないのであれば、投資をしている意味がありません。

人生のイベントでまとまった現金が必要になった時

住宅の購入資金や子どもの教育費など、あらかじめ決まっていた大きな出費がある場合は、市場の状況に関わらず売却を検討しても良いでしょう。これらのライフイベントは待ってくれません。

理想を言えば、使う時期の数年前から少しずつ現金化しておくのがベストです。しかし、どうしてもお金が足りない時に、投資していた資産を生活の助けとして使うのは正しい判断といえます。

収入の減少や急な出費で生活費が足りない場合

失業や病気、あるいは事故などで急に現金が必要になり、手元の貯金だけでは足りなくなった時は、迷わず資産を取り崩してください。投資を続けるために借金をしたり、今の生活を壊したりするのは本末転倒です。

まずは自分と家族の生活を守ることが最優先です。投資は余剰資金で行うのが鉄則ですので、生活基盤が揺らいだ時は一度立ち止まり、立て直すために資産を使ってください。

資産運用のゴールに到達して出口戦略を始める時

20年、30年と投資を続け、目標としていた金額に到達した時。これこそが、胸を張って売却できる時です。リタイア後の生活費として、育ててきた資産を少しずつ切り崩していくステージに入ります。

この時は一気に全部売るのではなく、必要な分だけを売っていくのがコツです。「資産を増やすフェーズ」から「資産を使うフェーズ」に切り替わったのなら、市場の上げ下げを気にしすぎる必要はありません。

損切りを迷うインデックス投資家が守るべき新NISAのルール

新NISAは、私たち個人投資家にとって最強の味方ですが、使いこなすには「売らない」という強い意志が必要です。一度売ってしまうと、そのメリットを100%享受することが難しくなるからです。新NISAならではの注意点を確認しましょう。

非課税枠の再利用までにかかる時間のロス

新NISAの枠(1800万円まで)は、売却すれば翌年に復活します。しかし、一度失った「非課税で運用できていた時間」は二度と戻ってきません。

例えば、100万円投資した枠を一度売ってしまうと、翌年また100万円を投資することはできますが、その間、市場の上昇による恩恵を受けることができません。非課税枠は「一度使ったら、できるだけ長くその中で資産を育てる」のが最もお得な使い方です。

下落を「バーゲンセール」と捉える考え方

新NISAで積立設定をしているなら、下落時は「同じ金額で、より多くの数量を買えている」と考えてください。株価が半分になれば、同じ3万円でも2倍の数量が買えます。

これこそが、将来の大きな利益の種になります。「今は種を安くたくさん仕込んでいる時期なんだ」と考えるだけで、マイナスの画面を見るのが少しだけ怖くなくなるはずです。

毎月の積立設定を解除せずに放置する大切さ

最もやってはいけないのが、怖くなって積立設定を解除してしまうことです。多くの人が下落時に積立を止めてしまい、市場が回復した後に「あの時続けていれば」と後悔します。

投資の成果は「入金額 × 運用利回り × 期間」で決まります。積立を止めないことは、この「入金額」と「期間」を確実に稼ぐための生命線です。 設定さえしておけば、あとは機械が勝手に行ってくれるので、感情を挟まずに任せましょう。

損切りせずにインデックス投資を続けるための工夫

頭では「売らないほうがいい」と分かっていても、心がついていかないこともあります。投資はメンタル維持が9割と言われるほどです。暴落時にパニックにならないために、日頃からできる心の持ち方をご紹介します。

証券口座のアプリを見る頻度を極限まで減らす

投資がうまくいかない最大の原因は「見すぎること」です。毎日アプリで資産額を確認していると、どうしても小さな値動きが気になってしまいます。

積立設定が完了しているなら、口座を確認するのは1年に1回程度で十分です。「忘れているくらいがちょうどいい」というスタンスが、結果として最も高い運用成績をもたらすことが多いのです。

暴落時に過去のチャートを見て心を落ち着かせる

もし大きな暴落が来て不安になったら、過去30年や50年の長いチャートを見てみましょう。ITバブル崩壊も、リーマンショックも、今見ればただの「小さな凹み」にしか見えません。

今の暴落も、10年後のあなたから見れば、同じような「小さな凹み」に見えているはずです。「歴史上、どんな嵐も必ず過ぎ去ってきた」という事実を、自分の目で確かめることが最大の特効薬になります。

自分のリスク許容度に合った商品選びを再確認する

もし、夜も眠れないほど不安なら、それは自分の「リスク許容度」を超えた投資をしているサインかもしれません。資産の100%を株式に突っ込むのが怖いのなら、少し現金の比率を高めるのも一つの手です。

無理をして大きな額を投資し、途中で挫折して売ってしまうのが一番の損失です。「これくらいの変動なら、まあいいか」と思える範囲内で投資を続けることが、長続きの秘訣です。

インデックス投資を売却せずに長期保有するための準備

投資を長く続けるためには、投資以外の「お金の土台」がしっかりしていることが不可欠です。土台がグラグラだと、市場が荒れた時にすぐに資産を取り崩さなければならなくなります。

生活費の半年分を「生活防衛費」として現金で持つ

投資に回すお金とは別に、銀行口座に「何があっても触らない現金」を置いておきましょう。目安は生活費の3ヶ月から6ヶ月分です。

このお金があるおかげで、たとえ株価が半分になっても「生活は大丈夫」と心に余裕を持つことができます。心の安定は、投資の判断を狂わせないための最強の武器になります。

  • 独身なら生活費の3ヶ月分
  • 子どもがいる家庭なら生活費の半年〜1年分
  • いつでも引き出せる普通預金に入れておく

資産の何割を投資に回すか決めておく比率の管理

全財産を投資に回すのは危険です。「現金 50%:投資信託 50%」のように、あらかじめ自分のルールを決めておきましょう。

株価が上がって投資の割合が増えすぎたら一部を売り、逆に下がって割合が減ったら買い増す。このように「比率」で管理することで、感情に流されずに淡々と投資を続けることができます。

リバランスを行ってリスクを取りすぎない状態を作る

特定の資産が増えすぎてしまった時に、元の比率に戻す作業を「リバランス」と呼びます。例えば、株が値上がりして資産全体の70%を占めるようになったら、一部を売って現金や債券に戻します。

これを行うことで、自然と「高い時に売り、安い時に買う」動きができます。1年に1回、誕生日などの決まった日にチェックするだけで、リスクの取りすぎを防ぐことができます。

インデックス投資の売却時期を見極める出口の考え方

いつか必ず来る「売る時」のために、今から出口戦略を知っておきましょう。出口が明確であれば、途中の下落で迷うことも少なくなります。正しく売ることは、正しく買うことと同じくらい重要です。

資産の 4% ずつを定額で売っていく方法

米国の研究で有名な「4%ルール」というものがあります。毎年、資産の4%ずつを取り崩していけば、30年以上経っても資産が底をつかないという考え方です。

運用を続けながら少しずつ売っていくことで、資産の寿命を延ばすことができます。一気に売るのではなく、じわじわと生活の足しにしていくのが、賢い出口の通り方です。

必要な分だけをその都度現金化する柔軟な対応

きっちり4%と決めなくても、旅行に行きたい時や家電を買い替えたい時など、その都度必要な分だけを売る方法もあります。

「今月は少し贅沢したいから3万円分だけ売ろう」といった使い方ができるのも、投資信託のメリットです。自分の人生を豊かにするために、必要な分だけを取り出すという柔軟な姿勢を持ちましょう。

暴落時に慌てて全て売らないための資産配分

いざ売却を始める時期に暴落が来ることもあります。そのために、出口が近づいたら徐々に現金の比率を高めておく準備が必要です。

暴落した年に無理に売らなくて済むよう、2〜3年分の生活費は現金で持っておくと安心です。「市場が悪い時は現金で凌ぎ、良い時は投資信託を売る」という使い分けができる状態を目指しましょう。

まとめ:インデックス投資は売らずにじっくり育てるのが正解

インデックス投資において、日々の価格変動に怯えて損切りをする必要はありません。むしろ、下落は将来の利益を大きくするための準備期間です。

  • 過去のデータでは15年以上持てば必ずプラスになっている
  • 売却すると税金や機会損失で大きなコストがかかる
  • 新NISAは長期保有でこそ最大の効果を発揮する
  • 世界経済は長期的に成長し続けている
  • 本当に売るべきは「生活に困った時」か「目標達成時」だけ
  • 生活防衛費を確保して、心の余裕を持つことが大切
  • アプリを見る回数を減らして、のんびり構える

インデックス投資は、退屈であればあるほど成功に近いと言われます。画面の中の数字が減って不安になった時は、一旦スマホを置いて、外の空気を吸いに行きましょう。あなたが寝ている間も、世界中の企業は私たちの生活を便利にするために働き続けています。その力を信じて、ゆっくりと資産を育てていきましょう。

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この記事を書いた人

MONEY STUDIO編集部は、投資・金融分野の情報収集・分析を行う複数名の編集メンバーで構成されています。
一次情報・公式データ・実体験をもとに記事を制作しています。
特定の金融商品や投資手法を過度に推奨することはなく、メリットだけでなくデメリットやリスクも明示することを編集方針としています。

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