「投資信託からお小遣いみたいに分配金がもらえたら嬉しいな」と思うことはありませんか。
通帳にお金が振り込まれると、得をした気分になります。
でも、実はお金持ちほど「分配金はいらない」と考えて、ファンドの中でそのまま運用する仕組みを選んでいます。
この記事では、資産を効率よく増やすために欠かせない「内部再投資」のすごさを紹介します。
税金で損をしないための知識や、新NISAでの賢い設定方法まで、具体的に見ていきましょう。
読み終わる頃には、自分にとって一番効率の良い増やし方がはっきりと分かるはずです。
投資信託の分配金は内部再投資が本当にお得な理由
投資信託の分配金は、預金の利息とはまったくの別物です。
分配金が出ると、その分だけ投資信託の値段である「基準価額」がガクンと下がります。
つまり、自分のサイフの中からお金を移動させているだけなのに、そこから税金まで引かれてしまうのです。
税金を引かれず全額が味方になる
内部再投資の最大のメリットは、税金の支払いをギリギリまで先送りにできることです。
分配金として受け取ると、そのたびに利益の20.315%が税金として国に持っていかれます。
もし1万円の利益が出ても、手元に来る時には約8000円に減っている計算です。
一方で、内部再投資なら1万円がそのまま次の投資に回ります。削られるはずだった2000円も運用に残り、さらにお金を生んでくれるのが強みです。
この小さな差が、10年や20年という長い時間の中でとてつもなく大きな金額の差になって返ってきます。
複利のパワーを最大化するスピード感
「利息が利息を生む」という複利の効果を一番引き出せるのが、内部再投資です。
分配金を出さずに運用を続けると、雪だるま式に資産が膨らんでいきます。
受け取って自分で再投資するよりも、ファンドの中で勝手に行われる方が圧倒的に効率的です。
自分で買い直す手間もありませんし、常に全額が働いている状態を作れます。
お金を寝かせる時間を作らないことが、資産形成のスピードを上げる近道です。
投資効率を下げない賢い選び方
投資の効率を重視するなら、最初から「分配金なし」を掲げている商品を選ぶのが一番です。
多くの人気ファンドは、投資家に現金を配るよりも資産を増やすことを優先しています。
分配金を出すために無理な売却をしないため、運用そのものが安定しやすいのも特徴です。
「毎月分配型」のような商品は、一見魅力的ですが、手数料が高いケースも目立ちます。余計なコストを省いて、純粋に資産を増やしたいなら、内部再投資型がベストな選択肢になります。
分配金にかかる税金コストを抑える仕組み
私たちが投資で利益を出した時、必ずついて回るのが税金です。
この税金を「いつ払うか」を変えるだけで、最終的に手元に残るお金は劇的に変わります。
賢い投資家がなぜ「受け取り」を嫌がるのか、その仕組みを紐解いてみましょう。
利益から20.315%引かれるダメージ
分配金を受け取るたびに発生する税金は、ボディブロウのようにじわじわと効いてきます。
100万円を運用して5%の分配金が出た場合、5万円が配られます。
しかし、実際に振り込まれるのは税金を引かれた後の約4万円です。
この時点で、約1万円という運用資金が失われたことになります。
もしこの1万円を運用し続けていたら、翌年にはさらに500円の利益を生んでいたかもしれません。目先の現金をもらうことは、将来の利益を自ら捨てているのと同じなのです。
税金を払った後に再投資する手間と損
「分配金を受け取ってから、また自分で買い直せばいい」と考える人もいます。
しかし、一度税金を引かれた後の金額で買い直すため、元の金額には戻りません。
しかも、購入するたびに信託財産留保額などのコストがかかる商品もあります。
何より、売買のタイミングを計っている間に相場が動いてしまうリスクも怖いです。
自分で行う再投資は、時間もお金も無駄にしてしまう可能性が高いと言えます。
内部で回すと税金が後回しになるメリット
内部再投資は、最後に投資信託をすべて売却する時まで、税金の支払いを待ってもらう仕組みです。
これを「課税の繰り延べ」と呼びます。
運用中はずっと税金分のお金も働いてくれるため、資産の増え方が加速します。
最終的に払う税金の額は同じように見えますが、運用途中の「軍資金」が多い方が有利なのは明らかです。国に預けるはずの税金を、自分のために使い倒せるのが内部再投資の賢いポイントです。
新NISAで分配金の内部再投資を優先するメリット
2024年に始まった新NISAを使っているなら、分配金の扱いはさらに重要になります。
非課税という最強の特典をフルに活かすためには、内部再投資の仕組みを知っておかないともったいないです。
枠の使い方一つで、将来の資産額に数百万円の差が出ることもあります。
非課税枠を無駄に消費しない工夫
新NISAには、生涯で1800万円までという投資の枠が決まっています。
もし分配金を受け取って、それを再びNISAで買おうとすると、新しい枠を消費してしまいます。
これでは、せっかくの貴重な枠がすぐに埋まってしまいます。
一方で、内部再投資型のファンドなら、ファンドの中で勝手に再投資が行われます。この内部での動きはNISAの枠を一切消費しないため、枠を最大限に有効活用できるのです。
1800万円の生涯投資枠を賢く使う
生涯投資枠を使い切った後、分配金が出るタイプを持っていると困ったことが起きます。
受け取った分配金を再投資したくても、もうNISAの枠がないため、課税口座(特定口座)で買うしかなくなります。
これでは、せっかくの非課税メリットが薄れてしまいます。
最初から内部再投資型を選んでおけば、枠を気にせず複利の効果をずっと非課税で受け続けられます。
長く持てば持つほど、この「枠を消費しない再投資」の恩恵は大きくなります。
つみたて投資枠での再投資ルール
新NISAの「つみたて投資枠」で選べる投資信託の多くは、もともと分配金を出さない仕組みになっています。
これは、国が「長期の資産形成には分配金なしの方が効率が良い」と認めている証拠でもあります。
無理に分配金が出る商品を探す必要はありません。
設定画面で「再投資型」を選んでおけば、万が一分配金が出た場合も自動で処理してくれます。
一度設定を済ませてしまえば、あとは時間を味方につけて資産が育つのを待つだけです。
受取型と内部再投資型の違いをシミュレーション
言葉だけでは実感が湧きにくいので、具体的な数字で比較してみましょう。
「たかが数パーセントの税金」と思っていると、20年後に腰を抜かすほどの結果になります。
シミュレーションを通じて、選ぶべき道を確認してください。
10年後や20年後の資産額に出る差
例えば、100万円を年利5%で20年間運用したとします。
毎年分配金を受け取り(税引き後)、それを再投資せずに放置した場合、20年後の利益は約80万円です。
しかし、内部再投資で一度も税金を引かれずに運用すると、利益は約165万円まで膨らみます。
実に2倍近い差がつくことになります。たった1回の設定の違いが、将来の車1台分や老後資金の大きな余裕に変わるのです。
毎月お金を受け取る代償は大きい
毎月分配金をもらっていると、生活が潤う気がします。
しかし、その代償として資産の成長は止まってしまいます。
毎月の数千円のために、将来の数百万円を犠牲にしていると言っても過言ではありません。
本当にお金が必要になるのは、現役を退いた後のずっと先のことです。
それまでは、分配金という「果実」を収穫せずに、木を大きく育てることに専念しましょう。
元本払戻金の落とし穴を避ける
分配金には「普通分配金」のほかに、名前の紛らわしい「特別分配金(元本払戻金)」があります。
これは利益から出ているのではなく、自分が預けた元本がそのまま戻ってきているだけです。
自分の貯金を別のポケットに移しているだけで、運用益は全く出ていません。
この場合、税金はかかりませんが、資産はどんどん削られていきます。「お金が増えている」と勘違いして使い込んでしまうのが、一番避けたいパターンです。
分配金を出さない投資信託の具体的な見分け方
「どの投資信託なら分配金を出さないの?」と疑問に思うかもしれません。
実は、銀行や証券会社のサイトにある資料を数分チェックするだけで、簡単に見抜けます。
騙されないためのチェックポイントを押さえておきましょう。
交付目論見書の「分配方針」の見方
投資信託の説明書である「交付目論見書」を必ず開いてください。
そこには「分配方針」という項目があります。
「収益の分配は、運用の効率化を優先し、原則として行わないことを目指します」といった内容が書かれていれば合格です。
逆に「毎月分配を行う」や「決算ごとに分配金を検討する」と強調されているものは、受け取り重視の設計です。
自分の目的に合っているか、契約前にこの一行を確認するだけで失敗を防げます。
過去の分配金実績がゼロの銘柄
これまでの成績表を見るのも確実な方法です。
証券会社の銘柄ページには「分配金履歴」という欄があります。
ここが数年にわたって「0円」と並んでいるファンドは、内部再投資を徹底している優良なファンドです。
特に、信託報酬(管理コスト)が低いインデックスファンドは、この実績がゼロであることが多いです。実績がゼロであることは、投資家の資産を増やすことに誠実な証拠と言えます。
資産総額が右肩上がりのファンド
分配金を出さずに内部で運用しているファンドは、純資産総額がスムーズに増えていく傾向にあります。
分配金を出すたびにお金が外へ流出しないため、ドッシリとした安定感があります。
資産規模が大きいほど、運用にかかるコストも下がりやすくなり、さらに効率が上がります。
以下の表は、内部再投資を優先している代表的な銘柄の例です。
| 銘柄名 | 分配金実績 | 信託報酬(年率) | 特徴 |
| eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 0円 | 0.05775%以内 | 業界最低水準のコストで世界中に投資できる。 |
| SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | 0円 | 0.0938%程度 | 米国の主要500社に低コストで分散投資が可能。 |
| 楽天・S&P500インデックス・ファンド | 0円 | 0.077%程度 | 楽天ポイント還元もあり、効率的に米国株へ投資。 |
効率重視で資産を増やす投資信託の選び方
投資信託を選ぶ基準はたくさんありますが、シンプルに考えるのが一番です。
「コストを下げて、全額を運用に回す」という基本を守れば、大外れはしません。
具体的にどこに注目して選べばいいのか、優先順位を整理しましょう。
信託報酬が極めて低い銘柄を狙う
分配金と同じくらい大切なのが、私たちが毎日払い続ける「信託報酬」という手数料です。
分配金を出さないファンドは、この手数料も低く設定されていることが多いです。
年率0.1%を切るような、圧倒的に安い銘柄を選んでください。
わずか0.5%の差であっても、20年、30年と経てば、車が1台買えるほどの差になります。「手数料が安い」かつ「分配金を出さない」のが、最強の組み合わせです。
インデックス型とアクティブ型のコスト差
特定の指数(S&P500や日経平均など)と同じ動きを目指す「インデックス型」は、手間がかからない分、コストも安いです。
一方で、プロが銘柄を選ぶ「アクティブ型」は手数料が高く、分配金を出す傾向も強いです。
長期で確実に増やしたいなら、迷わずインデックス型を選びましょう。
アクティブ型がインデックス型に長期で勝ち続けるのは、非常に難しいことが統計で分かっています。
わざわざ高い手数料を払って、効率の悪い分配金をもらう必要はありません。
長期保有に向いている資産クラスの組み合わせ
資産を効率よく増やすなら、全世界株や米国株のような、長期で右肩上がりが期待できるものを選びます。
こうした成長性の高い資産を内部再投資で持つことで、複利の力が最大に発揮されます。
債券や不動産(REIT)などは、比較的分配金が出やすいため、成長重視なら株式100%のファンドが適しています。
「今は少し損をしているかな?」と思っても、内部で再投資され続けていれば、回復した時の伸びが違います。
どっしりと構えて、10年以上の長い目で持ち続けられるものを選んでください。
内部再投資で資産を増やす時の注意点
いいことずくめに見える内部再投資ですが、知っておくべき注意点もいくつかあります。
デメリットというよりも、「心の準備」に近いものです。
ここを理解しておけば、途中で不安になって投げ出すこともなくなります。
暴落時に現金が手元に来ない心細さ
市場全体が大きく下がった時、内部再投資型だと口座の数字が減っていくのを見守るしかありません。
分配金があれば「とりあえずお小遣いはもらえている」という心の支えになりますが、それがないのは少し寂しいものです。
しかし、暴落時こそ安く買い増しができているチャンスだと考えてください。
現金を配らずに安い株をファンド内で買ってくれているからこそ、景気が戻った時の爆発力が生まれます。目先の安心感よりも、将来の大きな実りを信じることが大切です。
必要な時にだけ一部を売却する工夫
「分配金がないと、いつまで経ってもお金が使えない」と心配する必要はありません。
お金が必要になったら、その時に必要な分だけ、投資信託を自分で売ればいいだけです。
これを「自分分配金」と呼びます。
この方法なら、必要な分だけにしか税金がかかりません。
勝手に配られる分配金よりも、自分のタイミングで売る方が、税金のコントロールがしやすくてお得です。
運用期間を短く設定しすぎない重要性
内部再投資の恩恵が目に見えて大きくなるのは、運用を始めて10年を過ぎたあたりからです。
数年で売ってしまうと、分配金をもらっていた場合との差はそれほど出ません。
「長く持つほど、複利の魔法が強くかかる」というルールを忘れないでください。
途中で設定を「受取型」に変えたり、頻繁に売り買いしたりするのは厳禁です。
一度決めたら、自動引き落としの感覚で、空気のように持ち続けるのが成功の秘訣です。
まとめ:税金コストを抑えて賢く増やすコツ
投資信託の分配金を「内部再投資」にすることは、現代の資産形成において最も賢い選択の一つです。
目先の現金に惑わされず、税金を味方につけることで、将来の自由を手に入れる可能性がグッと高まります。
- 分配金を受け取ると、そのたびに利益の20.315%が税金で引かれてしまう。
- 内部再投資なら、税金として消えるはずのお金も運用に回り、複利の効果が加速する。
- 新NISAでは、内部再投資なら非課税枠を消費せずに資産を膨らませることができる。
- 長期のシミュレーションでは、受取型と再投資型で資産額に2倍近い差が出ることもある。
- 目論見書で「分配を行わない」方針の銘柄(eMAXIS Slimなど)を選ぶのが基本。
- お金が必要な時は、分配金を待つのではなく、必要な分だけ自分で売却すればいい。
- 信託報酬が低いインデックスファンドを長く持つことが、成功への最短ルート。
投資は、仕組みを知っているかいないかで、数十年後の結果が大きく変わります。
今日から「内部再投資」の設定を確認して、あなたの資産が最も効率よく育つ環境を整えてあげましょう。
