ソフトバンクグループ(SBG)の株価は、まるでジェットコースターのように動きますね。ニュースで「大赤字」と出たかと思えば、次の日には株価が急騰することもあります。投資を考えている人にとって、今の株価が「お買い得」なのか、それとも「高すぎる」のかを見極めるのは本当に難しい問題です。
実は、この会社の価値を測るには、普通の会社とは違う「ものさし」が必要です。それが保有資産価値(NAV)という考え方です。この記事では、孫会長も重視するこの数字を使って、今の株価がどれだけ割安なのかをスッキリ整理しました。これを読めば、数字の浮き沈みに惑わされず、自信を持って投資の判断ができるようになります。
ソフトバンクグループの株価が割安か決める保有資産価値(NAV)の目安
SBGの株価を考えるとき、一番大切なのは「中身が詰まった財布」をイメージすることです。この会社は通信会社というよりも、世界中の成長企業に投資する「投資会社」だからです。財布の中にいくら入っているかを示すのがNAVという数字になります。
市場では、財布の中身よりも株価が低く評価されることがよくあります。この差がどれくらいあるかを知ることで、今がチャンスなのかどうかが分かります。まずは、基本となる考え方から見ていきましょう。
時価総額と保有資産価値の間に生まれる大きな差
NAVとは、SBGが持っている全ての株の価値から、借金を差し引いた残りの金額を指します。いわば「会社を今すぐ解散したらいくら残るか」という正味の価値です。このNAVに対して、今の時価総額がどれくらい低いかをチェックするのが基本です。
普通、財布の中に1万円入っていたら、その財布を1万円で買いたいと思いますよね。でも、SBGの場合は、1万円入っている財布がなぜか6000円や7000円で売られている状態が続いています。この価値のズレこそが、SBGの株価が「割安だ」と言われる最大の理由です。
過去の傾向から見る30%から50%のディスカウント率
SBGの株価は、中身の価値(NAV)から30%から50%ほど割り引かれた価格で動くクセがあります。これを「持ち株会社ディスカウント」と呼びます。投資家が「中身の株が暴落するかもしれない」と警戒するため、少し安く見積もられるわけです。
例えばNAVが1株2万円分あっても、実際の株価は1万2000円くらいで止まることがよくあります。この割引率が40%や50%を超えてくると、歴史的に見ても「売られすぎ」のサインになることが多いです。
1株あたりの価値を算出して買い時を判断する基準
買い時を判断するには、NAVを株数で割った「1株あたりNAV」を計算しましょう。公式サイトの資料などを使えば、誰でも今の1株の本当の価値を出すことができます。その数字と、実際の株価を並べて比べてみてください。
自分の決めた割引率、例えば「40%引きなら買う」といったルールを作っておくと迷いが消えます。中身の価値を基準に据えることで、目先の激しい値動きに一喜一憂せずに済みます。
保有資産価値(NAV)の大部分を占めるArmと主力銘柄の妥当水準
今のSBGの財布を語る上で、絶対に外せないのが英Arm(アーム)の存在です。以前は中国のアリババが主役でしたが、今はアームが資産の約半分近くを占めるようになりました。アームの株価が動けば、SBGの価値も丸ごと動くと言っても過言ではありません。
もちろん、他にも価値のある株はたくさんあります。アームを中心としたポートフォリオが、どれほど強固なものになっているのか。主な持ち株の顔ぶれを確認してみましょう。
AI時代の主役を担う英Armの圧倒的な資産割合
アームは、スマホの頭脳となる設計図で世界シェアのほとんどを握る超優良企業です。最近はAIブームに乗って株価が急上昇しており、SBGの資産価値を一気に押し上げました。今やSBGの全資産のうち、アームが占める割合は4割から5割に達しています。
アームの価値が高まれば高まるほど、SBGのNAVも増えていきます。アームの成長を信じるのであれば、SBG株を持つことは間接的にアームに投資しているのと同じ効果があります。
| 企業名 | 分野 | 役割 | 資産に占める重要度 |
| 英Arm | 半導体設計 | AIやスマホの頭脳 | 資産の約半分を占める屋台骨 |
| ソフトバンク(9434) | 通信(国内) | 安定した現金収入源 | 財務を支える守りの資産 |
| 米Tモバイル | 通信(米国) | 巨大な市場での成長 | 価値の底上げに大きく貢献 |
通信子会社のソフトバンクや米Tモバイルが生み出す安定感
アームが攻めの主役なら、日本の「ソフトバンク(9434)」や米国の「Tモバイル」は守りの要です。これらの通信会社は、毎月決まった料金が入ってくるため、景気に左右されにくい強みがあります。SBGにとっては、安定して価値を生み出し続ける信頼できる資産です。
特に日本のソフトバンクからは多額の配当金が入ってきます。この安定したキャッシュの流れがあるからこそ、孫会長はリスクの高いAI投資に挑戦し続けることができます。
ビジョン・ファンドに眠る未上場企業の価値と変動幅
「ビジョン・ファンド」を通じて投資している世界中のスタートアップ群も、NAVの大切な一部です。ここにはまだ上場していない、未来の巨大企業候補が何百社も眠っています。ただ、未上場ゆえに価値の浮き沈みが激しいのが特徴です。
最近は生成AIに関連する企業への投資を加速させています。これらの投資先が1社でも大化けすれば、NAVは一気に跳ね上がり、株価の爆発的な上昇に繋がります。
負債とのバランスで見る保有資産価値(NAV)の妥当水準
NAVを計算するとき、忘れてはいけないのが「借金」の存在です。SBGは多額の借り入れをして投資を広げているため、借金とのバランスが崩れると一気に危険な状態になります。孫会長が常に口にする「LTV」という数字を理解しておくことが、安全な投資の第一歩です。
借金が多くても、それ以上に持っている株の価値が大きければ問題ありません。SBGが自分たちに課している厳しい財務ルールについて、中身を詳しく見ていきましょう。
借金の健全性を示すLTVの管理目標と安全なライン
LTVとは、持っている株の価値に対して、借金がどれくらいの割合かを示す数字です。SBGはこの数字を、通常時は25%未満、リーマンショックのような異常時でも35%未満に抑えることを鉄則としています。この範囲内なら、会社が倒産する心配はまずありません。
もしこの数字が上がってくると、SBGは持っている株を売って借金を返します。LTVが20%前後で推移しているなら、財務はかなり健全であり、配当や自社株買いを期待できる余裕がある証拠です。
守りの経営を象徴する手元資金の多さと倒産リスクの低さ
SBGは常に4兆円を超えるような、莫大な現金をいつでも使える状態で持っています。2024年3月期末時点でも約4.4兆円の現預金を確保していました。これだけのお金があれば、数年間にわたって借金の返済期限が来ても、余裕で対応できます。
「借金が多い」というイメージが先行しがちですが、実際はお金の管理を非常に慎重に行っています。手元にたっぷり現金があることは、暴落時の買い増しや、ピンチを乗り切るための最大の防御壁になっています。
金利の上昇が会社の財務に与える影響の度合い
世界的に金利が上がると、借金の多い会社は利息の支払いが大変になります。しかし、SBGの借金の多くは固定金利であったり、長い期間をかけて返す契約になっていたりします。そのため、すぐに経営が苦しくなるような仕組みにはなっていません。
むしろ金利上昇で他の企業の価値が下がったとき、手元の現金で安く投資できるチャンスと捉えることもできます。金利の動きを過度に怖がる必要はありませんが、投資家として常に注視しておくべきポイントなのは確かです。
ソフトバンクグループの株価を支える自社株買いの仕組み
SBGの株価が大きく下がったとき、孫会長が繰り出す「必殺技」が自社株買いです。これは、会社が自分たちの株を市場から買い戻すこと。株価がNAVに比べてあまりにも割安だと判断したときに、機動的に行われます。
自社株買いが発表されると、投資家は「会社が今の株価を安いと認めた」と安心します。株価の下支えになるだけでなく、1株あたりの価値を高める強力な効果があるのです。
浮いた現金を株主に戻す5000億円規模の還元実績
2024年8月には、最大5000億円という巨額の自社株買いを発表して市場を驚かせました。これだけのお金を投資に回すのではなく、あえて自分たちの株を買うことに使う。これは、外部への投資よりも自社株を買うほうが「利回りが良い」と判断した結果です。
自社株買いが行われると、株価が急反発することが多いです。「安すぎる時には会社が買ってくれる」という安心感があるのは、個人投資家にとって大きな強みになります。
市場に出回る株を減らして1株の価値を高める効果
自社株を買い戻して消却(消去)すると、世の中に出回っている株の総数が減ります。会社の価値(NAV)が変わらなくても、株数が減れば1株あたりの価値は自然と上がります。ケーキの大きさはそのままで、分ける人数が減るようなイメージです。
これを繰り返すことで、長期的に株価が上がりやすい体質になっていきます。SBGは、チャンスがあればいつでもこの還元策を行う準備を整えています。
孫会長が公言する株価が安すぎるときに買うタイミング
孫会長は決算説明会などの場で「今の株価は中身に比べて安すぎる」とはっきり言うことがあります。会長自身が、市場の評価に納得していないときが、自社株買いの検討が始まるサイン。
- NAVに対して株価が50%以上割り引かれている
- 手元の現金に十分な余裕がある
- 有望な投資先がすぐに見つからない
これらの条件が揃ったとき、サプライズで還元策が飛び出す可能性が高まります。
AIへの投資加速とこれからの株価の展望
SBGの未来は「AI」にかかっています。孫会長は「AGI(人工汎用知能)」という、人間を超える知能の実現を信じて疑いません。そのため、会社の資産のほとんどをAI関連企業へ集中させるという、大胆な戦略を取っています。
今はまだ「投資の時期」であり、大きな利益が出るのは少し先になるかもしれません。でも、このAI革命が本物であれば、今の株価は将来から振り返ったときに「激安」だったと言える日が来るでしょう。
ビジョン・ファンド2号が狙う生成AI関連の成長株
ビジョン・ファンド2号では、世界中のAIスタートアップを次々と仲間に加えています。ChatGPTのような生成AIの技術は、あらゆる産業を塗り替えるパワーを持っています。SBGはその進化のスピードに最も早く賭けている会社です。
今は目立たない投資先でも、数年後にはアームのように巨大な価値を持つかもしれません。AI関連の有望な会社を「まとめ買い」しているのが今のSBGであり、その中身が育つのを待つのが投資の楽しみです。
人工汎用知能(AGI)の実現に向けた資金投入の動き
孫会長は、10年以内に人間より10倍賢いAI(AGI)が登場すると予測しています。その世界では、半導体やロボット、自動運転など、SBGの投資先がすべて繋がって莫大な富を生むと考えています。
この壮大なビジョンに向けて、4兆円もの現金をどう使うかが注目されています。単なる投資会社を超えて、AI社会のインフラを支配しようとする動きが、今後の株価を動かす原動力になります。
守りから攻めに転じる意思決定が市場に与える期待
ここ数年、SBGは投資を控えて「守り」の姿勢を貫いてきました。しかし、最近は再び「攻め」に転じる姿勢を鮮明にしています。新しい大型投資のニュースが出るたびに、市場には緊張と期待が走ります。
攻めに転じるということは、それだけ自信のある投資先が見つかったということ。孫会長の嗅覚が再び当たり始めれば、株価はNAVの割引率を縮小させながら、大きく上昇していくはずです。
自分で計算できる保有資産価値(NAV)の算出方法
「株価が割安かどうか」を誰かの言葉に頼らず、自分で計算してみませんか。SBGのNAVを出すのは、意外と簡単です。必要な数字はすべて、会社が誰でも見られる形で公開してくれています。
自分で数字を動かしてみることで、「なぜこの株価で止まっているのか」という納得感が生まれます。具体的な手順を3つのステップで紹介するので、ぜひ一度試してみてください。
会社の公式サイトで公開されている最新データの見方
ソフトバンクグループの公式サイトにある「投資家情報」のページを見ましょう。そこにある「決算説明会資料」を開くと、最新のNAVがグラフ付きで載っています。会社が公式に「今の正味の価値はこれくらいです」と発表してくれている数字です。
まずはこの数字をメモすることから始めましょう。四半期ごとに更新されるので、価値が増えているのか減っているのかを追うだけで、会社の勢いがわかります。
株価アプリを使ってArmの時価総額をチェックする手順
SBGの資産の約半分はアームです。そのため、決算発表の合間でも、アームの株価を見れば今のNAVをある程度推測できます。米国の株価をチェックできるアプリで「ARM」と検索してみましょう。
アームの時価総額が10%上がれば、SBGのNAVも数千億円単位で増える計算になります。アームの動きを追いかけることは、SBGの株価を予測するための最も効率的な方法です。
負債額を差し引いて本当の価値を導き出す計算のやり方
保有している株の合計額から、会社の純負債(借金から現金を引いたもの)を引きます。これがNAVになります。さらにそれを発行済み株式数で割れば「1株あたりNAV」の完成です。
- 保有株式の合計を出す(アーム+ソフトバンク+Tモバイル+その他)
- そこから純負債を引く
- 残った金額を株数で割る
この数字と今の株価を比べて、自分の納得できる割引率であれば「買い」と判断できます。
割安だと思っても注意したい保有資産価値(NAV)の落とし穴
NAVで見るとすごく割安に見えるのに、株価がなかなか上がらない。そんなときには必ず理由があります。投資には「見えていないリスク」もセットで付いてくるからです。数字の魅力にだけ目を奪われると、思わぬ失敗をしてしまうかもしれません。
特にSBGのような特殊な会社の場合、NAVという数字そのものに不確実な部分が含まれていることがあります。最後に、気をつけておきたい3つの注意点を整理しましょう。
未上場株の評価額が実態より高く見積もられる可能性
ビジョン・ファンドが持っている未上場企業の株価は、市場で毎日売買されているわけではありません。あくまで「専門家が査定した価格」です。そのため、いざ上場しようとしたときに、思っていたより低い価値しかつかないことがあります。
未上場株が多い時期は、NAVという数字を少し割り引いて見たほうが安全です。「帳簿上の価値」と「実際にお金に換えたときの価値」には差が出ることがあると覚えておきましょう。
孫会長の投資判断が相場とズレた時のダメージの大きさ
SBGの最大のリスクであり、最大の魅力でもあるのが孫会長の決断力です。一人の天才の判断でこれほどの大金が動く会社は他にありません。もし孫会長のAI予測が外れた場合、NAVは一気に溶けてしまいます。
「孫正義という人物に自分の資産を託せるか」という問いへの答えが、そのまま投資判断になります。会長の言葉にワクワクを感じるなら買い、不安を感じるなら控えるという、直感も大切です。
世界的な株安が起きた時に真っ先に売られやすいリスク
SBGは、世界中のハイテク株に投資しているため、ニューヨーク市場やナスダック市場が暴落すると、真っ先に影響を受けます。景気が悪くなると、リスクの高い投資会社からは真っ先にお金が抜かれやすいからです。
日本の景気が良くても、世界のどこかでショックが起きればSBGの株価は下がります。常に世界情勢と連動して動く銘柄であることを理解し、一度にたくさん買いすぎない工夫が必要です。
まとめ:保有資産価値(NAV)を使いこなして賢く投資する
ソフトバンクグループの株価は、単なる「数字」ではなく「中身の価値(NAV)」で見ることが成功への近道です。アームを筆頭とする強力な資産を持ちながら、市場ではその価値が割り引かれて評価されている。この仕組みを理解すれば、暴落時も冷静でいられます。
- 1株あたりのNAVを算出し、実際の株価と比較して割安さを判断する。
- 資産の半分を占める英Armの株価と、AI革命の進展に注目する。
- LTV(借金比率)が目標の25%未満に収まっているか、財務の健康状態をチェックする。
- 株価がNAVに比べて安すぎるときに発動する「自社株買い」を味方につける。
- 孫会長の掲げる「AI革命」と「AGIの実現」というビジョンに共感できるか考える。
- 未上場株の評価や世界的な景気後退のリスクを忘れずに、分散投資を心がける。
SBGへの投資は、未来のAI社会にチケットを買うようなものです。NAVという確かな指標を武器に、あなた自身の判断で、このエキサイティングな銘柄と向き合ってみてください。
