国内データセンターの建設ラッシュで潤う銘柄は?電力・空調・通信の関連株を紹介

インターネットを使わない日はありません。私たちがスマホで動画を見たり、AIに質問したりするたびに、裏側では「データセンター」という巨大なコンピューターの基地がフル稼働しています。今、日本中ではこの基地を作るための空前の建設ラッシュが起きています。この記事では、この波に乗って利益を伸ばしている意外な企業や、投資家として注目すべきポイントを分かりやすくお伝えします。読み終える頃には、ニュースの裏側にある儲けの仕組みがはっきりと見えてくるはずです。

目次

なぜ今データセンターの建設ラッシュが起きているのか?

街を歩いていると、巨大な倉庫のような建物が急に増えたと感じることはありませんか。それは、世界中のIT大手が日本を「データの置き場」として選んでいるからです。日本は地盤が強く、アジアの通信の要所でもあるため、投資の対象として非常に魅力的な場所になっています。この建設ラッシュがなぜこれほどまでに勢いを増しているのか、その理由を紐解いてみましょう。

世界的なIT大手が日本に巨額の資金を投じる理由

アメリカのマイクロソフトやアマゾンといった巨大企業が、日本に数兆円規模のお金を投じています。マイクロソフトは2024年からの2年間で約4,400億円、アマゾン(AWS)は2027年までに2兆2,600億円という、想像もつかない額を日本での設備投資に充てる予定です。これほどの大金が動くのは、日本がデジタル社会の基盤として信頼されている証拠です。

これまではデータの多くを海外のサーバーに置いていましたが、今は「自分の国のデータは自分の国で管理する」という動きが強まっています。法律や安全性の面からも、日本国内に大きな基地を作る必要が出てきたのです。こうした世界的な流れが、日本各地での建設ラッシュを引き起こす直接のきっかけになっています。

生成AIを動かすために必要な「巨大な計算機」の需要

最近話題の生成AIは、裏側でものすごく複雑な計算をしています。この計算を支えているのが、データセンターの中に並んだ大量の高性能なコンピューターです。AIを動かすためのコンピューターは、これまでのものに比べて3倍から4倍もの電気を使い、その分だけ熱も出します。つまり、AIが賢くなればなるほど、それを支えるデータセンターも巨大で頑丈なものに作り替えなければなりません。

今のデータセンターは、単なるデータの保存場所ではなく、AIという新しい知能を生み出す「工場」のような役割に変わっています。この新しいタイプの工場が足りていないため、古い施設を壊して最新の設備に入れ替える動きも活発です。AIブームが続く限り、この需要が止まることは考えにくいでしょう。

政府が後押しするデータセンターの地方分散計画

これまでデータセンターは東京や大阪に集中していましたが、政府はこれを地方へ広げようとしています。地震などの災害が起きたときに、一箇所にデータが固まっていると危険だからです。経済産業省は、北海道や九州などにデータセンターを作る企業に対して、費用の半分を補助するような手厚い支援を行っています。

地方に作れば、広い土地を安く確保でき、冷涼な気候を活かしてコンピューターを冷やすコストも抑えられます。政府の補助金という強力な後押しがあるため、建設の舞台は今や都市部から日本全国へと広がっています。これが、地方の建設会社や電力会社にとっても大きなチャンスになっている理由です。

大量の電気を届ける!電力関連株で注目すべき銘柄

データセンターは「電気の大食い」と言われるほど、大量のパワーを消費します。巨大な施設を動かすには、普通の電柱から引く電気では全く足りません。発電所で作られた電気を、ロスなく、かつ安全に巨大施設まで届けるための設備が今、飛躍的に売れています。

フジクラ(5803)

フジクラは、電気を運ぶための電線や、情報を運ぶための光ファイバーを作っている専門メーカーです。普通の家庭用電線とは違い、データセンター向けには大量のデータを高速で送れる特殊なケーブルが求められます。同社が開発した、細くて丈夫な光ファイバーは、アメリカのデータセンター市場でもトップクラスのシェアを誇っています。

データセンターの中は配線でぎっしり埋まっており、少しでも細くて高性能なケーブルを使いたいというニーズがあります。フジクラはこの分野で他社が真似できない技術を持っており、利益を大きく上方修正するほどの勢いです。まさにインフラの裏側を支える、今の主役と言える企業です。

項目内容他の電線会社との違い
主な商品超多心光ファイバー、電力ケーブル世界最小クラスの外径を実現する技術力
利益の源泉米国や日本のデータセンター向け需要特殊な接続技術で工事の時間を短縮できる
注目ポイント営業利益の大幅な伸び海外での売上比率が高く、世界中で引っ張りだこ

配線のしやすさと性能の高さが、世界中のデータセンター建設現場で選ばれている理由です。他の電線メーカーと比較しても、データセンターに特化した稼ぐ力が際立っています。

特高受変電設備で高いシェアを誇る企業

データセンターには「特別高圧」という、非常に高い電圧の電気が引き込まれます。この電気を、コンピューターが使える電圧まで安全に落とすための装置が「受変電設備」です。この装置を作っているタカオカトコなどの企業は、建設ラッシュに伴う受注が止まらない状態にあります。一度設置すれば終わりではなく、定期的な点検や部品の交換が必要なため、長期にわたって安定した利益が見込めるのが魅力です。

電気を24時間365日止めてはいけないデータセンターにとって、この設備の信頼性は命です。そのため、実績のある国内メーカーの製品が優先的に選ばれる傾向があります。一度採用されれば、その後の増設時にも同じメーカーが選ばれやすいため、建設ラッシュの恩恵を長く受け続けられる銘柄です。

再生可能エネルギーを供給する新電力の強み

IT大手の多くは「環境に優しい電気を使いたい」という強い要望を持っています。そのため、太陽光や風力といった再生可能エネルギーを調達できる企業の価値が高まっています。データセンター専用にクリーンな電気を届ける契約を結ぶことで、他の電力会社と差別化を図っている企業が注目されています。

ただ電気を売るだけでなく、どうすれば節電できるかというコンサルティングまで手がける企業も増えています。地方での建設が進む中、その土地の再エネ資源をうまく活用できる新電力会社は、IT大手にとって心強いパートナーになります。環境への配慮が利益に直結する、新しい時代の電力ビジネスが動いています。

熱暴走を防ぐ!空調関連株で利益を伸ばす銘柄

コンピューターは動かすと熱を持ちます。特にAI用のサーバーは凄まじい熱を発するため、これを冷やさないとすぐに壊れてしまいます。データセンターにおいて、電気代の約4割は「冷やすため」に使われると言われるほど、空調は重要な役割を担っています。

ダイキン工業(6367)

ダイキン工業は、家庭用エアコンだけでなく、巨大なビルや工場を冷やす大型空調で世界的なシェアを持っています。データセンター向けには、24時間休まずに効率よく冷やし続ける「モジュール型」と呼ばれる専用のシステムを提供しています。外の冷たい空気を取り入れたり、水の力を使ったりして、極限まで電気代を抑える技術が評価されています。

世界中の気候を知り尽くしたダイキンだからこそ、暑い地域でも寒い地域でも最適な冷却プランを提案できます。同社の製品は壊れにくく、もし故障しても世界中にサービス網があるため、すぐに修理に来てくれる安心感があります。これが、世界展開するIT企業に選ばれ続けている決定的な理由です。

項目内容他のメーカーとの違い
主な商品データセンター用チラー、空調システム省エネ性能(PUE改善)に特化した設計
稼ぐ仕組み設備販売 + 長期メンテナンス契約24時間の遠隔監視による故障予知
強み世界170カ国以上の販売網どんな場所のデータセンターでも保守が可能

家庭用エアコンのイメージが強いですが、今の成長を支えているのはこうした巨大施設向けの技術です。他社が追いつけないほどの省エネ性能が、今の電気代高騰の中で大きな武器になっています。

サーバーの熱を効率よく逃がす液冷技術の進化

これまでは風を送って冷やす「空冷」が主流でしたが、AIサーバーの熱にはもう限界が来ています。そこで注目されているのが、サーバーを特殊な液体に浸したり、冷たい水を循環させたりする「液冷」という技術です。この液冷システムに欠かせない、ポンプや熱交換器を作っている企業の需要が急増しています。

空冷に比べて10倍近い冷却効率があると言われており、これからのデータセンターでは必須の技術になると考えられています。まだ新しい分野ですが、早くからこの技術に取り組んできた日本企業は、世界中の建設ラッシュにおいて強力なライバルたちをリードしています。

メンテナンス需要で安定した現金を手にする保守会社

空調設備は入れて終わりではありません。フィルターの清掃やフロンガスの点検など、法律で決まった点検が数多くあります。データセンターは一度動き出せば数十年は稼働するため、こうしたメンテナンスを引き受ける会社には安定してお金が入ってきます。大きな景気の波に左右されず、コツコツと現金を稼ぎ出す「ストックビジネス」としての強みがあります。

建設ラッシュで新しい施設が建てば建つほど、将来のメンテナンス顧客が自動的に増えていく仕組みです。華やかな建設現場の裏側で、着実に利益を積み上げているのがこうした保守専門の企業です。派手さはありませんが、投資先としては非常に堅実な選択肢になります。

データを高速で運ぶ!通信関連株の主役たち

データセンターは、単体ではただの箱です。世界中と高速なネットワークでつながって初めて、その価値を発揮します。5Gの普及や動画配信、AIの活用でデータのやり取りは増える一方です。このデータの「通り道」を作る企業も、建設ラッシュの恩恵をたっぷり受けています。

光ファイバーケーブルの需要が再び急増しているワケ

データセンター同士をつなぐには、大量の光ファイバーが必要です。最近では、1本のケーブルの中に数千本の光ファイバーを詰め込んだ「超多心ケーブル」という製品が登場しています。これを使うことで、道路を掘り返す工事を何度もせずに、一度の工事で通信量を劇的に増やすことができます。

特に、都市部にある既存の細い配管に、いかに多くの光ファイバーを通すかが技術の見せ所です。この分野で高い技術を持つ住友電気工業などの日本企業は、世界中から注文を受けています。一度敷設されると長く使われるため、今の建設ラッシュでシェアを取ることが将来の利益に直結します。

都市部と地方をつなぐ高速通信網の整備計画

データセンターの地方分散が進むと、東京と北海道、東京と九州といった長距離を高速でつなぐ必要が出てきます。この長距離ネットワークを整備しているのが、NTTなどの通信大手です。最新の光技術(IOWNなど)を使うことで、距離が離れていても遅延なくデータを送れるようになりつつあります。

地方のデータセンターが使いやすくなれば、さらに地方への建設が進むという好循環が生まれます。この通信インフラを握っている企業は、データセンターという「島」をつなぐ「橋」を運営しているようなものです。通行料にあたる通信料収入が安定して入るため、非常に強固なビジネスモデルと言えます。

データセンター内の配線を支えるコネクタメーカー

データセンターの内部には、数万本ものケーブルがひしめき合っています。これらをワンタッチで、しかも確実に接続するためのコネクタが大量に使われています。ヒロセ電機などのコネクタ専業メーカーは、小型で熱に強く、しかも信号が劣化しない高品質な製品を供給しています。1つひとつは小さな部品ですが、これがないと巨大なシステムは動きません。

AIサーバーが増えると、サーバー同士をつなぐ配線も複雑になります。そのため、より高度なコネクタへの買い替え需要が発生しています。世界中のIT大手が使うサーバーに採用されるかどうかで業績が大きく変わるため、開発競争は非常に激しいですが、勝ち残った企業の利益率は驚くほど高いのが特徴です。

建設場所はどこ?地方への投資で潤う企業

データセンターを作るには、広い土地と、大きな地震が来ない地盤、そして十分な電気と水が必要です。この条件を満たす場所として、今いくつかの地域が熱烈な視線を浴びています。建設ラッシュが起きている具体的な場所を知ることで、地元の企業や電力会社への影響が見えてきます。

千葉県印西市がデータセンターの聖地になった理由

千葉県の印西市には、Googleをはじめとする世界的な企業のデータセンターが密集しています。ここは「北総台地」と呼ばれる非常に強固な地盤の上にあり、地震に強いのが最大の売りです。都心からも近く、海底ケーブルが陸に上がる地点にもアクセスしやすいため、データセンターにとって最高の立地とされています。

印西市では今も新しい施設の建設が続いており、地元の建設会社や資材を運ぶ運送会社は大忙しです。1つの施設ができるだけで周辺の道路整備や電気工事が発生するため、地域経済全体に大きなお金が落ちる仕組みになっています。

北海道や九州で進む大規模な開発プロジェクト

北海道は「冷涼な気候」が武器です。雪や外気を使ってサーバーを冷やすことで、電気代を大幅に減らせます。石狩市などでは、広大な土地を活かしたデータセンター群が次々と誕生しています。一方の九州は、太陽光発電などの再生可能エネルギーが豊富なことが魅力です。

こうした地方への投資は、その土地の雇用を生み、地元のゼネコンや設備会社の潤いにつながります。特に、九州では半導体工場の建設も進んでおり、データセンターとセットで地域の産業構造がガラリと変わろうとしています。特定の地域に強い地場企業をチェックするのも、面白い投資の視点です。

地元の電力を活用して利益を上げる地域電力会社

地方にデータセンターができると、地元の電力会社にとってこれ以上ない「上客」になります。データセンターは24時間365日、大量の電気を使い続けてくれるからです。普通の家庭や工場と違い、需要の波が少ないため、電力会社にとっては効率よく電気を売れる相手なのです。

例えば、北海道電力や九州電力などは、こうした巨大な需要を取り込むために専用のプランを用意したり、立地を支援したりしています。人口減少で電気の消費が減る中で、データセンターは電力会社にとって救世主のような存在になっています。地域の活性化とともに、電力会社の業績も底上げされるいきさつがあります。

投資する前に知っておきたい!関連株の注意点

どんなに盛り上がっている市場でも、リスクはゼロではありません。データセンター関連株に投資するなら、今のブームがいつまで続くのか、そしてどんな落とし穴があるのかを冷静に見極める必要があります。

電気代の値上がりが運営コストに与える影響

データセンターは電気を大量に使うため、電気代が上がると運営企業の利益はガクンと減ります。もし運営が苦しくなれば、新しいセンターを建てる計画が延期されたり、見直されたりすることもあるでしょう。

建設に関わる企業に投資する場合でも、その先のお客さん(IT企業)がしっかりと儲かっているかを確認することが大切です。電気代を誰が負担する契約になっているのか、省エネ技術でどれだけコストをカバーできるのかが、企業の生き残りを左右します。

半導体の不足が建設スケジュールを遅らせる可能性

建物だけができても、中に置くAI用の半導体(GPU)が届かなければ、データセンターは動きません。世界的な半導体争奪戦が激しくなると、設備の導入が遅れ、それに関わる工事や部品の納入も先延ばしになる恐れがあります。

関連する企業の決算発表などで「受注は多いけれど、部品が入ってこなくて売上を立てられない」という声が出ていないか注意が必要です。建設ラッシュの勢いと、中身のコンピューターの供給バランスがうまく取れているかが、投資の成否を分けます。

世界的な景気の動きと投資額の関係

データセンターを作るIT大手の多くはアメリカの企業です。もしアメリカの景気が悪くなり、彼らが「今は投資を控える時期だ」と判断すれば、日本での建設ラッシュも一気に冷え込むかもしれません。今のブームは、あくまで世界的なAI投資への期待に支えられているという本当のところを忘れてはいけません。

ニュースでアメリカのIT企業の業績が悪くなったという情報を耳にしたら、それが日本の建設現場にどう波及するかを想像してみてください。世界とつながっているビジネスだからこそ、広い視野を持って数字を追いかける習慣が大切です。

まとめ:データセンターの波を賢く捉えて資産を育てる

国内のデータセンター建設ラッシュは、私たちの生活が便利になればなるほど、避けては通れない大きな流れです。この波は単なる建設業だけでなく、電力、空調、通信といった幅広い分野に新しい利益をもたらしています。

  • 世界的なIT大手が日本に数兆円規模の投資を続けている
  • AIの普及で、これまで以上に「冷やす技術」と「大量の電気」が必要になっている
  • フジクラやダイキン工業のように、独自の技術で世界シェアを持つ企業が強い
  • 建設の舞台は千葉県印西市から、北海道や九州などの地方へ広がっている
  • 政府の補助金も、この巨大な建設ラッシュを後押しする強い味方になっている
  • 電気代の変動や半導体の供給不足など、世界情勢のリスクも頭に入れておくべき

このブームはまだ始まったばかりです。派手なIT銘柄だけでなく、それを足元で支えている電線や空調といった「地味だけど欠かせない」日本企業の底力を、ぜひ自分自身の目で確かめてみてください。しっかりとした根拠を持って投資先を選べば、あなたの資産を力強く支える柱になってくれるはずです。

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この記事を書いた人

MONEY STUDIO編集部は、投資・金融分野の情報収集・分析を行う複数名の編集メンバーで構成されています。
一次情報・公式データ・実体験をもとに記事を制作しています。
特定の金融商品や投資手法を過度に推奨することはなく、メリットだけでなくデメリットやリスクも明示することを編集方針としています。

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