PBR1倍割れ解消で上がる株は?低PBR銘柄の改善策と株価上昇の期待値を解説

「PBRが1倍を切っている株は割安だから買いだ」という言葉を耳にしたことはありませんか。実はこれ、単に安いだけでなく、今まさに東京証券取引所(東証)が旗振り役となって、日本株全体を大きく変えようとしている絶好のチャンスなんです。この記事では、なぜ今「低PBR銘柄」に投資家の注目が集まっているのか、そして具体的にどの銘柄に上昇の期待がかかっているのかを、隣に座って教えるような感覚で分かりやすくお伝えします。

目次

PBR1倍割れ解消に向けて株価が上がりやすい銘柄の見分け方

PBRが1倍を下回っている状態は、いわば「会社を今すぐ畳んで資産を分けた方が、株価の合計より高い」というおかしな状況です。東証はこの異常事態を解消するように強く求めており、これに応える企業が今、続々と株価を上げています。特に、歴史が長くて資産をたっぷり持っているのに、これまで株主への還元が少なかった会社ほど、変化した時の伸び代が大きくなります。

三菱UFJフィナンシャル・グループなどの大型銀行株

銀行業界は、長らくPBR1倍割れが当たり前とされてきた場所です。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)のような巨大な銀行は、持っている資産が膨大すぎて、少し利益が出た程度ではPBRがなかなか上がりませんでした。しかし、金利が上がる局面に入り、経営陣が「株主にもっと還元する」と姿勢を変えたことで、状況は一変しています。

これまで「銀行株は動きが重い」と敬遠していた個人投資家も、今の還元姿勢を見て買い戻しを始めています。メガバンクは海外での稼ぎも大きいため、国内の動きだけに左右されない強みがあるのも心強いポイントです。

銘柄名三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
主な改善策配当性向の引き上げ、積極的な自社株買い
強み圧倒的な資金量と海外事業の成長
他との違い地方銀行に比べて、株主還元のスピード感が段違い

地方銀行と比較すると、三菱UFJは東証からの要請に対するレスポンスが非常に早く、海外投資家からも「日本株の変化の象徴」として買われやすい傾向にあります。

豊富な現金を抱える中小型の建設・不動産株

建設や不動産の業界には、派手さはないものの、地道に稼いで現金を溜め込んでいる「金持ち企業」がたくさん眠っています。こうした会社は時価総額が小さいため、少し自社株買いを発表しただけで、株価がロケットのように跳ね上がることがよくあります。

投資家が注目しているのは、現預金が時価総額と同じくらいあるような、極端に割安な銘柄です。東証の呼びかけをきっかけに、ようやく重い腰を上げて「配当を2倍にします」といったサプライズを出す会社が増えています。

銘柄名建設・不動産セクターの中小型株(例:奥村組など)
主な改善策特別配当の実施、自己資本の適正化
強み実質的な借金がゼロで、現金が豊富
他との違い大型株よりも「改善発表」による株価の跳ね上がりが急激

大型のデベロッパーと比較すると知名度は低いですが、その分「掘り出し物」を見つけた時の利益は大きくなります。四季報などで、現金をどれくらい持っているかを確認するのが成功への近道です。

日本製鉄のように構造改革を急いでいる伝統企業

日本製鉄(5401)のような重厚長大と呼ばれる業界のトップ企業も、PBR改善の急先鋒です。以前は「鉄は国家なり」というプライドもありましたが、今は「株価も一流でなければならない」という考えにシフトしています。古い設備を整理し、利益率の高い特殊な鉄鋼に集中することで、稼ぐ力を劇的に高めています。

こうした伝統企業が「PBR1倍割れは恥ずかしい」と公言し始めた影響力は絶大です。会社全体がスリムになり、浮いたお金を増配に回す好循環が生まれています。

銘柄名日本製鉄(5401)
主な改善策利益率の低い事業の整理、高配当の継続
強み世界トップクラスの技術力と高い配当利回り
他との違い単なる還元だけでなく、本業の儲けを増やす改革がセット

JFEホールディングスなどのライバルと比較しても、日本製鉄の改革スピードは際立っています。利回りの高さに加えて、株価そのものの上昇も狙える「二兎を追える」銘柄といえます。

日本郵政のように親会社や国が関わる巨大銘柄

日本郵政(6178)のように、国が株を持っているような巨大な組織も無視できません。こうした会社はPBRが極端に低く放置されてきましたが、今はガバナンス(経営の監視)を強化して、市場の評価を上げようと必死です。持っているゆうちょ銀行やかんぽ生命の株を売り、そのお金で自分たちの株を買い戻すといった大胆な策を講じています。

巨大すぎて倒産のリスクが極めて低いため、配当を目的とした長期保有にはもってこいです。政府が株を売却する際にも株価が高い方が良いため、国と投資家の利害が一致しているという面白い側面もあります。

銘柄名日本郵政(6178)
主な改善策子会社株の売却資金による自社株買い
強み圧倒的なブランド力と郵便・金融のネットワーク
他との違い国の政策と連動するため、安定感が抜群

他の持ち株会社と比較しても、資産の規模が桁違いです。PBRを1倍にするための道のりはまだ遠いですが、その分、少しの改善でも株価を押し上げる力が長く続きます。

低PBR銘柄が実施する具体的な改善策の中身

企業が「PBRを上げます」と言ったとき、具体的に何をするのかを知っておくことは大切です。口先だけで終わる会社なのか、本当にお金を動かす会社なのかを見極める武器になります。基本的には「手元の現金を株主に配る」か「事業を効率化して利益を増やす」かのどちらか、あるいは両方です。

自社株買いによる1株あたりの価値向上

自社株買いは、企業が市場に出回っている自分の株をお金を出して買い戻し、そのまま消してしまう手続きです。こうすることで、1株あたりの利益や資産の取り分が大きくなり、株価が上がりやすくなります。

  • 企業が「自分の株は今の価格なら安い」と判断したサインになる
  • 株数が減ることで、1株あたりの価値(EPS)が自動的に高まる
  • 需給が引き締まり、株価が底堅くなる

一度に数百億円規模の自社株買いを発表する企業は、本気でPBR1倍を目指している証拠です。ニュースでこの言葉を見つけたら、まずはその金額の大きさに注目してみてください。

配当性向の引き上げやDOE(自己資本配当率)を導入

配当を増やすのも、最も分かりやすい改善策の一つです。最近では、単に「利益の◯%を配当します」と言うだけでなく、「純資産に対して◯%を必ず出します」というDOE(自己資本配当率)という基準を導入する企業が増えています。

DOEを導入すると、その年の利益が多少減っても配当を維持しやすくなります。投資家にとっては、減配の怖さが減り、安心して長く持てるようになるため、結果として株価が評価されるようになります。

政策保有株の売却による資金の有効活用

日本企業には、お付き合いで他社の株を持ち合う「政策保有株」という古い習慣がありました。東証はこの無駄な持ち合いを解消するように迫っています。企業が持っている他社の株を売れば、手元には膨大な現金が残ります。

その現金を自社株買いや新しい設備投資に使えば、資産の効率がグンと良くなります。最近では、損保大手やメガバンクがこの「持ち合い解消」を急いでおり、それが強力な株価上昇の燃料になっています。

不採算事業の切り離しと成長分野への投資

低PBRの会社は、儲かっていない古い事業をズルズルと続けていることがよくあります。改善策として、こうした事業を売却したり、他社と統合したりして、収益性の高いビジネスに集中する動きが加速しています。

スリムになった会社が、浮いた資金でAIや海外展開などの成長分野に投資し始めれば、投資家からの評価(PER)も上がります。単なる「お小遣い配分」ではない、本質的な企業価値の向上こそが、PBR1倍超えへの王道です。

PBRを1倍以上に押し上げる株価上昇の期待値はどのくらい?

投資をする以上、一番気になるのは「どれくらい儲かるのか」という点ですよね。PBR1倍割れ銘柄への投資は、宝探しのようなワクワク感があります。今の割安な状態が解消されるだけで、株価が数10%、時には2倍以上になる可能性を秘めています。

解散価値である1倍までのキャピタルゲイン

まずは、PBRが1倍になるまでの値上がり益です。例えば、今のPBRが0.5倍の会社が、まともな評価を受けて1倍になるだけで、株価は2倍になります。これが「解散価値」までの最短ルートです。

  • PBR 0.5倍 → 株価2倍の期待
  • PBR 0.7倍 → 株価約1.4倍の期待
  • PBR 0.8倍 → 株価約1.25倍の期待

計算上はこれだけシンプルですが、実際に1倍を目指す企業が増えている今、この期待値は非常に現実味を帯びています。1倍という明確な目標があるからこそ、投資家も強気で買い向かえるのです。

高配当化によって得られるインカムゲインの二段構え

株価の上昇だけでなく、その過程で支払われる「高い配当金」も大きな魅力です。低PBR企業は資産が多いため、還元を強化すると利回りが4%や5%を超える高配当株に変貌することが多々あります。

株価が上がるのを待ちながら、毎年チャリンチャリンと配当を受け取れる。もし株価が上がらなくても、高い利回りが支えになって損をしにくい。この「負けにくい構造」こそが、低PBR投資の最大の武器です。

海外投資家が本格的に買い始めることで起きる上昇

世界中の投資家も、東証の改革に熱い視線を送っています。あのウォーレン・バフェット氏が日本の商社株を買ったのは、まさに「資産があるのに安すぎる」というPBRの観点からでした。海外の巨額マネーが動き出すと、株価の上昇スピードは一気に加速します。

日本の会社が変わることを世界が確信すれば、これまでの「日本株は買っても上がらない」という常識が崩れます。海外勢の買いは数年にわたって続くことが多いため、長期的な上昇トレンドに乗れる可能性が高まります。

指数への採用による機械的な買い需要の発生

最近では「JPXプライム150」という、価値創造に優れた企業を集めた新しい指数もできました。PBRが低すぎる会社はこうしたエリート集団から外されてしまいます。逆に、改善して選ばれれば、投資信託などの機械的な買い注文が入ります。

「選ばれるために頑張る」という企業のインセンティブが働くため、発表前後で株価が動きやすくなります。インデックスに採用されることがステータスになり、さらなる株価上昇を呼ぶ好循環が生まれています。

東京証券取引所(東証)が求めている改善のルール

今回のムーブメントは、一過性の流行ではありません。東証がルールとして企業に突きつけた「最後通告」に近いものです。なぜ企業がこれほど必死になっているのか、その仕組みを知れば、このチャンスがどれだけ長く続くかが分かります。

資本コストと株価を意識した経営の具体策開示

東証は「ただ安いだけじゃダメだ。なぜ安く放置されているのか分析し、どう直すか計画を出せ」と言っています。これが「資本コストや株価を意識した経営の具体策」の開示要請です。これまでは経営陣が無視していても許されましたが、今は逃げられません。

  • 自社の利益率が投資家の期待に届いているか分析する
  • PBRが1倍を切っている理由を自ら説明する
  • いつまでに、どんな方法で改善するかを文書で公表する

こうした具体的なアクションが企業に求められています。これを無視し続ける会社は、将来的に市場から「退場」させられるリスクさえあるため、本気にならざるを得ないのです。

投資家との対話を促進する情報開示の義務化

東証は企業に対して、一方的な発表だけでなく、投資家とちゃんとお話しなさいとも言っています。これを「エンゲージメント(対話)」と呼びます。大株主や個人投資家の意見を聞き、それを経営に活かす仕組み作りが始まっています。

「もっと配当を増やしてほしい」「この無駄なビルを売ってほしい」といった投資家の声が通りやすくなっています。物言う株主(アクティビスト)の動きも活発化しており、外部からの刺激で株価が押し上げられる場面が増えています。

改善が見られない企業への厳しい視線とリスト公表

東証は、改善策をちゃんと出した会社をリストにして毎月公表しています。このリストに載っていない会社は、いわば「宿題をやっていない生徒」として、市場全体から厳しい目で見られることになります。

逆に、リストに新しく載った会社や、内容が優れていると評価された会社には、投資家からの資金が集まります。こうした「見える化」によって、企業同士に「他所もやっているからうちもやらなきゃ」という健全な競争が生まれています。

英文での同時開示による海外勢へのアピール

これまでの日本株は、日本語でしか情報が出ないことが多く、海外投資家には中身が分かりませんでした。東証はこれを問題視し、英文での情報開示も強く求めています。

世界中の投資家が同じタイミングで同じ情報を読めるようになれば、日本の割安株が世界中で比較検討されるようになります。情報のバリアがなくなることで、日本株への資金流入はさらにスムーズになっていくはずです。

ROE(自己資本利益率)を高めてPBR1倍割れを脱出する仕組み

PBRを上げるための計算式に「PBR = ROE × PER」というものがあります。難しいことは抜きにして、PBRを上げるには「ROE(稼ぐ効率)」を上げるのが一番の近道だと覚えてください。会社が持っているお金をどれだけ効率よく使って利益を生み出すか、その手腕が問われています。

無駄な資産を減らして事業効率を上げる方法

ROEを上げる手っ取り早い方法は、分母である「自己資本」を小さくすることです。必要以上の現金を溜め込まず、自社株買いや配当で株主に返すことで、計算上のROEは向上します。

  • 使っていない土地や古い工場を売却して現金化する
  • 利益に貢献していない余剰資金を株主に還元する
  • 資産をスリムにすることで、残った資産の「稼ぐ力」を際立たせる

ダイエットと同じで、余分な脂肪を落とせば、会社としての代謝が上がり、投資家からも「筋肉質な良い会社だ」と評価されるようになります。

稼ぐ力を強めるための積極的なM&A

現金を配るだけでなく、新しいビジネスを買う(M&A)ことでROEを高める方法もあります。今の時代、自社だけで新しいことを始めるよりも、勢いのある会社を仲間に加える方がスピード感があります。

溜め込んだキャッシュを寝かせておくのではなく、未来の利益のために正しく使う。こうした攻めの姿勢が見える企業は、投資家からの期待感(PER)も高まり、PBRが1倍を軽々と超えていくようになります。

借入金を活用したレバレッジによる資本効率の改善

あえて適度な借金をすることで、資本効率を高める手法もあります。金利が低い時期であれば、自分たちのお金だけでやりくりするよりも、外からお金を借りて事業を拡大した方が、株主にとっての利益(ROE)は大きくなります。

これを「財務レバレッジ」と呼びます。これまで「無借金経営こそが正義」と考えてきた古いタイプの経営者が、この仕組みを理解し始めた時、企業の収益力は化ける可能性があります。

収益性の低い不動産や設備の売却と現金化

地方に持っている古い社宅や、稼働率の低い倉庫。こうした「眠っている資産」を売る動きが活発です。売却で得た現金を最新のIT設備や人材に投資すれば、1人あたりの生産性が上がり、会社全体のROEが底上げされます。

「何を持っているか」よりも「どう使っているか」が評価される時代になりました。資産の入れ替えを積極的に行っている会社は、PBR改善の意欲が高いと見て間違いありません。

投資家が低PBR銘柄を狙うときの具体的な探し方

理屈が分かったところで、実際にどうやってお宝株を探せばいいのか、具体的な手順をお伝えします。特別なソフトは必要ありません。今すぐネットでできることばかりです。

東証が公表する「改善策の開示企業一覧」をチェック

まずは、東証の公式サイト(日本取引所グループ)に行き、「資本コストや株価を意識した経営の具体策」というページを探してください。ここには、改善に向けて動き出した企業の名前がズラリと載ったExcelファイルが置いてあります。

このリストに載ったばかりの会社は、まだ投資家に知れ渡っていないことも多く、先回りのチャンスです。特に、有名な大企業ではなく、地味な中堅企業がリスト入りした時は注目してみてください。

ネット証券のスクリーニング機能でPBR0.5倍以下を絞り込む

楽天証券やSBI証券などのツールを使い、条件を指定して検索してみましょう。「PBR 0.8倍以下」「配当利回り3%以上」「自己資本比率50%以上」といった条件を組み合わせるのがおすすめです。

あまりにPBRが低すぎる(0.2倍など)銘柄は、何か致命的な問題を抱えている場合があるため、0.5倍から0.8倍くらいの「ほどほどの割安感」がある銘柄の方が、改善の現実味が強くなります。

会社四季報で「株主還元」の項目を読み解く手順

3ヶ月に1度発売される「会社四季報」は情報の宝庫です。各銘柄の【株主還元】という項目を見てみましょう。「累進配当を導入」「自社株買いに意欲的」といった前向きな言葉が並んでいる会社を探してください。

また、記者が書いているコメント欄に「東証の要請を受け改善策を検討」といった一文があれば、それは大きなヒントになります。ネットの情報よりも一歩深く、企業の「やる気」を感じ取ることができます。

株価チャートで底を打って上向き始めた銘柄を追う

いくら理屈で「割安だ」と言っても、株価が下がり続けている間は手を出さないのが無難です。改善策が評価され、株価が移動平均線を上抜けてきたり、安値を切り上げ始めたりしたタイミングが狙い目です。

「割安+変化の兆し(トレンド転換)」が揃った時、勝率はぐんと上がります。チャートを眺めて、多くの投資家が「お、この会社変わり始めたな」と気づき始めた瞬間に乗り遅れないようにしましょう。

PBR1倍割れの株を買うときに気をつけたい落とし穴

「安いものには理由がある」というのも、投資の真理です。何も考えずに低PBR株を買い漁ると、思わぬ痛手を負うことがあります。失敗を避けるために、避けるべき「ダメな低PBR」の特徴を知っておきましょう。

業績が悪すぎて万年割安な「バリュートラップ」

PBRが低い理由が、単に「将来性が全くないから」という場合があります。赤字続きで資産を食いつぶしている会社や、斜陽産業で売上が減り続けている会社は、どれだけPBRが低くても買われません。

こうした銘柄は「バリュートラップ(割安の罠)」と呼ばれます。安いからといって、永遠に上がりもしない株を抱え続けるのは時間の無駄です。必ず「業績が安定しているか」をセットで確認してください。

改善策を出すだけで一向に実行しない企業

東証に言われたから、とりあえず格好だけのレポートを出した。そんな「ポーズだけ」の会社も見受けられます。計画を出しただけで、実際に配当が増えなかったり、自社株買いが始まらなかったりすれば、投資家はすぐに見限ります。

発表された計画が具体的か、いつまでにやるのか期限が書いてあるか、を厳しくチェックしてください。言葉だけではなく「行動」が伴っている会社を選びましょう。

業界全体の景気が悪くて株価が沈んでいる場合、注意が必要

個別の会社が頑張っていても、業界全体に逆風が吹いている時は株価が上がりません。例えば、不況で鉄の需要が激減している時に、鉄鋼株を買っても苦戦を強いられます。

その業界が今、上り坂なのか下り坂なのか。世の中の流れをざっくりと把握した上で、その中から一番改善に意欲的な会社を選ぶという、広い視野を持つことが大切です。

資産は多いが換金できない設備ばかり持っている会社

PBRの計算の元になる「資産」の中身も重要です。帳簿上は100億円の価値があっても、それが「古すぎて誰も買わない山奥の工場」や「使い道のない古い機械」であれば、実際には価値がゼロかもしれません。

現金や有価証券、都心の不動産など、いざとなったらすぐに売れる「質の良い資産」を持っている会社こそが、本物の低PBR銘柄です。

実際に改善を発表して株価が跳ね上がった成功例

百聞は一見にしかず。改善策を出したことで、見事に投資家の信頼を勝ち取り、株価を急上昇させた先輩たちがいます。彼らのたどった道を知れば、次にどの銘柄が同じような道を歩むか、想像しやすくなるはずです。

大規模な還元を打ち出した本田技研工業(ホンダ)

ホンダ(7267)は、かつてPBRが0.5倍近辺で低迷していました。「車は売れているのに、なぜ株価はこんなに安いのか」と不思議がられていた銘柄です。しかし、大規模な自社株買いとDOEの導入を発表したことで、投資家の見る目が変わりました。

EV(電気自動車)への巨額投資と並行して、株主にもしっかり報いる姿勢を見せたことで、株価は大きく上昇。大型株であっても、経営の意思一つでここまで変われるというお手本のような事例です。

銘柄名本田技研工業(7267)
実施策2000億円規模の自社株買い、配当基準の明確化
変化低迷していた株価が数10%上昇し、PBRも改善
他との違い成長投資と株主還元のバランスを両立させた

トヨタ自動車と比較しても、ホンダの還元への踏み込み方は非常に鋭く、それが株価の反発力に繋がりました。

資本効率の向上を明言した第一生命ホールディングス

第一生命(8750)は、保険業界の中でもいち早く資本効率の改善に舵を切りました。余剰資金を溜め込まず、積極的に自社株買いに回す方針を打ち出し、株主還元の総額を利益の半分以上に設定しました。

この「明確な数字のコミットメント」が市場に安心感を与え、株価を押し上げました。保険会社は資産運用が本業の一部でもあるため、資本の使い方が上手くなったという評価は、非常に強力な買い材料になります。

銘柄名第一生命ホールディングス(8750)
実施策総還元性向50%以上の維持、政策保有株の削減
変化業界内でも突出した株価パフォーマンスを記録
他との違い「配当+自社株買い」の合計額を約束した点

他の生保・損保グループと比較しても、還元の仕組みがシンプルで分かりやすく、投資家が将来の利益を計算しやすかったのが成功の要因です。

地方銀行が相次いで発表している配当利回りの向上

全国の地方銀行も、今まさにPBR改善の波に乗っています。これまでは「地元のために現金を溜めておく」のが美徳でしたが、今は「株主に返して株価を上げる」ことが求められています。

多くの地銀が、配当利回りを4%や5%に引き上げる目標を掲げ、実際に実行しています。千葉銀行(8331)やふくおかフィナンシャルグループ(8354)など、改革に前向きな地銀の株価は、ここ数年で大きく水準を切り上げました。

銘柄名有力な地方銀行グループ
実施策累進配当(減配しない)の導入、自己株取得
変化割安株の代表格から、高配当の優良株へと変貌
他との違い地域貢献と株主還元の両立をアピール

メガバンクに比べて注目度が低い分、改善が発表された時の株価の反応が鮮烈であることも、地銀投資の魅力の一つです。

割安状態を解消して高値圏へ抜けた大手総合商社

三菱商事(8058)や三井物産(8031)といった総合商社は、かつてはPBR1倍を割るのが定位置でした。しかし、バフェット氏の投資をきっかけに、世界中から「日本で一番効率よく稼いで、還元も手厚い業界だ」と認識されるようになりました。

徹底した資産の入れ替えと、巨額の自社株買い。これらを何年も継続した結果、今やPBRは1倍を大きく超え、かつての「万年割安株」の面影はありません。

銘柄名三菱商事(8058)
実施策累進配当の宣言、機動的な大規模自社株買い
変化PBR 1倍の大台を軽々と突破し、最高値を更新
他との違い還元の継続性が極めて高く、信頼がブランド化した

商社株の成功は、他のPBR1倍割れ企業にとっての「北極星」となっています。彼らに続けとばかりに改革を急ぐ企業を、今度は私たちが探す番です。

この記事のまとめ:低PBR銘柄への投資でチャンスを掴む

PBR1倍割れの解消というテーマは、一時のブームではなく、日本株が本来の価値を取り戻すための大きな変革です。会社が持っている資産を正しく使い、株主に還元する。この当たり前のことが、東証の強力な後押しでようやく加速し始めました。

  • PBR 1倍割れは、会社の価値が正当に評価されていない「セールの状態」である。
  • 東証が企業に改善を迫っており、無視できない「ルール」になっている。
  • 改善策は、自社株買いや増配などの「還元」と、事業効率化の「二本柱」が多い。
  • 三菱UFJや日本製鉄、ホンダなど、大企業の変化が市場全体の呼び水となっている。
  • PBR 0.5倍から0.8倍付近の、業績が安定している銘柄に伸び代が多い。
  • 東証の「具体策開示リスト」をチェックすることで、お宝株を先回りできる。
  • 単に安いだけの「罠」に気をつけ、資産の質と経営者のやる気を見極める。

「日本株は面白くなってきた」と多くの投資家が言っています。その中心にあるのが、このPBR改善の動きです。まずは身近な会社や、自分が気になっているあの株のPBRが今どれくらいなのか、スマホでチェックすることから始めてみてください。その一歩が、大きな利益への入り口になるかもしれません。

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この記事を書いた人

MONEY STUDIO編集部は、投資・金融分野の情報収集・分析を行う複数名の編集メンバーで構成されています。
一次情報・公式データ・実体験をもとに記事を制作しています。
特定の金融商品や投資手法を過度に推奨することはなく、メリットだけでなくデメリットやリスクも明示することを編集方針としています。

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