ビザとマスターカードはどちらが優秀?圧倒的な営業利益率の差を比較

財布の中を見れば、必ずと言っていいほど「Visa」か「Mastercard」のロゴが入ったカードが入っていますよね。世界中で使われているこの2社ですが、投資家から見ると「現金を自動で生み出す魔法の機械」のような、とんでもない収益力を持っています。どちらも超優良株であることは間違いありません。しかし、営業利益率という「稼ぐ効率」を細かく見ていくと、はっきりとした性格の違いが見えてきます。

目次

営業利益率の差で比較するとどちらが優秀?

ビジネスがどれだけ効率よく儲かっているかを示すのが営業利益率です。一般的な日本の製造業なら5%から10%あれば合格点と言われる中で、この2社の数字は次元が違います。売上の半分以上がそのまま利益として残るという、信じられないほど身軽な商売をしています。

67%を超えるビザの驚異的な収益力

ビザ(V)の営業利益率は、直近のデータでおよそ67%から68%という驚異的な水準で推移しています。これは、100円の売上があったときに、経費をすべて引いても67円が手元に残ることを意味します。自分たちでカードを発行して借金のリスクを背負うのではなく、決済の「通り道」を貸すだけで手数料を取るビジネスだからこそ、これほど高い数字が出せます。

他の金融機関と比較しても、ビザの利益率は圧倒的です。すでに世界中に決済のインフラを作り終えているため、新しく会員が増えても追加のコストがほとんどかかりません。売上が増えれば増えるほど、雪だるま式に利益が積み上がる「規模の経済」を究極の形で実現しています。

58%前後で推移するマスターカードの効率

マスターカード(MA)の営業利益率は約57%から58%となっており、ビザに比べると10ポイントほど低くなっています。これでも十分に化け物級の数字ですが、ビザとの差が出る理由は、お金の使い道の違いにあります。マスターカードは、決済以外の「新しいサービス」を作るための投資に、より多くの資金を投入しています。

例えば、サイバーセキュリティの強化やデータ分析といった、決済に付随する技術開発に力を入れています。こうした投資が経費として計上されるため、利益率の数字上はビザに一歩譲る形になります。しかし、これは未来の成長の種をまいているとも言え、決して効率が悪いわけではありません。

規模の大きさが利益の差に直結する仕組み

2社の利益率の差を生んでいる最大の要因は、単純な「取引のボリューム」です。ビザは年間でおよそ15兆ドルもの決済を処理していますが、マスターカードは約9兆ドルです。決済システムの維持にかかる固定費はどちらもそれほど変わらないため、分母となる決済額が大きいビザの方が、1件あたりの利益率が高くなります。

  • ビザ:世界シェア1位の圧倒的な取引量でコストを薄めている
  • マスターカード:2位として追い上げるために投資を優先している
  • 共通点:どちらも工場や在庫を持たないため、不況でも利益が削られにくい

この利益率の差は、そのまま「王者の余裕」と「挑戦者の攻め」の違いを表しています。安定感を求めるならビザ、変化に期待するならマスターカードという見方ができるのも、この数字の差があるからです。

ビザが圧倒的なシェアで世界一に君臨し続ける理由

ビザは、決済ネットワークという戦場で「絶対に崩れない城」を築き上げています。40億枚を超えるカードが世界中にばらまかれている事実は、後からどんな新興企業が来ても太刀打ちできない巨大な壁です。世界中のどこへ行っても「とりあえずVisaなら使える」という安心感こそが、最大の資産となっています。

カードの発行枚数43億枚という巨大な壁

ビザが発行をサポートしているカードの枚数は、全世界で約43億枚に達しています。マスターカードの約33億枚と比較しても、10億枚もの差をつけています。この圧倒的な数は、単なる数字以上の意味を持ちます。

カードを持っている人が多ければ、お店側も「Visaを導入しなきゃ」と考えます。お店が増えれば、利用者もさらに増えるという「ネットワーク効果」が最強の形で働いています。この循環がある限り、ビザの王座が揺らぐことはまず考えられません。

デビットカード市場で握る圧倒的な主導権

米国国内において、ビザはデビットカードのシェアをほぼ独占しています。クレジットカードと違い、デビットカードは日々の食料品やコーヒー代など、少額で頻繁な決済に使われます。この「日常の決済」をガッチリ押さえていることが、安定した収益の源です。

家賃や光熱費の支払いなど、生活に密着した場面でビザが使われる仕組みが完成しています。景気が悪くなって贅沢品が売れなくなっても、デビットカードによる日常の支払いは止まらないため、ビザの経営は非常に底堅いのです。

世界200カ国以上で使えるブランドの信頼性

ビザは世界200以上の国と地域で、共通の決済システムを提供しています。旅行者が異国の地で支払いに困らないのは、ビザが裏側で瞬時に通貨を計算し、決済を完了させているからです。この「24時間365日、止まらないシステム」への信頼こそが、ビザの正体です。

サービス名ビザ(Visa)
世界シェア約40%以上(中国を除く)
年間決済額約15兆ドル
カード発行枚数約43億枚
特徴世界最大のネットワークを誇る決済界の絶対王者

マスターカードと比較しても、特に米国とアジアでの普及率においてビザが優位に立っています。投資家にとっては、この「負けにくい構造」が最大の買い材料になります。

マスターカードが成長率でビザを追い上げる独自の強み

マスターカードは、ただビザの背中を追っているだけではありません。決済という枠を超えた「テック企業」への脱皮を急いでおり、その成長スピードはしばしばビザを上回ります。ビザが「規模」で勝負するなら、マスターカードは「知恵」と「技術」で利益を上乗せする戦略をとっています。

欧州市場や新興国で広がる決済ネットワーク

マスターカードは伝統的に欧州市場に強く、近年ではアフリカや東南アジアといった新興国での普及に力を入れています。これらの地域は、これから現金からデジタル決済へ移り変わる伸び代がたっぷり残っています。ビザがすでに強い地域を守る一方で、マスターカードは新しい領土を広げるスピードが早いです。

新興国での提携銀行を増やすことで、将来の決済ボリュームを先取りしています。人口が増え、経済が成長する国々に深く根を張っていることが、中長期的な成長の期待値を押し上げています。

コンサルティングやデータ分析による付加価値

マスターカードの売上の約3割は、決済以外の手数料で構成されています。具体的には、銀行や小売店に対する「サイバーセキュリティ対策」や「消費データの分析レポート」といったコンサルティング業務です。これはビザよりも進んでいる分野です。

ただ決済を通すだけでなく、そこから得られる膨大なデータをお金に変える仕組みを構築しています。この「付加価値サービス」は、決済手数料よりも高い利益率を出すこともあり、マスターカードの将来を支える第2の柱となっています。

フィンテック企業との積極的な提携戦略

アップルカード(Apple Card)のネットワークに採用されたように、マスターカードは新しいフィンテック企業との連携に非常に柔軟です。最新のIT技術を持つ企業と組むことで、自分たちのシステムをより使いやすく、より安全に進化させています。

サービス名マスターカード(Mastercard)
世界シェア約25%前後
年間決済額約9兆ドル
付加価値サービス比率売上の30%以上
特徴テクノロジーとデータ分析に強い「挑戦者」

ビザと比較すると、より「サービス開発」に重きを置いているのがマスターカードです。株価の伸び率だけを見れば、過去にマスターカードがビザを逆転する期間があったのも、この高い成長性が評価された結果です。

営業利益率の違いを生み出す経費と収益の仕組み

2社の利益率に差があるのは、お金の稼ぎ方と使い方の「配分」が違うからです。ビザは無駄を削ぎ落とした筋肉質な経営をしており、マスターカードは将来のための先行投資を惜しみません。どちらも効率的ですが、その中身を分解すると「何に投資しているか」という思想の違いが見えてきます。

広告宣伝費にかける金額の比率を比める

ビザは知名度がすでにMAXに達しているため、マスターカードに比べると売上に対する広告宣伝費の割合を低く抑えることができます。オリンピックやFIFAワールドカップといった巨大なイベントのスポンサーにはなりますが、それ以外は非常に効率的なプロモーションをしています。

一方でマスターカードは、ブランドの浸透を図るために、積極的に広告やマーケティングに資金を投じています。「プライスレス」という有名なキャッチコピーに象徴されるように、ブランドの価値を高めるためのコストを、ビザよりも多めにかけているのが特徴です。

インフラ維持にかかるコストの低さ

両社に共通する最大の強みは、一度システムを作ってしまえば、その後の維持費が驚くほど安いことです。工場を建て替える必要もなければ、原材料を仕入れる必要もありません。決済件数が2倍になっても、データセンターの電気代が2倍になるわけではないのです。

この「売上が増えても経費がほとんど増えない」という構造が、50%から60%を超える営業利益率の正体です。これほどコストがかからないビジネスは、他にはソフトウェア業界の一部くらいしか存在しません。

決済額に連動して勝手に利益が増えるモデル

インフレでモノの値段が上がると、多くの企業は苦しみます。しかし、ビザとマスターカードは違います。モノの値段が100円から110円に上がれば、決済額も10%増え、そこから得られる「一定%の手数料」も自動的に10%増えるからです。

自分たちは何も努力しなくても、世の中の物価が上がるだけで収益が増えていく。この「天然のインフレ対策」が備わっていることが、他の業種にはない圧倒的な優位性です。物価が上がる局面では、この仕組みが利益率をさらに押し上げるエンジンになります。

株価の推移と配当を増やす力で2社を比べる

投資家がこの2社を愛してやまないのは、ビジネスが強いだけでなく、稼いだお金を惜しみなく株主に返してくれるからです。自社株買いと配当金の増額という、株主還元の「二段構え」が完璧に整っています。「持っているだけで勝手にお金が増えていく」という体験を、これほど高い確率で提供してくれる銘柄は他にありません。

過去10年間の株価リターンを数字で見る

過去10年の株価の動きを振り返ると、ビザもマスターカードもS&P500指数を大幅に上回る素晴らしいパフォーマンスを見せてきました。時期によっては、成長性が高いマスターカードの方が、ビザよりも高い上昇率を記録することもありました。

現在はどちらも時価総額が巨大になりましたが、それでも年率で15%から20%近い成長を続けています。ただ持っているだけで、10年前の株価が数倍になっている。この実績こそが、世界中の個人投資家や機関投資家がポートフォリオに入れている理由です。

毎年行われる大規模な自社株買いのペース

2社とも、毎年数千億円、数兆円という単位で「自社株買い」を行っています。市場に出回っている自分の株を買い取って消すことで、1株あたりの価値を強制的に高めています。これにより、たとえ利益が横ばいだったとしても、株価は理論上上がりやすくなります。

この自社株買いに回す資金が、圧倒的な営業利益率から生まれる豊富な現金(キャッシュフロー)です。借金をして自社株買いをするような無理な経営ではなく、本業で余ったお金をどんどん株主に還元しているのが、2社の共通した凄みです。

配当金を増やし続ける連続増配の実績

配当利回りそのものは0.5%から0.7%程度と低めですが、注目すべきはその「増配率」です。両社とも、毎年15%から20%という凄まじいペースで配当金を増やし続けています。今の利回りは低くても、10年持ち続ければ、買った価格に対する利回りは数%にまで膨れ上がります。

「今は成長に資金を使い、同時に配当も毎年2桁増やす」。この理想的なバランスを何年も維持できるのは、50%以上の利益率という余裕があるからです。短期の配当金ではなく、将来の「大きなインカムゲイン」を狙う長期投資家にこそ向いています。

非接触決済や海外旅行の回復が収益に与える好影響

新型コロナウイルスの流行で、一時は海外旅行が止まり、2社の収益も一時的に落ち込みました。しかし、そこから回復した後の勢いは想像以上です。非接触(タッチ決済)の普及や、国をまたぐ移動の活発化が、2社の利益をさらに高い次元へと押し上げています。

スマホをかざすタッチ決済の普及スピード

日本でも「VISAのタッチ決済」や「Mastercardコンタクトレス」が当たり前になりました。小銭を出す手間が省けることで、これまで現金で払っていた数百円の買い物もカードで決済されるようになっています。

この「現金のデジタル化」が進むほど、2社の取り分は増えます。特にビザはデビットカードに強いため、コンビニでの100円の買い物すらも利益に変えてしまうパワーを持っています。少額決済の積み重ねが、バカにできない収益の柱になっています。

国をまたぐ移動が増えるほど儲かる手数料

2社にとって最も美味しいのが、海外旅行や海外通販で使われる「国際決済手数料(クロスボーダー手数料)」です。これは国内の決済よりも手数料率が高く、利益に大きく貢献します。海外旅行が完全に復活した2024年以降、この手数料収入が爆発的に増えています。

ドルやユーロ、円といった異なる通貨をやり取りする際、システムを貸している2社には黙っていても高利益な手数料が転がり込みます。世界中を人々が移動し続ける限り、このボーナスタイムは終わりません。

デジタル通貨への対応で見せる先回り戦略

「ビットコインなどの仮想通貨が普及したら、ビザやマスターカードは不要になるのでは?」という声もあります。しかし、彼らはそれさえも自分たちのネットワークに取り込もうとしています。ステーブルコインやデジタル通貨を自分たちの決済網で扱えるよう、すでに技術開発や提携を済ませています。

新しい技術を敵にするのではなく、自分たちの便利なインフラの一部として吸収してしまう。この「変化への強さ」があるからこそ、フィンテックの荒波の中でも利益率を落とさずにいられるのです。

投資スタイルに合わせた2社の具体的な選び方

「結局、どっちを買えばいいの?」という疑問に対する答えは、あなたの投資の好みに隠されています。どちらも最高レベルの銘柄ですが、わずかな性格の違いを理解することで、より納得感のある投資ができます。王者の安定感を取るか、挑戦者の成長性を取るか。あなたの直感に従って選んでみてください。

安定感と知名度を重視するならビザ

「絶対に失敗したくない」「世界一の企業を応援したい」という方には、ビザがおすすめです。圧倒的なシェアと67%という異次元の利益率は、どんな危機が来ても揺るがない安心感を与えてくれます。米国株投資のポートフォリオの核として、これほど頼りになる銘柄はありません。

決済額の規模が大きいため、株価の動きも比較的落ち着いています。長期でどっしりと構え、着実な増配と自社株買いの恩恵を受けたいなら、ビザを選んでおけば間違いありません。

少しでも高い成長性を狙うならマスターカード

「ビザよりも少し尖ったリターンを狙いたい」「新しい技術への投資を評価したい」という方には、マスターカードが適しています。利益率はビザに譲りますが、売上の伸び率や、データ分析などの新規事業への展開力ではマスターカードに軍配が上がる場面が多いです。

株価のパフォーマンスも、長期で見ればマスターカードがビザをわずかに上回ることがあります。2番手だからこそのハングリー精神と、次世代の決済サービスへの先回り投資に期待するなら、こちらが面白い選択肢になります。

2社をセットで持つ「二頭政治」への投資

実は、多くのプロの投資家がやっているのが「ビザとマスターカードの両方を半分ずつ持つ」という戦略です。この2社はライバルでありながら、実質的には世界中の決済を独占している「最強のタッグ」でもあります。

どちらか一方が伸びればもう一方も引っ張られ、業界全体の成長をまるごと手に入れることができます。「どちらかを選ぶのが難しい」なら、両方を味方につけてしまうのが、実は最も賢い方法かもしれません。

まとめ:高利益率が保証する最強の資産運用

ビザとマスターカードの比較を通じて見えてきたのは、どちらも「製造業やサービス業の常識を超えた、異次元の稼ぎ方をしている」という事実です。50%から60%を超える営業利益率は、彼らが作った決済網が、もはや世界経済にとっての「空気や水」のようなインフラになっていることを示しています。

  • 利益率の高さ(効率)で選ぶなら、67%を誇るビザが最強。
  • 今後の成長の伸び代(変化)に期待するなら、多角化を進めるマスターカード。
  • インフレ局面では、決済額の増加に伴いどちらも自動的に収益が増える。
  • 毎年15%以上のペースで配当が増えるため、長期保有するほど「金の卵を産むガチョウ」になる。
  • 圧倒的なシェア(ビザ)と高い技術投資(マスターカード)が、互いに参入障壁を高めている。
  • 現金のデジタル化や海外旅行の完全復活が、今後のさらなる追い風になる。
  • 迷ったら両方の銘柄を持つことで、世界の決済マネーをすべて利益に変えることができる。

カードを使うたびに、あるいは誰かが買い物をするたびに、あなたの懐にお金が転がり込んでくる。そんな仕組みを自分の資産に取り入れることは、自由への大きな一歩になります。まずは1株からでも、この「無敵の2社」のオーナーになってみることから始めてみませんか。

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この記事を書いた人

MONEY STUDIO編集部は、投資・金融分野の情報収集・分析を行う複数名の編集メンバーで構成されています。
一次情報・公式データ・実体験をもとに記事を制作しています。
特定の金融商品や投資手法を過度に推奨することはなく、メリットだけでなくデメリットやリスクも明示することを編集方針としています。

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