「周りのみんなが儲かっているから、自分も買いたい。でも今が天井だったらどうしよう」と不安になっていませんか。投資のタイミングは、誰にとっても一番の悩みどころです。投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏が大切にしている「バフェット指数」という数字を使えば、今の相場がどれくらいお腹いっぱいの状態なのかを客観的に見極めることができます。この記事では、難しい計算を抜きにして、今の市場が本当に買い時なのかを判断するヒントをお伝えします。
今の市場が買い時かどうかをバフェット指数で判断する目安
バフェット指数とは、その国の「時価総額の合計」を「名目GDP」で割って出す数字です。つまり、その国が稼ぐ力に対して、株価の合計がどれくらい膨らんでいるかを表しています。この数字が100%を超えてくると、経済の規模以上に株価が買われすぎているサインとなります。
過去の平均値である100%を大きく超えたときの警戒感
バフェット指数が100%のとき、それは「経済の大きさと株価がちょうど同じくらい」という状態を指します。普通はこの100%あたりが心地よい数字とされています。しかし、今の日本株の様子を見ると、160%を超えるような歴史的に高い水準まで膨らんでいます。
これほど数字が跳ね上がっているときは、かなり無理をして株が買われている可能性があります。無理をしているということは、何かのきっかけで一気に空気が抜けるリスクもあるため、慎重になるべきタイミングです。
日本株が140%を上回った際に起きた過去の価格調整
過去を振り返ると、日本のバブル絶頂期だった1989年でも、この指数は140%程度でした。当時の株価がどれだけ異常だったかは有名ですが、今の数字はそれをさらに上回っています。過去に140%を超えたあとは、例外なく大きな株価の落ち込みがやってきました。
「今回は昔とは違う」という声も聞こえますが、数字は嘘をつきません。過去のデータと照らし合わせると、今の160%という数字は、いつ大きな調整が起きてもおかしくない警戒レベルにあるといえます。
バフェット氏本人が買いを控えるときの具体的な数字
ウォーレン・バフェット氏自身は、この指数がアメリカ市場で115%を超えると「割高だ」と判断して買いを控えることで知られています。逆に70%から80%くらいまで下がってくると、喜んで株を買い集め始めます。神様と呼ばれる人ほど、こうした単純なルールを頑固に守っています。
私たちが今の市場で無理に買い向かうべきかどうか、この基準は大きなヒントになります。プロの投資家が「高いな」と感じて現金を貯めている時期に、初心者が慌てて買う必要はありません。
割安と言える80%以下まで下がるのを待つ忍定力
本当に儲かる投資家は、みんなが騒いでいるときではなく、静まり返っているときに動きます。バフェット指数が80%を切るような時期は、経済の規模に対して株価が過小評価されている絶好のチャンスです。
こうした時期は、世の中のニュースも暗いものばかりになりがちです。しかし、そんなときこそ勇気を持って買えるように、今のうちから現金を準備しておくのが賢い振る舞いです。
バフェット指数を使って割安・割高を見分ける具体的な計算式
「計算なんて自分には無理だ」と思うかもしれませんが、実はスマホの電卓だけで1分もかからずに終わります。使う数字はたったの2つだけです。自分の手で今の数字を出すことで、ニュースの言葉に振り回されない「自分軸」の判断ができるようになります。
日本取引所グループが公表する時価総額の合計を調べる
まずは、日本にあるすべての株の価値の合計である「時価総額」を調べます。これは日本取引所グループ(JPX)の公式サイトに行けば、誰でも無料で見ることができます。今の東証上場企業の合計時価総額は、約1000兆円という巨大な規模になっています。
この数字は毎日変わりますが、ざっくりとした規模感を掴むだけで十分です。1000兆円という数字が、日本の経済に対してどれほど重たいのかを考えてみましょう。
内閣府の統計から最新の名目GDPを拾い出す
次に、日本の経済活動の大きさを表す「名目GDP」を調べます。これは内閣府のホームページで、四半期ごとに発表される最新の統計データを確認すれば分かります。今の日本の名目GDPは、およそ600兆円前後で推移しています。
この600兆円という数字が、いわば日本の「基礎体力」です。株価はこの基礎体力をベースにして動くため、ここから大きく離れすぎると、元の場所に戻ろうとする力が働きます。
算出した数字を過去20年の推移と照らし合わせる
計算は「時価総額 ÷ GDP × 100」です。1000兆円を600兆円で割って100をかけると、約166%という答えが出ます。この166%という数字を、過去20年の推移グラフに当てはめてみてください。
| 項目 | 内容 |
| 日本の時価総額合計 | 約1000兆円 |
| 日本の名目GDP | 約600兆円 |
| 算出したバフェット指数 | 約166% |
| 判断の目安 | 100%を超えると割高、80%以下なら割安 |
2010年代は100%前後で安定していたことを考えると、今の166%がいかに突き抜けた数字であるかが一目で分かります。
誰でもできるスマホ電卓を使った簡単な計算手順
手順はとてもシンプルです。まずはスマホのブラウザで「東証 時価総額 合計」と「日本 名目GDP」を検索しましょう。出てきた数字をメモしたら、あとは割り算をするだけです。
難しい専門書を読むよりも、この一つの計算をする方が今の市場の様子がよく見えてきます。1ヶ月に一度だけでもこの計算を続けていくと、相場が冷え込んでいるのか、熱を帯びすぎているのかが肌感覚で分かるようになります。
日本株においてバフェット指数が割高になりやすい要因
なぜ今の日本株は、経済の大きさを無視してここまで膨らんでいるのでしょうか。そこには、単なる数字の遊びではない、表に出にくい理由がいくつか重なっています。これらの理由を知ることで、指数が高いからといってすぐに暴落するとは限らない、今の相場の特殊な中身が見えてきます。
海外投資家による買い越しが時価総額を押し上げる影響
今の日本株を支えているのは、私たち日本人ではなく、海外の投資家たちです。世界中のマネーが「日本株はまだ安い」と判断して流れ込んでくるため、時価総額がGDPの成長を追い越して増え続けています。
海外勢が買っている間は株価が維持されますが、彼らが一斉に売り始めると指数の数字は急降下します。バフェット指数が高い状態は、いわば「海外のお客さん頼み」の危ういバランスの上に立っているとも言えます。
東証のPBR1倍割れ改善要請による株価の底上げ
東京証券取引所が「株価が安すぎる企業は改善策を出せ」と厳しく求めたことも、時価総額を押し上げる大きな力になりました。多くの企業が配当を増やしたり、自社株買いをしたりしたことで、株価の底値が切り上がっています。
これは企業努力によるポジティブな変化ですが、バフェット指数から見れば「割高」の方へ数字を押し上げる要因になります。経済の成長以上に株主還元が先行している様子が、今の高い指数に現れています。
円安がもたらす輸出企業の時価総額アップの仕組み
今の円安は、トヨタ自動車のような輸出企業の利益を大きく膨らませています。利益が増えれば株価も上がるため、円安が進むほど日本の時価総額合計は増えていく仕組みです。
一方で、円安になってもGDPが同じように増えるわけではありません。この「株価だけが増えてGDPが追いつかない」という歪みが、バフェット指数の数字をさらに大きく見せている本当のところです。
内部留保を積み上げた日本企業の資産価値の増大
日本企業は、長い年月をかけて会社の中に現金を溜め込んできました。この「内部留保」が積み上がっているため、以前に比べて企業一社あたりの価値が底上げされています。
資産がたくさんあるから株価が高くなるのは、ある意味で自然なことです。バフェット指数は高いものの、企業の持っている中身(資産)を考えれば、1989年のバブル期ほど浮ついた状態ではないという見方もあります。
買い時を逃さないために併用したいPERやPBRの判断基準
バフェット指数はとても便利な道具ですが、それだけで投資のすべてを決めるのは少し危険です。他の物差しも組み合わせて使うことで、より正確な買い時を見つけられるようになります。全体が割高に見えても、個別の銘柄を見れば、まだまだ放置されているお宝株が見つかるかもしれません。
日経平均のPER15倍を一つの大きな壁とする
PERは、その会社の利益に対して株価が何倍まで買われているかを見る指標です。日経平均株価全体で見ると、15倍あたりが歴史的に見て「適正な価格」の境目と言われています。
バフェット指数が高くても、このPERが12倍や13倍程度であれば、まだ利益の面から見て買える水準だと判断できます。逆にPERが20倍を超えてくるようなら、完全にバブル状態だと考えて間違いありません。
資産価値から見たPBR1倍という強固なサポートライン
PBR1倍は、「会社の資産価値と株価が同じ」というラインです。どんなに市場全体が割高になっても、個別の銘柄でPBRが1倍を切っているなら、そこには強い下支えがあります。
バフェット指数が160%という高い水準でも、PBRが低い銘柄を狙えば、暴落時のダメージを最小限に抑えることができます。全体を鳥の目で見て、個別を虫の目で見る。この二つの視点が資産運用には欠かせません。
企業の稼ぐ力を測るROEと指数の相関関係をチェックする
ROEが高い企業は、預かったお金を効率よく増やせる優秀な会社です。こうした会社は、多少バフェット指数が高くても、その後の成長で高い株価を正当化してくれます。
- ROEが10%を超えているか。
- 毎年利益を積み増しているか。
- 無理な借金をしていないか。
こうした中身をチェックすることで、ただ高いだけの株と、高くても買う価値がある株を仕分けることができます。
個別銘柄の配当利回りが市場平均を上回っているか
もし相場全体が割高で、いつ下がるか分からなくても、高い配当金を出してくれる株なら持ち続ける理由になります。市場平均の利回りよりも高い配当を出している銘柄は、株価が下がったとしても配当が支えになります。
「今は買い時ではない」と判断して現金を抱えている間も、一部はこうした高配当株でインカムゲインを得る。バフェット指数を参考にしつつ、柔軟に立ち回るのが上手なやり方です。
バフェット指数の数字が高いときにとるべき投資戦略
「指数が160%だから、今は一切買ってはいけない」と極端に考える必要はありません。大切なのは、リスクの大きさに合わせて自分の戦い方を変えることです。市場が熱を帯びているときこそ、冷静な戦略を持って動くことで、大きな失敗を避けることができます。
一括投資を避けてドルコスト平均法で時間を分ける
指数の数字が高い時期に、手元の資金を一度にすべて投入するのは一番やってはいけないことです。もし直後に暴落が来たら、立ち直るのに何年もかかってしまいます。
「今は割高だ」と分かっているなら、毎月決まった額を少しずつ買うドルコスト平均法を使いましょう。これなら、高いときには少ししか買えず、暴落して安くなったときにはたくさん買えるため、自然と購入価格を抑えることができます。
現金比率を高めて暴落時に備えるキャッシュの確保
賢い投資家は、バフェット指数が高い時期ほど、手元の現金を多めに持ちます。すべての資金を株に回すのではなく、3割から5割程度はいつでも動かせる現金として置いておくのです。
現金を持っていれば、万が一相場が崩れて指数が80%まで下がったときに、最高の買い場を逃さずに済みます。「今は買う時期ではなく、現金を貯める時期だ」と割り切るのも、立派な投資戦略の一つです。
全体相場が重い中でも放置されている個別割安株を探す
相場全体が割高なときでも、すべての株が上がっているわけではありません。人気のない業種や、まだ注目されていない地味な企業の中には、PBR0.5倍といった割安な株が転がっています。
指数の高さに怯えるのではなく、その陰に隠れているお宝探しに時間を使いましょう。みんなが見ていない場所で安く仕込んでおけば、相場全体が調整されても被害を小さくできます。
新NISAの積立投資を止めずに淡々と続ける精神力
もしあなたが新NISAで積立投資をしているなら、指数の高さを見て「今はやめておこうかな」と止めてしまうのはもったいないことです。積立の目的は10年、20年という長期の成長を掴むことです。
- 暴落は、積立投資家にとって「安く買えるラッキーな期間」になる。
- 途中で止めると、一番おいしい回復期を逃してしまう。
- バフェット指数は「今はリスクが高い時期だ」と自覚するために使う。
指数の高さを知った上で、あえて淡々と続ける。この心の準備ができているかどうかが、最後には大きな差になります。
日本の市場で資産運用を続けるために知っておきたいデータ
最後に、これからの日本市場を生き抜くために、バフェット指数以外の重要な数字にも触れておきましょう。これらのデータを知っておくことで、今の指数の高さが「いつ、どのように解消されるのか」のシナリオを描けるようになります。
日本銀行の金利政策が株式市場に与える直接的な重圧
日本銀行が金利を上げ始めると、株価にとっては強い向かい風になります。金利が上がれば、企業はお金を借りにくくなり、投資家のマネーも株から預金や債券に流れてしまうからです。
今のバフェット指数が160%という高い水準にある中で金利が上がれば、株価は非常に脆い状態になります。日銀の発表がある日は、指数の数字以上に慎重な判断が求められる時期だと言えます。
過去のバブル崩壊時と現在の指数データの決定的な違い
1989年のバブル期と今が決定的に違うのは、企業の「利益」です。当時は利益を無視して期待だけで買われていましたが、今は利益をしっかり出している企業が多くあります。
つまり、指数が高いのは「経済に対して株価が高すぎる」からであって、必ずしも「中身がない」わけではありません。バブル崩壊のような悲惨なことにはならなくても、適正な価格まで10%〜20%ほど「冷え込む」時期は必ずやってくると考えておくのが無難です。
米国株のバフェット指数との乖離から見える日本株の立ち位置
アメリカ株のバフェット指数は、日本よりもさらに高い水準(180%〜200%超)で推移することがあります。これはアメリカのIT企業が世界中で稼いでいるため、自国のGDPと比較するとどうしても数字が大きくなってしまうからです。
日本株を評価するときも、世界的なトレンドを無視できません。アメリカ株が崩れれば日本株も引きずられます。バフェット指数は、日本だけでなくアメリカの数字もセットで見ておくことで、より精度の高い予測が可能になります。
景気後退局面で指数がどこまで下がるかの予測ライン
もし景気が悪くなったとき、指数はどこまで下がるのでしょうか。歴史的な底値は60%〜70%あたりです。今の166%から見れば、半分以下になる計算になります。
もちろん、そこまで下がるのは稀なケースですが、「最悪そこまで下がる可能性がある」と知っているだけで、無茶な投資はしなくなります。上限と下限の目安を持って、その間を泳ぐのが資産運用の本当の醍醐味です。
まとめ:バフェット指数を活用した賢い投資判断
バフェット指数は、今の相場が「買い時」なのか、それとも「待つべき時期」なのかを教えてくれる頼もしい物差しです。感情に流されず、数字で今の立ち位置を確認する習慣をつけましょう。
- 時価総額を名目GDPで割ったバフェット指数が100%を超えたら「割高」と心得る。
- 今の日本株(160%超)は、歴史的に見てもかなりお腹いっぱいの過熱状態にある。
- 1989年のバブル絶頂期でも140%だったという事実を忘れない。
- 指数が高いときは一括投資を避け、現金比率を高めて暴落に備える。
- PER15倍やPBR1倍といった他の指標も組み合わせて、多角的に判断する。
- 新NISAの積立投資は、指数の高さに関わらず淡々と続けるのが長期的な成功の秘訣。
- スマホの電卓で1ヶ月に一度計算するだけで、自分なりの相場観が身につく。
投資の神様が大切にしているルールは、驚くほどシンプルでした。私たちがやるべきことも、流行りのニュースを追いかけることではなく、こうした確かな数字を見つめることです。次にチャンスが来たときに、笑顔で「買い!」と言えるように、今は冷静に市場を観察していきましょう。
